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自分を責めてしまうお母さんに~お母さんのためのしあわせ学

働く女性の皆さん、こんにちは。
社会保険労務士であり、一児の母でもあるシェアリストの神野沙樹です。

「子育ては自分育て」という言葉をきいたことがあります。自分自身が子育てをする中で、確かにそう感じることはあります。「この経験は自分にとって“人間的な成長”をさせてくれている」と。

しかし、あらためて振り返ると、自分が霧の中にいるときはなかなかそう思えないなと感じるのです。

例えば、イライラしている最中に「子育ては自分育て、自分が育っていると思おう」と、広い心を持つことは難しい…そう思ってしまう自分がいます。
子育て本や雑誌のインタビュー記事で「子どもに一度も怒ったことはありません」とか「子どもにはいつも笑顔で接しています」といった文章を読むたび、「すごいなぁ~私なんか全然出来ていないな」と感じてしまうのです。

この記事を書いた日の朝も、まさに子供にイライラとしていましたから…(苦笑)
しかし、最近はあることをきっかけに、少しだけ視点が変わり、イライラしている自分を責めることはなくなったなと感じます。

自分が「イライラ」しているとき

冒頭で書いた「あること」を知る前は、イライラがイライラを止められずヒートアップ。
あとから「言い過ぎたかな」と反省するとともに、自己嫌悪に陥ることもありました。

もちろん今でも、反省することは多々あります。
でも、自分で自分を責めることは少なくなったように思います。

では具体的にどうしたかというと、イライラしているとき、こう思うようになったのです。
「あ!私、いまイライラしている」と。

そのイライラをどうにかして取っ払うのではなく、まず「あ、いまイライラしているな」と実感するのです。
すると、不思議なことに、そのイライラを楽しむ自分や、イライラを悲しむ自分、イライラにイライラする自分が居ることに気づきました。

言い換えると、もう一人の私が、私を見ている感じとでもいうのでしょうか。
そう、興味の矛先を「子どもに対して」ではなく「自分に対して」向けるのです。

陽明学との出会い

私を少しだけ成長させてくれた「あること」とは、「陽明学(ようめいがく)」という学問でした。
今から500年ほど前、中国の王 陽明(おう ようめい)が唱えた学問で、儒学の一つです。

社会保険労務士の先輩が、「人事労務に携わる者として、社労士は陽明学を知っておいたらとても良いと思う」と教えてくださり、触れる機会をいただきました。

歴史も嫌い、古典の授業も苦手だった私は「私、分かるかしら…」と不安でいっぱい。
しかし、学んでみると、そんな不安は吹っ飛びました。

なぜなら、学べば学ぶほど、ふと自分の心が軽くなる感覚があったからです。

■次のページへ>>>陽明学に触れてみませんか?

お母さんのためのしあわせ学

陽明学をベースに学び、自分自身の在り方や生き方を見直す機会は、社労士としてだけではなく、経営者としても、一人の人間としても、また「お母さんとしても」とても意味のあるものだと思いました。

そこで、2017年から毎月1回のペースで「お母さんのためのしあわせ学」と題して、お母さんたちで陽明学に触れる機会を作っています。

陽明が弟子たちと対話した内容を記録した「伝習録(でんしゅうろく)」(漢文)を題材にして、「超訳」していきます。
というと「難しいことを勉強する場」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、「陽明学」をベースにお母さんがお母さん自身の生き方や過ごし方を考える、そんなアットホームな場です。

例えば、英語を学ぶとき「分からないところはとりあえずざっくり“こんな感じかな”とイメージしてみてください」と言われますよね。
あの感覚で、「正確に一言一句」訳するのではなく、ここにはどんなことが書いてあるのかなと思いながら「超訳(意訳)」していきます。

この「しあわせ学」は、陽明学「を」学ぶ事が目的ではなく、陽明学「から」学ぶことを目的としているからです

そして、訳した内容を見てみて、自分の体験に照らし合わせてみたり、何でも思ったことを対話していきます。

自分自身の心に矛先を向ける

「心の真切」というテーマの回は、こんな感想が聴かれました。

生まれてきた赤ちゃんは、みんなぴかぴかの玉を持っています。
ただ、お母さんの「わが子を育てる」「育てるのは私」と思う気持ちが、そのぴかぴか玉にキラキラパウダーを振り掛けてみたり、色を付けてみたり…、

そんなことをしてしまっているのかもしれません。
本当は、そのぴかぴかの玉をいかにそのまま保つようにするか、その土壌(環境)を作るだけで良いのかも…

そのためには、やっぱりお母さん(もちろんお父さんも)自身がどう在るかということも大切だし、「家」という場所もすっごく大切ですね。

子育てに正解はありません。

そうは分かっていても、「こうあるべき」とか「どうすべきなのか」といった考えに陥ることも多々あります。
他人の目や、他の子どもたちと比べてしまうこともある。

しあわせ学は、「答えを外に求める」のではなく、「自分自身の心」に矛先を向けて、まず自分の心と向き合う機会づくりだと私は思っています。
いつもじゃなくてもいい、でも「しあわせ学」に参加した日は、ちょっとだけ子供に優しくなれる、子どもの声を聴こうと思える自分がいる。
そんな機会になったらいいなと思って続けています。

あくまでも陽明学を学ぶのではなく、陽明学“から”学ぶ場ですから。

「子育ては自分育て」
これは間違いなくそうだと思います。

でもそれを「自分が頑張らなくちゃ」と捉えるのでは、やはりしんどくなります。
「○○しなくては」ではなく、自分の心に向き合える場づくりを。

そう信じて、今日も奔走します。

■「お母さんのためのしあわせ学」または「陽明学」について■
現在は、「お母さんのためのしあわせ学」は京都で開催していますが、色んな立場の人(社長や社員さん、学生さん等々)が参加する会は、全国で広がっています。
また、「お母さんのためのしあわせ学」もこれから順次広がっていきますので、ご興味ある方はお声掛けください。
詳しくはこちらからどうぞ。