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大阪ママボノチームがWoo!編集長高野へ突撃取材〜ワーママのためにできること〜

働く女性の皆さんこんにちは。
先日、大阪のママボノチーム6名から、株式会社ナチュラルリンクの高野がインタビューを受けました。このママボノチームは「ぷちでガチ!育休MBA」をサポートしており、復帰後のワーママや既受講者へのヒアリングを中心に、ワーママにどのようなつながりがあればよいのかニーズを調査し、解決策も合わせて提案するマーケティング基礎調査を行っています。

(※)ワーママとは?
「working mamaの略語。働きながら子育てをする母親」

ママボノとは?
仕事復帰を目指す子育てママたちが、復職に向けたウォーミングアップと同時に社会貢献活動を行える、認定NPO法人サービスグラントが運営するプロジェクトです。

1 ママボノの取組みと、ナチュラルリンク設立のきっかけについて

ママボノメンバー:現在、非営利組織とプロボノワーカーとが協働する「プロジェクト型助成」の仕組みがあるのですが、私たちはその中で「ぷちでガチ!育休MBA」さんのサポートをしています。
今回ここにいるメンバーも全員、育休中のママなんです!

高野:育休中にゆっくり休むのではなく、こうして積極的に活動されるなんて本当にすごいですよね。

ママボノメンバー:1人目出産の時は育児に必死でしたが、現在は2人目の育休中なので精神的にも余裕があり、今のうちに何か活動がしたいと思うようになりました。
そこで、「ぷちでガチ!育休MBA」に参加して、同じ育休中のママたちと経営学について学んでいます。さらにプロボノワーカーとして、「ぷちでガチ!育休MBA講座」の課題である復帰後のワーママのためのつながり方をどのように作っていくか?を様々な人と情報交換させて頂きながら調査し、解決策の提案に向けての活動しているところです。

本日は高野さんと情報交換ができること楽しみにしておりました。よろしくお願いいたします。

高野:こちらこそよろしくお願いいたします!育休ママの現場をよくご存知の皆さんと、普段から企業の経営者や人事担当の方の生の声に触れる機会の多い私とで、有益な情報交換ができればと思っております。

ママボノメンバー:そもそも高野さんは、なぜ2009年に「女性活躍推進」という分野で会社を立ち上げようと思われたのですか?

高野:実は「女性活躍推進で日本を変える!」といった崇高な思いで起業したわけではありません…。きっかけは、今から8年前の26歳の時。前職で、中小企業の経営者に企業研修を提案する営業をしていたのですが、ある経営者の方にこう質問されました。

「いつもお客様のビジョンや目標ばかり聞いているけど、肝心の君の目標は?将来は何がしたいの?」と。

当時は具体的な目標なんて全く無かったのですが、新入社員の時に一瞬だけ「社長ってかっこいいなーなりたいなー」と憧れた時期があったことを思い出し、とっさに「社長になりたいです!」と答えました。

すると「いいねー。じゃあその為にどんな準備をしているの?」と聞かれて「いや、何もしてないですけど…」と答えると、凄まじい勢いで叱られたんです。

「ふざけるな!口だけ人間が!今この瞬間にやるかやらんか決めろ!」って。とっさに「や、やります!」と答えたことがきっかけで、独立することになりました(笑)

ママボノメンバー:へぇ〜(笑)

高野:何の事業で独立しようかとあれこれ考えましたが、すぐには思いつきませんでした。

そんなある日、営業先で「女性に働き続けてほしいのに結婚を機に辞めてしまう」「女性が続かない」という悩みを経営者の方から立て続けにお聞きする機会がありました。

一方で、女性社員さんにヒアリングすると「結婚や出産をしても働き続けたいが、前例が無いので無理だと思う」「社長はそこまで私たちに期待していない」という声が返ってきました。

そこで、経営者の方は女性社員さんに長く続けて欲しいと思っていて、女性社員さんも長く働き続けたいと思っているのに、両者の間には大きなギャップがあることに初めて気づきました。

ママボノメンバー:今ほど育休を取得して復帰される方は多くなく、まだ珍しかったですよね。

高野:そうなんです。「うちは育休制度ないし」と普通におっしゃる経営者の方も多くて、おいおいそんなはずないやろっていう…(笑)
そこで、経営者と女性社員さんの間にあるギャップを解決できる会社を作りたいと思うようになり、「女性活躍推進事業」としてナチュラルリンクを設立しました。

2 ワーママがイキイキ働くための企業の課題について

ママボノメンバー:ナチュラルリンクさんに問い合わせが来るのは、どのような企業なのですか?やはり女性活躍推進に積極的な企業からが多いのでしょうか?

高野:はい、女性活躍推進に積極的で、予算取りもある程度されているけれど何をすれば良いか分からないという段階の企業が多いです。以前の当社は、啓蒙活動を含めた営業を中心に行っていました。テレアポもして「女性活躍はこれからの時代に必須です!」と社長や担当者を口説いていた時代もありましたが、やはりトップが本気でない企業を動かすのは難しいと感じました。

また、3〜4年前から私も創業メンバーの前本も育児しながら働いているので、言い方は悪いですが、契約につながらない無駄な営業活動はしていられない。

ですからそれ以来プッシュ営業は一切やめて、本気で女性活躍に取組む意思のある企業からお問い合わせを頂けるようなプル型営業にシフトしました。具体的にはホームページに力をいれたり、ブランディングのために本を書いたりメディア露出を高めたり…。

おかげ様で現在は、ほぼ100%、お問い合わせやご紹介でお仕事を頂いています。

ママボノメンバー:なるほど…。その中で、女性活躍推進に関する企業の一番の課題は何だと思われますか?

高野:一番は、「トップの方の本気度」。働き方まで変える覚悟があるかというところが大きいですね。女性活躍を進めたい企業の中には、「今政府も力を入れているし採用でも女性が増えてきたし、うちも何かやらないかんなぁ」とざっくりした目的で進めようとされる企業もおられます。

ただ、本当に男女問わずやる気と実力のある人たちが活躍できる会社にするためには、会社全体として働く環境を変えなければ絶対に無理です。柔軟な働き方ができること、ITツールを導入して家でも仕事ができること、長時間ではなく効率よく働いて結果で勝負できるようになることなど…。

まずは社長がそこまでメッセージとして社内外に発信されないと、現場は変わりませんし、ただ研修をするだけで終わってしまうと思いますね。

ママボノメンバー:また加えて、上司の方の存在も大きいですよね。同じ会社の中でも、理解がある上司のもとではワーママでも戦力としてイキイキ働けるのに、理解が無い上司の元だと残念ながらワーママはうまく力を発揮できない状況はよく目にしてきました。

高野:そうですよね。これまでに、女性でキャリアを継続させイキイキ働いておられる方にお話を聞くと、ほぼ100%上司に恵まれたという答えが返ってきます。

ママボノメンバー:もちろん女性側の意識を変えることも大切ですが、やはり男性側の、特に経営者や上司の方の意識や働き方を変えることが本当に重要だと常々思いますね。

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3 若手経営者の意識の変化と学生の価値観について

高野:一方で最近、若手経営者の方や、代替わりされた経営者の方とお話していると、「考え方がとても柔軟だ」と感じることが多いです。実際にご自身が小さいお子さんの父親だという方は子どもの教育に熱心ですし、奥さんが育児しながら働いておられる方は、子どもを持って働くことに大変理解がありますよね。
決して女性に甘いということではなく、「長時間労働ではなく、どんな人でも効率よく働けるようにする」「子育てはみんなで協力しよう」という考えを自然とお持ちな気がします。

ママボノメンバー:それ分かります!私が働く会社も、3代目の次期後継者が共働き家庭なのすが、やはり考え方が柔軟だと感じます。

高野:一概には言えませんが、50代以降の方は奥さんが専業主婦の方も多いので、私たち世代とは感覚が違うと感じることも多いですね。先日2人目を出産する話をしていた時に「子どもが2人になるなんてそんな心配せんでも、子どもは勝手に育つで」と言われて、「いやいや、自分子育ても家事も奥さんに任せっきりやったのによう言うわ」と思いました(笑)

ママボノメンバー:分かる〜!分かります〜!(笑)少し話は変わるのですが、高野さんは、学生さんにも講演や授業をされていますよね。

高野:はい、今は母校関係で同志社大学からご依頼をいただき、毎年キャリア開発の一般教養授業の一コマを担当しています。堅苦しいキャリアの話ではなく、実体験を話して欲しいというご要望なんです。

ママボノメンバー:なぜ大学側はそういった依頼をされるのですか?

高野:女子大生に限らず、現在の学生は社会に出て働くことについてマイナス印象を持っている人も多いです。マスコミの「ブラック企業だ」「不景気だ」「日本は女性活躍が進んでいない」という情報や、ドラマの影響が大きいようですね。

ですから大学側としては「社会で働くことは大変なことも多いけれど、実は面白くて自分の人生を豊かにしてくれるんだよ」という生の声を学生に聞かせたいという考えなんです。

実際授業を受けた学生さんの感想で多いのは「働くって面白そうだと思った」「育児しながらでも働けると希望になった」という声が多いです。

ママボノメンバー:素敵です!私たちは今、「ぷちでガチ!育休MBA」で学んだ後、復帰後のワーママたちの学びと繋がりの場について課題解決に取り組んでいますが、「ぷちガチ」が、学生さんに対して何かできることがあるとしたら、高野さんはどのようなことだと思われますか?

高野:イベントは良さそうですよね。学生さんは正直、自分が結婚、出産するイメージがまだ湧いていないと思うので、就活を控えた学生さんに対して「先輩女性の就活の際のアドバイス」「女性が活躍する企業の見極め方」など就活に繋がる実体験のお話ができると面白いと思います。

ママボノメンバー:それは良さそうですね!でもイベントを企画してはたして学生さんが集まるかどうか…。

高野:当社も来年は、女性活躍が進むベンチャー企業とやる気のある女子大生の採用イベントを実施する予定なので、何か一緒にコラボ出来るといいですね!

4 「ぷちでガチ!育休MBA」に期待すること

ママボノメンバー:本題の「育休復帰後のワーママの繋がり作り」についてなのですが、高野さんはお子さんを出産された後でも、インプットやご自身の勉強のために土日を利用してセミナー等に参加されていましたか?

高野:実はほとんどしてないんです…。出産前から実は超インドア派で家が大好きなので、土日は極力家族との予定をいれたり、家で過ごすことが多かったです。出産しても週末にインプットの為に出かけることはほぼありませんでした…なんだか皆さんを前にしてお恥ずかしい限りです。

ママボノメンバー:いえ、とんでもないです。実際出産して週末に出かけようと思うと、子どもを誰かに預けないといけないので、それはそれで大変ですよね。

高野:そうですね。ただ、仕事を通して知り合ったワーママの方とは、お仕事のお話を越えて色々と相談したり情報交換をするようにはなりました。先輩ワーママのお話は大変参考になりますし、「辛い面ばかり見るのではなく、子どもとの貴重な時間を楽しもう」と思えるようになりましたね。

また1人目出産の時はインプットを考える余裕などなく必死だったので、正直当時の記憶はあまりありません…(笑)

ママボノメンバー:なるほど…高野さんがそうなのであれば、土日にわざわざインプットの為にセミナーや勉強会に参加するワーママは、少数派かもしれないですね…。

高野:ただ先日、平日の日中に大阪商工会議所主催でワーママを対象にしたセミナーをしたのですが、30名の定員枠が告知後一瞬で満席になったと担当者の方がおっしゃっていました。キャンセル待ちも10名以上おられたのですが、結局キャンセルが出ずにそのまま開催となりました。

昨年よりも今年は、企業の意識が格段に上がっているようで、参加者のほぼ全員が「会社の人事部や社長から参加してきたら?」と言われて参加された方々でした。

ママボノメンバー:おぉ…そうなのですね!確かに業務時間内に参加できるのがベストですが、会社側から「その分成果を出すのか」「参加することでどのような効果があるのか」と言われてしまい、逆に参加が難しそうな気もします。

高野:ワーママが増えているけれど、社内で研修や座談会をするほどの大人数ではないし人事の方も忙しい。であれば、外部のセミナーに参加してもらって、情報収集やモチベーションアップに繋げてもらいたいという人事の方は増えているようです。

先日のワーママ対象のセミナーでは、3時間のうちほぼ半分がグループディスカッションや情報交換の時間にしましたが、それが大変良かったと参加者から好評でした。他社の成功事例を知ったり、同じように頑張っているママと触れることが大きなモチベーションになられたようでした。

ママボノメンバー:「ぷちでガチ!育休MBA」でも平日にそのような講座を開催することを、ママボノからの提案に含めようとした場合、企業の人事部の方から社内に告知して頂いて社員さんが参加して下さるのでしょうか?

高野:社員を参加させたい企業側にとっては、開催側の信頼や実績が大切なので「どこがセミナーを主催しているか」は重要ですよね。今回も「どこかよく知らないところが主催している」のではなく、大阪商工会議所が主催だったので、信頼して参加された部分も大きかったと思います。「ぷちでガチ!育休MBA」さんも、商工会議所や行政とコラボして何かを実施するのはありかもしれないですね。

ママボノメンバー:なるほど!「ぷちでガチ!育休MBA」に参加するママは意識が高いので、皆さんから会社の女性活躍の取組みやワーママの現状についてアンケートをとり、そのデータを企業側にレポートで提供するという案もぜひ提案に含めたいと思っているのですが、いかがでしょう?
人事部の方は、他社事例や情報を集めておられると思うので、結構ニーズはあるかなと思うのですが…。

高野:それはとても良いと思います!人事部や女性活躍推進担当の方は、おっしゃるように他社事例を求めておられますし、情報収集については積極的です。セミナーに会社から社員さんが参加した企業だけの特典として、シークレットレポートみたいにすると、セミナー参加者がすごく増えそうですよね!(笑)

ママボノメンバー:確かに!「ぷちでガチ!育休MBA」には、育休ママや復帰後のワーママのネットワークが既にありますし、ナチュラルリンクさんは企業側のネットワークをお持ちなので、両者がうまく繋がる仕組みが作れると面白いですね。

また、参加者の方にインタビューし、女性のロールモデルとしてサイトや紙面で紹介できると、その会社にとっても「自社は女性が活躍する企業である」とアピールできるので良いと思います。

高野:是非、そのインタビューはWoo!にも掲載させて頂きたいです。Woo!は関西の働く女性の情報発信のハブサイトへと育てていきますので、また是非ママボノさんや「ぷちでガチ!育休MBA」さんとも色々とコラボさせて頂けたら嬉しいです。

ママボノメンバー:はい!あっという間に時間が来てしまいましたね…こちらこそ引き続きよろしくお願いいたします!

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