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海外で働きたい女性に、私がベトナム行きを強く勧める理由とは?

働く女性の皆さんこんにちは。こんにちは。神野沙樹です。

突然ですが、みなさんは「海外に住みたい」「海外で働きたい」と思われたことはありますか?

日本能率協会が実施した2014年度新入社員「会社や社会に対する意識調査」によると、
海外赴任はしたくない」人が 57.7%と過半数を超え、2年連続増加したという結果があります。

私自身、新入社員の時に「海外赴任もできるけど行きたいですか?」と言われたとしたらどう感じただろう…と考えてみても、やはり「出来れば行きたくない」という思いだっただろうなと思います。

でも実は、今は「それもアリかもしれない」と思うのです。

経営者になって見る視点が変わったから?
年を重ねて考え方が変わったから?
子どもを産んだから?

それもあるかもしれません。しかし、第一の理由は別のところにあります。

1.増える技能実習生

いま、中国やベトナム、インドネシアなどから日本の企業に実習に来る
技能実習」という制度があることをご存知でしょうか?
最長3年間、日本の企業にて実習を行い、母国に帰ったあとその技能を生かして就職、
あるいは経済発展に貢献するというものです。

日本の受入企業にとっても、グローバルな風が入ると共に、
例えば海外に進出したい場合などの足掛かりにできるというメリットもあります。

この技能実習制度、受け入れる人数が急増しています。
平成27年末の技能実習生の数は19万人と、5年のうちに4万人も増えています(JITCOデータ)。

もしかすると、皆さんの企業でも「受け入れているよ」という企業があるかもしれません。
弊社の顧問先でも実習生を受け入れている企業は徐々に増えています。

残念ながら、一部の報道では「安い労働力で働かせるブラックな制度だ」という意見も流れています。
また、技能実習生が実習期間中に失踪してしまうこともあります。
全部が全部、そんなことばかりではありませんが、そのような実態があるのも事実なのでしょう。

しかし、実習生に来る時、彼らは彼らそして彼らの家族の大きな夢と希望を背負って日本にやってきます

そんな実際を知りたくて、先日、受け入れ人数が2番目に多いベトナム(ハノイ)に行ってきました。

2.34歳女性。1歳の子をベトナムに残してまで日本に来る実習生

実習生は日本に来る前、5~6か月間の実習を行います。
いわゆる「送り出し機関」といわれる施設で寮生活をしながら日本語や日本のマナー、集団生活を身につけます。
私が見学に行った送り出し機関では、その時「600名」が生活をしていました。

建物内のルール、マナーは日本そのもの。
靴は脱ぎ下駄箱に収納、ゴミ箱は分別をします。
さらに階段は右側通行、すれ違う時は立ち止まって「こんにちは!」の挨拶をしてくれます。
日本の学校や会社でもここまで出来ていないんじゃないか…そんな思いも頭をよぎるほど、礼儀正しく振る舞ってくれました。

授業を見学させていただきましたが、ここでも真剣そのもの。
本当に意欲的に勉強をしています。
あるクラスに行ったとき、数名が自己紹介をしてくれました。

ある女性が自己紹介をしてくれた時のこと。
「私の名前は、○○・○○・○○です。34歳です。私の家族は5人です。夫、娘が2人、息子が1人です。よろしくお願いします!」
と言ったのです。

耳を疑いました。「娘や息子が居るにも関わらず、3年間の実習に行くのか」と。
後で聞くと、そのような女性は多く、例えば1歳のお子さんがいるにもかかわらず、日本に行く女性もいるそうです。

子どもが1歳の時にベトナムを旅立つと、帰ってくるのは3年後。
子どもが4歳になった時のことです。

体も心も一番変化・成長するとっても大事な時期
そんな時にお母さんと過ごせないなんて…。

私には2歳の娘がいます。
この娘に3年間会えない…そう思うだけで胸が締め付けられる思いですし、
実習に行くという選択肢は選ばないように思います。

しかし、彼女たちはそれほどまでしても日本に来るのです。
「娘、息子に満足の行く教育を受けさせたい。だから自分が稼ぎ、自分自身に技術を身につけるのだ」と。
彼ら、彼女たちの思いは本気です。

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3.実習生を送り出す家族の思い

今回のベトナム視察で、「娘を実習生として送り出したご家族のお家」を訪問させていただきました。
娘さんは3年間の実習を終えてすでにベトナムへ帰国し、働いていらっしゃいました。

ベトナムは、現在、新しい建物やマンションが次々と建っています。
伺う前は「実習生として送り出す家だから、すごくきれいで新しい家に住んでいらっしゃるのかな」と勝手に想像をしていました。

しかし訪問させていただいたお家は、お世辞にも綺麗とは言えない平屋づくりのお家。
きっちり仕切られているわけではなく窓もない家から、とても綺麗におめかしをしたお母さんが出迎えてくださいました。
そこでベトナムのお茶「ハス茶」を頂きながら様々な話を伺いました。

私「娘さんが日本に行かれるとき、淋しくなかったですか?どんな思いでしたか?」

お母さん「とても淋しかったです…。ベトナムは旧正月は家族みんなで過ごす風習があります。
だから、娘が居ない旧正月は本当につらかったです」

私「日本へ行くにはかなりのお金が必要だと聞きましたが?」

お母さん「はい。とても高いお金を払いました。でもね、娘は日本から帰ってきたとき、私たちに全部お金を返してくれました。
来年には、兄と一緒に家を建てるって言ってくれているんです」

技能実習生として日本に行く、というと「稼ぐために来るのかな?」と思います。
しかし、そもそも日本に実習生に来るということはそれだけで莫大なお金がかかっています。
今回の彼女のように親からお金を借りるだけではなく「親戚中から借金をして」という方もいらっしゃいます。

旅行最終日。
帰国の途につこうとノイバイ空港に行くと、それはもう、すごい人・人・人…。
この日は技能実習生として日本に旅立つ実習生がたくさんいました。

しかし、実習生だけで空港が溢れかえっているかというとそうではありません。
「親戚一同で見送りに来ている」のです。

ベトナムはいわば「昔の日本」と言ってもいいほど、「家族・親族の絆」が強く残っています。
だからこそ、実習生として送り出す時ということは親戚一同の一大事だということです。
中には別れを惜しんで涙ながらに手を振るお母さんの姿もありました。

私は感じました。

日本で受け入れる企業の経営者、一緒に働く仲間はぜひベトナムに訪れるべきだ」と。

どんな想いで彼らは実習を行い、どんな想いで家族が送り出すのか。
その想いに触れた時、「ブラック労働」は絶対にさせられないはずです。

4.自分の目で、自分の肌で感じるということ

冒頭、このようなことを言いました。

「海外に住みたい」「海外で働きたい」と思いますか?
私は最近になって「アリかもしれない」と思うようになったと。

その第一の理由、それは「この目で(海外を)見たから」。
一言で言うと「食わず嫌い」ということです。

例えば、「ベトナム」と聞くと「バイクが多くて空気が汚そう」「お腹を壊しそう」
「虫が多そう」「暑そう」と色々なネガティブ要因が出てきます
どうしても自分が知らない世界というのは「勝手に想像して」「勝手にできない理由」をあげてしまいがち。

しかし、行ってみるとそんな心配は取り越し苦労だったとわかります。
そして、現地で生活している人々にふれ、自分の目で・肌で感じると、
いかに自分が固定観念で視野を狭めていたかを実感します。

なぜなら、人は「いままでに自分が経験したことでしか判断できない」生き物だからです。

ここで書きたかったことは、日本で生活することがダメで、どんどん海外に出て行こう!というわけではありません。
そうではなく、まず「頭で考える」のではなく、まず自分の目で、自分の肌で感じてみると、想いは変わるかもしれないということ。
お子さんに「勉強しなさい!」「英語を身につけなさい!」と100万回いうよりも、
1回の海外旅行の方がお子さんの心に火をつけるかもしれません。

私は今回のベトナム視察で働き方、暮らし方を見直すきっかけをもらいました。
さらに、今後実習生を受け入れようとする企業、受け入れていらっしゃる企業の方とは、
家族の思いも含めて話をしていきたいとも思っています。

「できない理由」や「行かない理由」をあげるのではなく「できる方法」を考える。
私自身はそのスタンスで今後も色々な世界を見て、感じていきたいと思います。

■株式会社Niesul・KES社労士事務所
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