自分探し、転職、独立−FAITH小川由佳さんにみる「天職に出逢う生き方」


Chapter2.これまでの私

2-1:幼少期ー学生時代

ー子どもの頃はどんなお子さんだった?
小学生の頃「将来は中学校の先生になりたい」と口にしていました。周りは「保育士さんになりたい」という友達が多い中で、私は子どもながらに「小さい子は苦手だなぁ」と思っていて…自分自身も十分小さい子どもだったんですが(笑)

ーその後も中学校の先生になりたい思いをずっと持ち続けていた?
いえ、大きくなるにつれて英語が好きになり、大学は英文科に入学し、英米文学を学びました。小学生の頃「中学校の先生になりたい」と言っていた割には、教職免許を取ることにはあまり興味がなく…英文科で勉強した人は教職免許取る人が多い中で、私は就職活動をする道を選びました。
実は、大学時代に読んだ中で、とても印象に残っている本があるんです。それはアメリカのある小説で「物事をどう感じるかは、全て自分の捉え方次第」であることが表現されていました。起こった出来事は1つでも、人によって色々な捉え方があると。その考え方は当時の私にとっては新鮮で感激し、そういった分野に興味を持つようになりました。
今思えば、当時抱いた興味と、今の「人の可能性をサポートするコーチや講師」という仕事は一本の線で繋がっているんですね。若い頃は「何をやりたいのか」頭で考え過ぎて答えが出せずに悩みましたが、結局自分の直感は嘘をつかない。心の奥底はちゃんとわかっているのだと思います。

2-2:社会人ー自分探しの始まり

ー新卒で入社したのはどのような会社?
「一生仕事を続けたい」という想いがあったので、結婚出産後も働き続けている女性が多い日系のメーカーに就職しました。希望通り海外営業部に配属されたのですが、実際に担当になったのは、海外の工場へ部品を供給したり日本の工場へ部品を調達したりする、ロジスティクス関係の仕事。居心地のいい職場ではありましたが、少し物足りなさもありましたね。
20代のうちに「自分はこれだ!」と言えるものを見つけてキャリアを積みたいと思っていましたし、自分がいけるところまでチャレンジしてみたかったので、外資系のメーカーに就職しました。前職の経験を活かし、その転職先ではロジスティクスに関わる業務プロセスを作ったり、ロジスティクス業務の立ち上げを担当しました。

ー日系から外資系、風土や働き方も全然違ったのでは?
そうですね。日系企業とは全く違い、ある日突然上司がクビになっていなくなってしまうなんてことも…。「外資系って本当にそんなことあるんだ!」と衝撃でした。仕事自体はとても面白かったですね。
新卒で入社して、その後転職してと順風満帆なキャリアステップに見えるかもしれませんが、20代のときは常に自分探しをしていました。たまたま最初に入社した会社でロジスティクスに携わり、自分なりに一生懸命やってきて、仕事も面白かった。でも、ロジスティクスが好きで一生やりたいかと問われると違う気がするし、かといって「何がやりたいの?」と言われればそれも明確には答えられない。
「20代半ばを過ぎて30歳が迫ってくるのに、このままでいいのか!?」という焦りがありました。いてもたってもいられなくなり、休日はひたすら自分探しのためにセミナーに行き、本もたくさん読みました。
そんなある日、「SCM(サプライチェーンマネジメント)のコンサルタント募集がある」と声をかけていただき「コンサルタントに前から興味があったから、やってみたい!」と思い、その会社に転職することに決めました。

2-3:コンサルティング業務ー人に携わる仕事がしたい

ーコンサルティングとは、具体的にはどんなお仕事を?
その会社は、クライアント企業にSCMソフトウェアを導入したり、それに伴う業務改革のコンサルティングを実施するIT系の会社でした。ただ、私はものすごくアナログ人間で、ITなんて全くの素人。入社しても、最初は全然ITのことが分かりませんでしたが、研修を受け勉強する中で少しずつわかるようになり、コンサルティングの現場にも携わらせて頂くことになりました。するとそれがすごく面白かったんですね。
ITの素人とはいえ、ロジスティクスにはずっと携わってきたのでその部分での知識や経験はありました。ですからお客様が困っていることに対して、業務の目線で「こうすれば解決できますよ」と提案することができ、結果それですごく喜んでいただけて。今までの仕事はお客様との直接の関わりがなかったけれど、コンサルタントの仕事は、お客様に実際に会い、ダイレクトに反応がわかる。そしてお客様や部下の変化・成長に関われる。「これだ!」と思いましたね。そこではプロジェクトマネージャーまで任せて頂きました。

ーやっとパズルのピースがうまくはまったと!?
そうなんです!と言いたいのですが…ここからまた色々ありまして(笑)ITの世界は、日々新しいものが世の中に生まれてくるので、常に新しい技術や最新の知識を取り入れ続ける必要があり…でも私は、そこまでITに情熱があるわけでもなく、SCMをずっとやっていきたいわけでもない。そして年齢はもうすぐ30代半ば。20代で結婚していたので、子どもを作ることも真剣に考えはじめました。当時、夫とは夫の勤務地の関係で別居婚だったんですが、「果たしてこのままでいいのかな?」ともんもんと考えるようにもなりました。

ーそして次なる転職を?
はい。6年務めたそのITコンサルティング会社からの転職を決意しました。次はSCM分野のマネージャーとして大手外資系メーカーへ。メーカーで現場のマネージャーとしての経験を積んでみたいと思ったからです。また、大手企業であれば、育休や産休制度が整っているから、きっと出産後も働き続けられるだろうという気持ちもありました。
転職先の会社では、10年ほど前にM&Aがあり2社が統合されていたのですが、10年たっても両社のシステムや業務フローに違いがありうまく機能しておらず、その業務改革を任されました。チーム運営から部下育成、業務改善まで、大変勉強になりましたね。
今は「人が自分の可能性に気づくための“触媒”でありたい」という思いを根底に持ちながら仕事をしているのですが、これは「企業の根本は人」「人は関わり方次第で大きく変わる」ということを、ITコンサルティング会社やメーカー勤務時代に実感したから。そしてようやく…これまでの経験を経て、「やっぱり私は人の変化や成長に直接関わる仕事がしたい」と確信を持つようになりました。

ーその後、人材系に転職をしたと?
SCM系から人材系へと、異分野への転職で大変な部分もありましたが、ご縁があり経営コンサルティング会社に入社しました。念願の人材育成に関われる業界。嬉しかったですね。ただ…そこでまた試練が待ち受けていました。
私は、過去何度か「小川さんってとても論理的だね」と言われたことがあり、自分はロジックに強い方だと思っていましたが、その会社では「小川さんは、ロジカルが甘いね」と指摘されることが多く…頭をガツンと殴られた感じでしたね。
「人の変化や成長をサポートするのが好きだから」という思いでしたが、経営コンサルティングの仕事はそんな甘いもんじゃないんだと。でもやっていく中で、戦略コンサル面では苦手な部分もあるけれど、「人材育成面で、人のやる気を引き出す、成果を出してもらう」ということは得意で、やっていて楽しいこと気づきました。研修は、自分が発したことで参加者の表情や場の空気が変わる。それがダイレクトに感じられて、本当にやりがいのある素晴らしい仕事。おかげ様で講師としても、受講者満足度ナンバー1を頂くことができました。

2-4:出産を決意ー独立まで

ー出産はどのようなタイミングで?
その頃プライベートではコーチングを勉強し、コーチングセッションも始めるようになっていました。ただ、40歳を過ぎていたので「本気で出産のことを考えないといけない」と思うようになり…。今までは夫も私も仕事優先でしたが、年齢を考えると産むならもう今しかないと。
おかげ様で妊娠し、それを機に、41歳で関西に帰ってくることになりました。私は大学から東京で生活していたので、20年以上もいた東京という土地から戻る決心がつかなかったのですが、「えいや!」という気持ちで、関西に引っ越しました。

ーそこから仕事復帰はどのような形で?
出産して5ヶ月後に仕事復帰したのですが、子どもがいての共働きとなると「子どもが熱を出した時は誰が対応するのか」「保育園のお迎えはどっちがいくんだ」ということになりますよね。
私は雇用形態をフル社員から契約社員に変えていて、一方夫はフルタイムの正社員。「僕は仕事の融通を効かせづらい。急なお迎えなどは君の方で対応してほしい」というスタンスでした。このとき、自分はどうすべきか相当悩みましたね。

ーそこで独立を決意したの?
はい。コーチの資格や前職の経験も活かして、コーチとして独立することにしました。早速、コーチで既に独立されている方に私のコーチになってもらい、色々と教えを乞いました。彼からブログで集客されていることを教えてもらい、「じゃあ、私もブログをやろう!」ということでブログを開設。そこから毎日ブログを更新し続けて1年後、自分の目標とする数のクライアントの方々と出会うことができました。
ただそうなると欲が出てきて…もっともっとクライアントを増やしたいと思うようになり…。すると、そこから途端に歯車が狂いはじめました。
集客のコンサルタントの方にもついて頂いたのですが、セオリーにとらわれるあまり、ブログに自分らしさが出せなくなり、集客状況は以前より悪化する結果に。当時お世話になっていた集客コンサルタントのクライアントさんには、成果を出している人が大勢おられたので、「他の人はうまくいくのに、私ってなんてダメなんだろう」とずっと自分を責め続ける日々でした。とても辛かったですね。
そしてとうとう体にまで不調が出始めてしまい…その頃ブログ2つとメルマガ2つを運営していたのですが、そのうちブログ1つとメルマガ1つをやめる決心がつきました。それまでは「ブログを毎日書かなければ!」という強迫観念があり無理して続けていましたが、それを機に残りのブログとメルマガもお休みすることにしました。

ーブログをやめてみて変化はあった?
はい。手放したら入ってくるって本当なんですね。ある時、かつて一緒に仕事をした方から「愛知県で研修をするのだけど、僕は行けなくなってしまって、小川さんがかわりに研修講師をしてくれないか?」と話が来たんです。聞いてみると面白そうだったので、夫にも何とか都合をつけてもらって、愛知県へ研修をしに行きました。するとその研修体験が大変良くて…「やっぱり私は研修が好きなんだ!」と気づきました。両手にものを持っていては絶対に入ってこなかった。そこからは、研修やコーチングを続けて、今に至ります。

→小川さんのお仕事にかける想い、未来の姿…


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