株式会社ナチュラルリンクと株式会社PALの共催イベント、「ベンチャー社長としゃべり隊」が開催されました。これは、起業を目指す学生や女性の皆さん(誰でも参加可能!)に対して、実際にゼロからサービスを作り、軌道にのせ、世の中を変えていくベンチャー社長の話を聞こう!というイベントです。
ゲストは「現地の人と交流できるユニークなツアーを探せる旅行体験のフリーマーケット」Voyaginの高橋理志社長。7月に楽天に株を売却したことで話題になっている会社ですが、わざわざ東京からこのイベントのためにお越し頂きました。
またもう一人のゲストは、前回と同じく株式会社PALの辻社長。関西のベンチャー物流会社として言わずと知れた存在です。物流会社の常識を、ことごとく打ち崩す、業界の異端児。
そして、株式会社ナチュラルリンクの代表である高野が、モデレーターとしてこのお二人のリアルトークを、根掘り葉掘り聞き出しました!
1.最初のアイデアはどこから生まれるのか?
ー高橋:学生時代、海外によくバックパッカーで旅行に行ったのですが、その時に現地の人達と仲良くなって、現地ならではのローカルな体験をするのがとても面白かったんです。この経験をきっかけに、「いつか、現地の人と旅行者を繋ぐサービスを作りたい」と思うようになりました。
社会人になってからは、Airbnbを通して自分がホストとして旅行者を受け入れていました。当時は、日本でホストになる人がほとんどいなくて、サイトを見ても受け入れる日本人が1ページで終わってしまうくらいでしたが・・・。
受け入れた際に「現地のオススメの飲食店は?」「日本ならではの体験ができるオススメの場所ってどこ?」と旅行者から聞かれることが多く、よく彼らにお店を紹介したり、実際に連れて行ったりしていました。
その時から、部屋を提供するだけでなく、その先に現地体験ができるという市場は、今後確実に需要が出てくるのではないかと思うようになりました。
そこで調べてみると、大手旅行会社の事業は99%が日本人向けツアーで、海外向けはたった1%。ということは、大手は本気でこの%に力はかけてこないはずだから、自分がこの市場を真剣にやれば勝てる!と思ったんです。そうこうしているやりたい気持ちが膨らんで、いてもたってもいられなくなって、2011年にサービスを立ち上げました。
ー高野:1%だから市場がないではなく、1%だから勝てる!という風に思えるところがすごいですね!
ー高橋:それくらい、やりたいことだったんです。逆に起業って、それくらいの気持ちじゃないと、なかなか踏み切れないですよね。あとはやってから考える!くらいのほうがいいと思います。
ー辻:常識と反対のことを考えると、そこにビジネスの種があります。僕は物流事業をしているので、例えば物流で考えると、普通は、「荷物を運ぶ、倉庫を持つ」ですよね。その逆を考える。「荷物を運ばない、倉庫を持たない。」
そういったことを書き出してみると、必ずヒントがあります。このような逆の発想からアイデアは生まれるものだと思いますね。
ー高野:なるほど!それは面白いですね。例えば、どのようなサービスを作っていかれたのですか?
ー辻:例えば、創業当初は物流の人材派遣の事業がメインでしたが、業界では、1名からの派遣がなかった。ですから、1名からでも受けますよ!と言うと、それならお願い!と言われたり、派遣事業は、最初から高額のお金が発生することが多いので、「最初の月は無料ですよ」というと、じゃあお宅にお願いするわ−!とかなりの受注をくださったりしました。
2.サービスを成長させ、収益化させるために必要なこととは?
ー高橋:サービスリリース後、3年間は苦しかったです。もともとは、現地の人と、旅行者を繋ぐ、CtoCのサービスを考えていたのですが、サービスがあっても、知ってもらえないし、思うように売上もあがりませんでした。その後熟慮の末、自分がいいと思うものではなく、売れるものを売る!と方向を転換。
BtoCでさまざまなアクティビティを仕入れはじめ、色々とサービスをラインナップしては、その中で売れるものに力を注ぐことを繰り返しながら、だんだん求められるものがわかってきて、今に至ります。
ー高野:苦しい3年間、金銭的にも精神的にも大変だったと思うのですが、もう辞めてしまおうとは、思われなかったですか?
ー高橋:やめようか、会社の方向性を変えようか…という話も当然でましたが、今までお世話になった人、応援して下さった人、関わってきた人たちの顔を思い浮かべると、ここでやめるわけにはいかない、と踏みとどまりました。
ー辻:当社は、高橋さんの会社と違って、BtoBなんです。つまりは法人営業でして。法人営業の極意とは、ズバリ、大手企業を狙うことです。
信頼がないベンチャーが信頼されるには、「どういった企業と取引があるか。」が一番大切。
ー高野:とはいえ、いきなりベンチャーが大手企業と契約するのは、かなり難しくありませんか?
ー辻:そう思うでしょ?でもそれも思い込みです。さきほどの逆の発想で、「大手無理=無理じゃない」なんです。いけるんです。まずは小さい取引をしてもらいます。課長の決済でも通るような取引をです。そこから信頼を得て、しっかりフォローして、ニーズを聞いて、、を繰り返し、取引を増やしていくイメージですね。
ー高野:なるほど、話は変わりますが、お二人は、借り入れについてはどうお考えですか?目指すゴールや、状況にもよりけりだと思いますが…。
辻、高橋:いきなり借り入れするのではなく、まずは小さく、自己資金か、もらえる助成金ではじめるのがいいと思います。お金を生み出す力がないのにお金を借りてはだめ。小さいところから、いかにストックで、コンスタントに売上が上がるようにするかをまず考えるほうが良いです。でも、若かったら、失敗しても良い経験になるし、借り入れしてもいいんじゃないですか?笑
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3.タイプの違うお二人が考える、商いの原理原則とは何ですか?
ー高野:お二人は事業も違うし、思考回路や起業家のタイプも違いますが、やはり商いの原理原則は同じだと思います。お2人の経験から、商いの原理原則を教えて頂けますか?
ー高橋:「いかに安く仕入れて、いかに高く売るか」と「お客さんが何に困っているか、何が欲しいかを現場でちゃんと知ること」ですね。
今は、現場のオペレーションからは離れていますが、たまに現場のスタッフと話をすると、それだけで、もっとこうした方がいい!というサービスのアイデアが生まれてきます。全ては人と人ですし、全ての答えは現場にありますよね。
ー辻:ビジネスライクになりますが、まずは「お金のある企業と付き合うこと」です。そしてやはり、「お客様の痛みを知る、気持ちを知ること」です。高橋さんもおっしゃっていますが、企業対企業と言っても結局は人と人です。泥臭い人と人との繋がりや、信頼関係の上でしか、仕事は生まれないと思いますね。
4.最後にお聞きしたい。ズバリ、起業の醍醐味とは?
ー高橋:「面白い!」なんといってもこれにつきます。自分がやりたいと思うことを実現していく面白さ、そして、ステージがあがっていくにつれ、扱うお金の額もかわり、関わる人達も増え、できることも大きくなって、見える景色が変わっていく。自分たちで作り出していく、ワクワク感は、たまらなく面白いですよね。
今は、どんな求人サイトを見ても、「今の仕事にまさる魅力的な転職先なんてない!」と思います(笑)それほど、起業という生き方は面白い。
ー辻:「日々生きている、日々ワクワクする」感覚がありますね。僕の人生は、年々面白くなるんです。「いや〜今年は面白い年になりますよ!」と言うと「辻さん、毎年そう言ってますよ!」と周囲からは言われるんですが…(笑)。でもそれほど、毎年がチャレンジで、真剣勝負で、面白い。
あちゃーと思うこと、もうやめたいと思うこと、当然たくさんあります。でも、何とかこの業界を良くしたいという思いが使命感になり、「俺がやらねば誰がやる!」に変わっていくんですよね。責任感を使命感に変えられる人は、きっと起業向きだと思います。
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その他、奥様選びのポイント、パートナー選びのポイントなど、盛りだくさんな内容でした!今後も定期的に、起業したい学生、女性の皆さん(誰でも参加可能)に向けて「ベンチャー社長としゃべり隊」を開催していきますので、是非ご期待ください!
ベンチャー社長としゃべり隊のゲストプロフィール
■voyagin 代表 高橋 理志(たかはし まさし)氏
慶應義塾大学総合政策学部を卒業。2006年コンサルティング会社A.T. Kearneyへ入社し、2008年友人のベンチャー企業Cyta.jpに参画。2011年FindJPN(現Voyagin)を立ち上げ、現在は、アジア50以上の地域で様々な体験を提供している。
■株式会社PAL 代表取締役 辻 有吾(つじ ゆうご)氏
夜間大学に通いながら様々な職種を経験し、卒業後は大手通信機器関連会社に入社。若くして部長に昇進するも、社長になる目標に向け3年で退社。2000年、物流業界に特化したPALを設立。その後、PALグループとして物流、ITのグループ会社2社を持ち、E-コマース市場にフルフィルメントサービスを展開している。