こんにちは、キャリアコンサルタントの高橋紀子です。
あらゆる仕事場面で常に必要とされる、「根回し」。
これが得意な人は仕事がスムーズに進んでいるように見えるけど、実際にどうしたらいいのかわからない、という声をよくお聞きします。
ここでは2つのケースをあげながら、どのようなことを心がけたらいいのかをお伝えしたいと思います。
そして、これを読んだあなたは今日から「根回し上手」になれるはず。仕事をスイスイこなしていきましょう!
ケース1:上司への根回し
生命保険会社の営業、入社4年目マユミさんのケース。A課長に提案した企画が「なかなかいいね」と言ってもらえたものの、いつまでたっても上にあげてもらえない。いっそB部長に直接提言しようかとも思うけど、A課長を飛ばして言うのもプライドを傷つけそうで気がひける。でも、このまま提案が先延ばしにされるのは悔しい・・・そう思ったマユミさんは新たな行動に出ました。
B部長は積極的に発言する社員を評価するタイプ、新しい提案は喜んで聞いてくれるということはわかっていたので、会議終わりの部長にさりげなく話を持っていくことに。ただ、いきなり自分だけの提案にするとA課長の立場がないと考え、言葉を選びながら切り出しました。
「部長、A課長から新しい企画のことは聞いていらっしゃいますか?」
「いや。聞いていないよ」
「もうお話が行っているかと思ったのですが、高齢者向けの新商品の販売戦略についてA課長に提案したら、なかなかいいねとほめていただいて。部長にぜひ伝えると言っていただいていたんです。A課長からアドバイスをいただきながらチームで作り上げていきたいと思っていますので、よろしくお願いします!」
すぐにB部長からA課長に話が行き、マユミさんの提案がB部長の耳に入って、その販売戦略が取り入れられることになりました。もちろん、提案を認めていたA課長も高評価。
うまく進んだポイントは
①根回しをする相手である部長の性格を理解していた
②A課長のプライドを傷つけず、「一緒に」取り組んでいること、認めてもらっていることをアピールした
③独走しなかった
この3点です。
上司を味方につけながら自分がやりたい仕事を進めるために、こうした根回しをさりげなくしたことがマユミさんの成功の秘訣でした。
ケース2:リスクの予測
出版社の制作担当、入社2年目のクミさん。締め切りがタイトな週刊誌を担当しているクミさんにとって、毎日が修正とハプニングの連続。日々起こる出来事の対応に振り回され、バタバタと走り回ってばかりでスムーズに仕事を進められないことに疲れていました。
先輩に相談すると「先の予測ができていないからじゃないかな」とのアドバイス。よくよく考えると、起こりうるリスク(ライターさんからの原稿アップが遅れるかもしれない、スポンサーから修正が入るかもしれない等)の読みが甘かったことや、そもそもそういったことを周りに伝えていなかったことに気づきました。また、「伝え忘れていた」「自分がミスをした」といった、言いにくいことは迅速に報告していなかったことも、スムーズに仕事が進まない原因だと気付いたのです。
言いにくいことほど後回しにしないことや、後工程に関わる人にはできるだけ早く変更スケジュールを伝えることが、必要だったんですね。
クミさんはすぐに2つのことに取り組みました。まず自分の仕事の整理整頓をすること。そして今後起こりうるリスクを中心としたスケジュールを周囲の人にできるだけ早い段階で伝えること。そうすることでようやく、仕事が回り出しました。
こうした「予測」と「報告」は、ためこんでしまわずに短いスパンで回すことが、仕事をスムーズに進める根回しのポイントだったのです。
仕事に必要な「根回し」=「共有化」
忙しい時、自分に余裕がない時、そして仕事に振り回されている時は「根回しをすること」を忘れがち。でも、本当はそんな時こそ、根回しをすることが大切。それは、「仕事を一人で抱え込まないこと」につながるからです。
仕事をスムーズに進めようと頑張りすぎて、自分の状況や大変さを誰にも言わずに一人だけで抱え込んでしまい、結果的に仕事が滞ってしまったことはありませんか?これは責任感の強さゆえの悪循環。もったいないですよね。
それを回避するために「根回し」があるのです。
もっと周囲に自分の仕事をわかってもらい、早い段階で進捗状況を(自分が隠したいことも含めて)オープンにしましょう。そうした仕事の共有化ができると、必ず協力者が現れます。現れた協力者には、どんどん力を貸してもらいましょう。(遠慮は禁物です)
そうやって周囲を巻き込んで仕事をすると、一人でやるよりもっと早く、そして大きな仕事ができることに気付くはずです。
「根回し上手」は「巻き込み上手」。
チームで大きな仕事を成功させるために、そして一人で仕事を抱え込まないためにも、「根回し」を意識的にやってみましょう。