「こうあるべき」にとらわれず、 スキなことを全部やりたい女性のために。


営業売上0からトップセールスへ

入社したのは、主に中小企業に対して研修・コンサルティングを行う会社でした。配属当初、私はとにかく何をやってもうまくいかない、ダメな社員でした。細かい作業が苦手で書類一つ満足に作れず、人見知りでコミュニケーションもうまくとれない。挙げ句の果てには歩き方すら注意されてしまうようなありさまでした。毎日打ちひしがれていて、私はやっぱりダメな人間なんだなと凹みましたね。

上司からは「お前に事務作業は無理だから営業しかないぞ」と言われ、渋々営業として研修を受けることになりました。その会社では、上司を相手にしたロールプレイでOKをもらえれば営業として独り立ちできます。しかし私は、なかなかOKがもらえず、最終的に仕事が始まってしまう制約上「合格したことにしたるわ」と言われ、研修を終えました。

そんな背景もあり、自分の営業スキルに自信がなく、不安でいっぱい。客先の会社のインターホンを押す時に吐き気を感じるほどでした。一方で、多くの会社の社長さんに直接会ってプレゼンするうちに、社長って面白そうだなという気づきもありました。社内の飲みの席でも「いつか社長になりたい」と話していましたね。

ただ、成績は全く伸びず、入社1年目は売り上げが0の月も多々ありました。定期的に開かれる営業会議で、売り上げが上がらない原因を聞かれて、既存顧客の少ない田舎の地域を担当していた私は「私かって頑張ってるし、いい地域担当したら私でも出来ますし」と言ったんです。すると上司に激怒されました。「できるやつはどこでもできるんや!言い訳して結果を出さないようなやつに売り上げの要となる地域を任せられるわけないやろうが!たとえ他の地域を担当しても必ず言い訳をする。まずは与えられた環境で精一杯やってみろ」って。

他にも、私が社長になりたいと言っていることが上司の耳にも入っていたらしく、「この会社で役に立てない奴が世の中の役に立てるわけがないやろ」と言われました。

そこで、本当にこのままではダメだなと感じました。小さい頃から褒められて育ったので、そんなに叱られたことがなかったんですよね。さすがにこのままではまずいと思いました。どうするか考えた結果、営業成績で社内1位をとることを上司と約束したんです。

その時以来、何かかわった感覚がありました。逃げ腰で環境のせいにしていたところから、どうやったらアポが取れるか、次に繋がる面会ができるか、すごく工夫するようになったんです。

捉え方が変わると、途端に仕事が面白くなりました。どうすれば一番になれるか常に考え、そのための工夫の一つとして、一位だった憧れの先輩女性社員の真似をするということにしたんです。その先輩は、定時に帰りながら、売り上げはいつも圧倒的にトップ。何より、仕事が誰よりも楽しそうでした。

まず形からと、先輩と同じ手帳やペンを買って、話し方や笑い方を真似して。営業に同行させてもらい、お客様との商談の様子や移動時間の使い方までそばでじっくり観察しました。

徹底的に真似した結果、営業成績はぐんぐん上がり社内で2番になりました。あとは真似してきた先輩を抜かなければならない。先輩から、私との違いは社内の応援者の多さだと教えてもらいました。そこで、何か少しでも相手にとってプラスになる仕事をしようと心がけました。

結果的に、社内でみんなが応援してくれるようになって、トップの賞をとることができたんです。今まで自分で決めて達成した経験がなかったので、すごい達成感でしたね。ピアノも途中でやめちゃったし、入りたいゼミにも入れなかった、私は結局やっても無理やと思っていたのが、トップを取れたことで、すごい自信になりました。

人の縁に支えられ、独立へ

営業トップになってからは、頑張らなくても一定の成果が出せるようになりました。ありがたいことに、お客さんから継続的に紹介してもらえる仕組みができたんです。ところが、そんな状況が続くと、なんだか自分がこれまでのような成長をしていないことに不安を感じるようになりました。この先私はどうするんだろう、ともやもやを抱えていました。

そんな時、とある商談中に、相手の社長から「君は将来のビジョンは何かあるの?」と質問されました。とっさに昔言っていたことを思い出し、「社長になりたいと思っています」と答えました。続けて、「そのためにどんな準備してるの?」と聞かれ、なにもしてないと言うと、すごく怒られました。「そんなこと、軽々しく言うな。今この瞬間、起業するのかしないのか決めろ」と言われ、思わず「やります!1年以内に起業します!」と答えました。

そこからはことあるごとに社長同士の集まりに呼ばれるようになり、「この子、1年以内に起業するんだってよ」と他の会社の社長に紹介され、あとに引けない状況になりました。

ここまでしてもらって、起業しないわけにはいかないと思い、辞める相談を専務にしました。上司にしても、絶対に止められることがわかっていたからです。しかし、結局何も見えてない今のままでは無理だと止められ、仕事を続けながら起業の準備を進めることになりました。

まずは自己分析。社会人になって初めて自分自身と向き合い、ノートにすると30冊くらい自分について書きました。女性のための起業塾に通ったりもしました。また、退職した元同期に電話して「起業しようと思って準備してるんだけど、一緒にやらない?」と声をかけると、その場で「やる!」と言われました。

誘ったくせに、まさか即決されるとは思ってなくて、「まだ何をやるか決まってへんで」と言ったのですが、「みなちゃんとやったらやる!」と返されました。また、「うちら中小企業しか知らんから大手に転職するわ」と言われ、大手の人事部に1年契約の派遣として就職しちゃったんですよ。やばい、人生を変えちゃったと思って、これは本気で何をやるのか考えないといけないなと思いました。

そこで、どんなサービスが求められているのか考えた時、あらゆる企業が共通して抱える悩みがありました。それは、優秀な女性社員が結婚や出産で会社を辞めてしまうということ です。会社は復帰して欲しいのに、女性からするとロールモデルがいないので諦めてしまう。その会社と女性社員との間にあるギャップを埋めることができれば、ものすごく価値のあることなんじゃないかと考え、当時まだそんな言葉はなかったですが、「企業の女性活躍推進サポート事業」を行っていこうと決めました。反対していた上司も応援してくれるようになり、27歳で独立を果たしました。

→働く女性をHAPPYに…


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