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大手製造メーカーに新卒入社、10年目で労働組合へ | メンターに相談して開けたキャリア

皆さんこんにちは。アーチ・キャリアが提供している、働く女性向けに社外メンターを紹介する「メンターmikke

メンターmikkeのコンセプトや想いに大変共感したWoo!では、メンターmikkeで社外メンターによる面談を体験した働く女性の皆さんのインタビューを、定期的に掲載させていただいています。ぜひ、ご覧ください。

「メンターmikke」インタビュー

今回インタビューさせていただいたSさんについて
■業種 / 職種:製造メーカー / 労働組合に出向中
■年代 / プライベート:30代 / 既婚
■社会人〜現在までの職歴: 2007年、大手製造メーカーに新卒で入社。海外勤務経験を経て、その後係長に昇格。3年前より労働組合に出向、現在に至る。

①社会人になり今までのご経歴を教えていただけますか?

はい。2007年の時、製造メーカーに新卒で入社しました。主に事務職として勤務し、今年で13年になります。 この間に、海外出向も経験でき、入社10年で係長にも昇格し、大学時代に自分が思い描いていた通りのキャリアを積み重ねてくることができました。

ところが、係長になって1年ほど経った頃、突然、労働組合への出向を言い渡されました。 労働組合と聞くと、当時は「会社と対立していそうでなんとなく怖そう」「どんな仕事をしているのかよく分からない」というイメージがあったので、 「なぜ私が?しかも女性で…これって左遷なの?」と、最初は正直そう思ってしまいました。

そして実際組合の中に入ってみると、まさに製造メーカーの男社会という感じで… 現場で油まみれになって働いている方や、技術屋の方(大学でいう理系の人たち)など、様々な職種の方々がいる中で仕事をする形となりました。

組合と会社って、全然違うものですか?

そうですね。違うと思います。 会社の仕事は、主には経営者が方向性や戦略を決め、従業員は各々がそこに向かって動いていく感じで、「経営者の言うことを聞いて動いていく」イメージですが、組合の仕事では、組合員と会社の間に立ち、その橋渡しをする役割を担います。

例えば、「今の制度はこういうサポートがあるともっと使いやすい」「もっとこんな職場風土だったら働きやすい」といった意見を組合員にヒアリングして、その結果をもとに人事部とより使いやすい制度を検討したり、会社の経営陣に職場風土改善に向けて働きかけをするなどが、主な仕事内容ですね。

組合は会社よりも、圧倒的に男性社会というイメージがあります。

そうですね。そもそも女性が少なく、活動の進め方も男性中心に考えられている部分が多い印象で…最初の頃は、何だか居心地悪いなぁと思ったり、女性社員が増えてきているのに組合が男性中心って違和感あるよなぁと感じていました。

そこで、「組合の中でも、女性がもっとイキイキ働けるような取り組みをしたい」と思うようになり、ちょうどその頃にタイミングよく、同じような志を持つ女性が組合に入って来てくれたので、彼女と一緒に色々と情報収集するようになりました。

そして、調べているうちに、アーチ・キャリアの「メンターmikke」にたどり着きました。

②そこから、なぜ、「メンターmikke」の面談を受けるに至ったのですか?

コンタクトを取り、アーチ・キャリアの代表の井本さんと「どうすれば、女性がよりイキイキ働ける組織になれるか」について意見交換する機会をいただきました。

そこで、アーチ・キャリアの理念や考え方をお聞きしたのですが、それにすごく共感して…

「じゃあ、まずは自分がメンターの面談を受けてみようかな。実際に自分のキャリアについても悩んでいるしなぁ。」

と思い、メンターをご紹介いただくことになりました。

③メンターはどのような方でしたか?

組織の中でダイバーシティを推進していくコツや工夫について、ヒントが得たかったので、そういったご経験がある方とお話したいと思いました。

というのも、ダイバーシティ推進は、「組織としてそれをやらなければ死活問題に関わる」「会社の利益向上に直に影響する」というものではないので、みんな大切なことだと分かっていても、何がなんでもやらないといけないというモチベーションにはなりにくいんです。

また通常の業務をやりながら兼務で進める必要もあり、各メンバーの温度差もありました。 加えて、組合が普段何をしているかわからない人も多い中で、「どのようにしてみんなを巻き込み取り組みを進めていくか」が、当時の自分の大きな課題でした。

そこで「私と同じような経験をお持ちのメンターはおられますか?」と聞いてみたところ、まさにビンゴ!という方をご紹介頂くことができたんです!

そのメンターさんも私と同じように、製造メーカーで働かれていて、ダイバーシティ推進の経験をお持ちの方でした。 そして、そのメンターさんがぶつかられた壁が、今まさに自分がぶつかっていた壁と同じだったので、それをどのようにして乗り越えられたのかという実体験には勇気づけられましたし、

面談を通して「今後自分がどんなことに配慮しながら進めれば良いか」具体的なアドバイスが頂けて、大変有意義なものとなりました。

では、ご自身のキャリアについてはどのようなご相談を?

労働組合に出向したことで、せっかく今まで積み上げてきたキャリアをストップすることになってしまうのではないか、という焦りや不安があり、そのことについてご相談しました。

労働組合への出向は、これまでに海外勤務や様々な経験を経て、「さぁ、これからだ!」という矢先のタイミングだったので、自分の中ではまさに青天の霹靂でした。

同僚は、実務のノウハウを蓄積し、マネジメント経験を積んで、着実にキャリアを築いていっている中、私は全く異なる労働組合というところに出向する…これって、ディスアドバンテージではないか…と。

ですから上司に初めて出向の話をされたときは、「なんで私なんですか?!」と涙ながらに訴えてしまいまいした。

また当時、社内の同僚にもこの件について相談しましたが、

「せっかくの機会だし思い切って飛び込んでみたら?もしかしたら、また違う世界が見えるかもしれないよ。嫌ならまた戻してもらったらいいじゃない」

と…。

せっかくのアドバイスでしたが、組合という得体のしれない組織に「飛び込んでみたらいいよ!」なんて…他人事だから言えるのだと正直感じてしまいました。

また上司からも「きっと良い経験になる」と言ってもらいましたが、「上司という立場上、どこの部署に異動するにしても、悪いことは言わないよなぁ…」とも思ったり。

ですから、全くの第三者目線の方に「今私が組合に行くことは、自分のキャリアにとってマイナスにならないのか」ということを、ぜひお聞きしてみたかったんです。

なので面談では、「今の自分の状況をどう受け入れ、これからどのように進んでいけば良いか」ということを相談しました。

実際第三者のメンターさんに相談してみて、どうでしたか?

「本当に私にピッタリなメンターを紹介してくれた!」と感激しました。

というのも、私のメンターさんは、社長秘書室で室長として働かれている方で、社長や経営陣が現場からの提案に対してどのように反応したり、どういったところを大切にしているかを間近で見てきた方だったんです。

面談の中で「文句と要望は違う」という気づきを頂いたことは、「従業員が働きやすくなる」提案を経営層に伝える立場の私には目から鱗でした。

例えば、単に「こうしてほしい」と言うのではなく、「こういう制度を導入してもらえたら、これだけのメリットがあり、会社にとってもプラスではないか」という風に伝える工夫をすることで、相手の受け止め方が変わることを知りました。

加えて、私が組合でやっている仕事は「従業員の皆さんを巻き込み、どう引っ張っていくか」これは、実は「マネジメント業務そのものなんだ」とも気づかせていただきました。 組合組織には、私が持っていきたい方向性に反対する人も当然います。

会社以上に、年齢層や立場が異なる人たちの集まりなので、「ある人は良いと言ってくれても、ある人は嫌だと言ってやってくれない」ということも日常茶飯事です。

また組合は、会社と違って、上から「やりなさい」と命令することはできない組織なので、どうすれば皆さんに主体的に動いてもらえるのか、当時はすごく悩んでいました。

その悩みに対してメンターから、「どの組織でも反対する人たちはいる。そんなとき『反対するひとがいるから無理』ではなくて、そういった人たちにこそ『どこが引っかかる?』『どういう風にしたい?』と意見を聞いて考えを引き出し、すり合わせしていくことが大切だ」と教わりました。

そして、こういった一つ一つの仕事が、自分のマネジメント力向上に大きく役立つと知りました。

なるほど!確かにそうですね!

女性って、「なんであの人は分かってくれないの?」という風に、感情で動いてしまう傾向が少なからずあると思うんです。

ただ、仕事を進めていくにあたっては、感情だけではなく、理論的に、冷静に対処していくことが大切だと気づけたことは大きかったです。

また、「メンターmikke」のメンターさんは「こうした方がいいよ」と押し付けるのではなく、本人が気づき、自分で判断して進めるように面談してくださるのが良かったですね。

メンタリングの間、ほぼ8割の時間は「どうしてそう思われたんですか?」「その裏にある○○さんの思いは?」などと、質問をしてくださいました。

そうやって質問してもらうことで、「そういえば初心はこういう気持ちだった」「あの時周りに言われたことは、実はこういう意味だったのかもしれない」などと、自分が今まで気づかなかったことに気づくことができました。

そうやって自分で気づけると、「これを、こんな風に変えてみよう」という風に、自らの意思で一歩前に踏み出しやすくなりますよね。

「メンターに言われたからやってみよう」ではなくて、質問によって考えるきっかけをもらい、自分の中で内省し、納得した上で次に進んでいくことができる。 この一連のメンタリングはとても有意義でした。

たくさんいらっしゃるメンターの中で、こんな風に私を導いてくださるベストなメンターをマッチングして頂いて、本当に感謝しています。

質問によって相手に気づかせるというメンタリングそのものが、そのまま日々の業務に活きそうですね。

そうなんです。面談を通して「こういう質問を投げかけると、こんな答えが返ってくるよ」とご自身の体験を踏まえて教えて下さったり、マネジメントやチームビルディングに関する本も紹介もしていただきました。

ただ「この本を読んでみて!」と押し付けるのではなくて、

「私はこういう時にこの本の内容がとても役に立ったから、○○さんが同じ状況に遭遇した時に、読んでみてもいいかもしれませんね」

という風に、「この本を読むか読まないかはあなた次第」という選択肢を与えて下さる面談のスタイルが、とても自分に合っていたと思います。

メンターmikkeの面談でメンターに相談したいという方は、その時点で「この課題をなんとか解決したい」という気持ちが強いと思うので、3回の面談を通じて、自分で動くきっかけを与えてもらえたのはとても良かったですね。

④面談終了後、家庭や職場ではどのような変化がありましたか?

●自分がやりたいことを実現するための工夫

今までの悩みが嘘のように、物事がすごくスムーズに進むようになったことには驚きでした。 以前は、仲間とデータを集めてやりたいことを提案していただけでしたが、組合のトップ層が思っていることもちゃんと理解して、トップ層の問題意識と自分がやりたいことをうまくマッチさせることで、物事がぐっと進むことが多々ありました。

●チームメンバーとの関係

また私、組合に入る前は、チームメンバーに対して「ついて来れない人はサヨウナラ。できないなら私がやる。」という考えが結構強かったんですね。

でも組合に入って仕事を進めていこうと思うと、関係者の合意がないと進められない…様々な考え方や立場の人がいて、特に職場の組合員からは「通常業務もあるのに面倒くさい」と嫌な顔をされることもあります。

そんな時は「なぜこれをやる必要があるのか」を丁寧に話して腹落ちしてもらうようにしました。時間はかかるけれども、その方が一人ひとりに納得してもらえるので、物事がすすみやすくなるんです。

こういったことも自分の中では大きな気づきだったので、「ついて来れない人はサヨウナラ」という考えのまま、マネージャーにならなくて良かったなと今は思っています。

●経営層への話し方

経営層に対しても、お願いばかりするのではなく「私たちもここまではやります。ですから皆さんはここをサポートしてください」と伝えるようにしました。

「自分たちも努力する」という姿勢を見せることによって、相手が聞いてくれる姿勢になってくれたり、受け取り方が変わったり、いろいろな場面で「伝え方一つで相手の反応ってこんなに変わるんだ!」と驚きました。

仕事内容は変わっていないのに、見方が変わるとこんなに変わるのですね。

もともとは「このままではキャリアがストップしてしまう。これから先、私のキャリアはどうなるんだろう」という不安な気持ちからメンターさんに相談をしましたが、

「今後は会社に戻って昇格すると、実務からどんどんかけ離れた業務になっていく。だからこそ、組合でやっていること(人をどう動かすか、どう巻き込むか)が、会社に戻ってから絶対に活きる」

とメンターに言われたのも目から鱗でした。

「これから年齢を重ねるごとに実務から離れていく中で、自分より上の人に現場の状況を伝えながら、よりメンバーにとって働きやすいように職場風土を整えていくことがメインの仕事になる。 だから、会社で実務ばかりやってキャリアを築いていては決して得られない貴重な経験を、今できているんですよ。」

実際にマネジメント業務をやっている第三者のメンターからそう言ってもらえたので、とても心に響きましたね。

今やっている仕事が、そんなにも意味のあることだったなんて…!嬉しいですね。

組織で働いていると「大きな組織を動かす」とか「頭のカタイおじさま達を動かす」なんて無理だという気持ちになる人も多いと思うんです。

半ば諦め状態で状況を受け入れて、事なかれ主義で時が過ぎていった方が楽だと感じてしまいがち。

でも、おじさま達から「こういう風にしてほしいなぁ」「これ何とかならないかなぁ」と言われたときがチャンスで、上司の望むことと自分のやりたいことをマッチングさせることができれば、物事は大きく進むんだと学べたことは大きかったです。

また面談では、次までに何をやるかをメンターと約束して、それを実行して振り返る仕組みになっているのが良かったですね。 1回目にもらったアドバイスを実践し、1ヶ月半後の2回目の面談時に、取り組んでみてうまくいかなかったことをまた相談できる。

1ヶ月から1ヶ月半でそのサイクルがやってくるのがちょうど良かったですし、その度にアドバイスももらえてすごく有り難かったです。

④では最後に、働く女性にメッセージをお願いします

今の時代は女性にとっての過渡期ですよね。会社の中にモデルケースがいないか、もしくはいても会社に1人か2人しかおらず、大きな組織だとその人と繋がれることはほぼありません。

だから多くの女性が迷いながら、模索しながら、自分のキャリアを築いていると思います。

特に20代、30代は、ライフプランやキャリアプランに様々な問題がやってくる、とても大変な時期ですから、そういう時に、気軽に相談できるメンターがいてくれるのはとても貴重なことだと思います。

「なんとなく30代、40代になっちゃった」ではなくて、自分の想いに耳を傾けながら、悩みや不安なことはさらけ出して、乗り越えて、後悔のないキャリアを築いていきたいですし、その際に、1人で抱え込まず、母親でも同僚でも外部メンターでもいいので誰かに相談するって本当に大事。

そして私たちが一歩ずつ歩み続けたその先には、後輩たちがよりイキイキ働ける世界が待っていると思うんです。

働く女性の皆さん、女性がより自分らしく、イキイキ働ける社会をめざして、少しずつでいいので、前へ前へと一緒に歩んでいきましょう!

【メンターmikkeのサイトはこちら、ご興味ある方は、ぜひのぞいてみてください。】
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