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女性活躍企業の社長に編集長が突撃取材!〜ベラジオコーポレーション 垣内規利さん〜

働く女性の皆さんこんにちは。毎回大好評の、女性が活躍するベンチャー企業の社長インタビュー。今回のゲストは、ベラジオコーポレーション株式会社の垣内規利社長。国内外にパチンコホール23店舗を展開する会社です。「パチンコ業界」と聞くと、何となく怖いイメージやグレーな感じを想像する方も多いかもしれませんが、ベラジオは”人”を大切にするとってもクリーンな会社。また中には、女性スタッフ比率が7割を超える店舗もあり「男性社会の業界で女性が活躍する会社」として大きな注目を集めています。その裏には「絶対に女性がいきいき働ける会社にする!」という垣内社長の強い覚悟がありました。

1.入社のきっかけは、飲食店でたまたま開いた新聞の求人広告だった


(写真は、ベラジオ女性活躍推進チーム責任者の松尾さんとの2ショット)

ー高野:「垣内社長は見た目怖いですが、とても温かくて涙もろくて優しい社長なんです」と、先日社員さんがおっしゃっていました(笑)本日はよろしくお願いいたします。もともと垣内社長は、なぜこの業界で働こうと思われたのですか?

ー垣内:ありがとうございます(笑)お恥ずかしい話ですが、僕は以前は、パチンコ店のことを「誰でもできる仕事やろ」と馬鹿にしていました。ですから、まさかこの業界で自分がずっと働き続けるなど思いもしませんでした。

高校を卒業して大阪に出てきたのは今から17年前のこと。ずっと都会への憧れがあり大阪に出てきたものの、当然高校卒業直後の自分にはお金がありませんでした。「働く先に寮があるならどこでもいい」と思い、とある飲食店に入って新聞を広げた時、たまたまベラジオの社員募集があったんです。それが入社のきっかけです。

ー高野:え、たまたまですか!その新聞を広げなかったら確実に今の垣内社長はいないということですね。不思議なご縁です…

ー垣内:本当にそうなんです。よくあの飲食店に入って、あの新聞を広げたものだと…。入社時は「お金が貯まったら辞めよう」「普通に働いていたら、お給料がもらえるだろう」という軽い気持ちでした。今でこそ、スタッフさんにも「何のために働くのか」という話をしますが、当時の自分を考えると…とても偉そうには言えませんね(笑)
1年後、創業者の息子の林田が事業を継承することになり、会社に入社してきました。そしてなんといきなり、僕以外のスタッフを全員、クビにしてしまったんです。

急に入社してきて、一緒に働いてきた仲間たち全員をクビにしたものですから、林田には反発と不信感しかありませんでした。「こいつ、社長の息子か知らんけど、ふざけんなよ!」って。当時のお店は閑古鳥が鳴いている状態だったので、社長は息子に引き継いで立て直しを図ろうとしていました。そこで林田は、大改革をするために、社員もお店もゼロからスタートするつもりだったんです。

ただ、その時に先代の社長が「垣内だけは残してくれ。あいつはこの会社に絶対に必要な人間だから。」と言ってくださったそうで、僕だけが社員として残ったという経緯です。

ー高野:そ、それは衝撃的ですね…一生働く気はないと思っておられたとはいえ、当時の垣内社長にはキラリと光るものがおありだったんでしょうね。だから先代の社長も「あいつだけは残してくれ」とお願いされたんでしょうね。

ー垣内:当時の僕は、なぜ僕だけ残されたのか正直分かりませんでした。生意気でしたし、この会社に骨をうずめようとも全く思っていなかった。でも今思えば、僕はとてつもなく負けず嫌いで、根性だけは誰にも負けない自信があるので、そこを見て頂いていたのかなと思います。

僕の負けず嫌いは子どもの頃からで、小学校の名簿順の出席番号ですら「1番」が欲しくてたまりませんでした。僕の苗字は「かきうち」なので、どう頑張っても「あ行」の人には勝てない。だから「あ」から始まる苗字の友達が羨ましくて羨ましくて…(笑)

また父と銭湯に行くと、必ず下駄箱の「1番」に靴を入れていたのですが、たまに1番がとられていることがあると、もうわんわん大泣きしたりして…。

とにかく「1番になりたい」「負けたくない」という反骨精神は凄まじかったので、その部分を先代の社長は見てくれていたのかもしれません。

ただ、店舗の大改革とはいえ会社にはお金が無く、屋号を以前の名前から「ベラジオ」に変えて、クロスを張り替えただけの新装オープンでした。今でこそ、銀行から融資のお話をたくさん頂きますが、当時はコピー機のリースすら組めない状態でした。僕はいち社員でしたが、さすがに悔しかったですよね。「今に見てろよ」という思いはずっと持っていました。

2.人生を変えた上司との出逢いとそこから教わったこと


(社長になってからも、現場を大切にされる垣内社長。日々、お店をまわり、社員さんとコミュニケーションを取られています)

ー高野:屋号を「ベラジオ」に変えて新装オープンされたということですが、「ベラジオ」という名前の由来は何なのでしょうか?

ー垣内:「ベラジオ」は林田が決めました。もともと彼は、外資系の保険会社で働いており、そこで毎年トップセールスでした。外資系の保険会社は、成績上位者の表彰式を毎年海外で行うのですが、ある年彼が表彰式に参加するためにラスベガス行った時のこと。超高級ホテルの「ベラージオ」の有名な噴水ショーを見て、いたく感激して「僕もベラージオみたいな会社を作りたい!」という思いから「ベラジオ」と名付けました。

ー高野:そうなのですね!では新生ベラジオがスタートし、垣内社長はその大改革の大変な時期にも辞めずに勤めておられたんですね。

ー垣内:そうなんですよ。先代から「垣内だけは残してくれ」と言われたら、いくらなんでもすぐには辞められないと思いました。また当時入社した上司が、ものすごくかっこいい男気ある方でした。「困ったときはいつでも相談に乗るからな!」と常に気にかけてもらい、話を聞いてもらって、率先して一緒に大変な仕事をして下さる方でした。

辛い、辞めたい、と思っても、「僕だけがしんどいわけじゃない、だからがんばろう」と、その上司のおかげで続けることができました。

一方で林田には、不信感と反発しかありませんでした。ところが今では「この人の為なら命を捨てられる」と思えるくらい、彼のことが大好きなんです(笑)まるで魔法ですよね、本当に不思議な魅力を持った器の大きな人なんですよ。

ー高野:第一印象は最悪だったのに、人間こうも変わるものなんですね!その過程をぜひお聞かせ頂きたいです。

ー垣内:はい。その後、林田から「垣内、店長になれ」と言われて、3店舗のうちの1店舗を任せて頂きました。でも、僕は「店長になりたい」なんて思っていなかったし、僕よりも仕事ができる先輩はたくさんいたので、「何で僕が?」という気持ちの方が強かったんです。会議でもエリートな先輩たちと比較され「何でおまえはできひんねん」とよく言われていたので、僕は林田から嫌われていると思っていました。でもそれが悔しかったので、食らいついて、仕事をがむしゃらに頑張ったんですが…(笑)

ただ店長を任せて頂いた時、「あれ、もしかしたらこの人は、僕のことをちゃんと見てくれているのかもしれない…」と、ほんの少しだけ、思ったんです。さらにその後、本部長に抜擢して頂きました。その時ですね、林田への気持ちが完全に信頼に変わったのは。

本部長というと当時の会社のナンバー3です。当時、お店は4店舗に増えていましたが、僕より頭が良く、年上で優秀な人たちはたくさんいました。そんな中、本部長という重要な役割を僕に任せてくれた。「僕の頑張りを、この人はちゃんと見ていてくれたんだ」と、涙が溢れました。

「自分はこんなに大きな器で見守ってもらっていたのに、そんなことも分からずに噛み付いてばかりで、僕はなんて小さい男なんや」と、自分が恥ずかしくなりましたね。それ以降は、毎晩のように林田と飲みに行きました。その時間の中で学んだことは数知れず。その中でも特に「チャレンジする」ことと「謙虚である」ということが僕の中には強く残っています。

「やってみなわからんからやってみろ」「人間は、絶対おごったらあかん」と口癖のように言っていました。

僕は林田から、予算や売上目標の達成関係も含めて、数字のことで怒られたことは一度もありません。そのかわり、影で人の悪口を言ったり、部下との関わりが薄いということがあれば、ものすごい剣幕で怒られました。

また、会社の業績が思わしくない時、普通経営陣は「賞与もカットする」という思考回路になりますが、そんな時も「あかん!社員のみなは必死で頑張ってくれているんや!こんな時やからこそ、たくさん賞与を出してあげないかん!」と言って、本当に多くの賞与を出していました。「人を大事にすること」については、全て林田から教わりました。そこから2010年に社長になれと言っていただいて今がありますが、僕の中でも社員さんを大切にするという気持ちはずっと変わりません。

ー高野:素晴らしい方ですね…。まさに垣内社長の人生を変えた方。師匠であり、兄貴であり、憧れであり、垣内社長の林田さんへの思いがたくさん伝わってきました。…というお話の後に水を差すようで申し訳ないのですが、以前垣内社長は「女性はベラジオで役員や店長なりたいと言ってくれないから、女性は採用しない!」とおっしゃっていたそうですが、実は垣内社長も役職になりたいと思っておられなかったんですね(笑)

ー垣内:…そ、そうなんです!仰るとおりです…。実は、そんな女性社員さんの気持ちが痛いほどわかります…(笑)でもやはり立場が社長になると「社員さんに社内で夢や目標を描いてもらえない」というのは、とても寂しく感じるものだと痛感しましたね。

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3.垣内社長の「女性活躍」への考え方を、180度変えたのものとは?


(弁天町本店の女性スタッフ、緒方唯さん。お店の周りをほうきとちりとりを持って一生懸命掃除されていた姿が印象的でした。)

ー高野:垣内社長は、つい1年前までは「女性は採用しない!」とおっしゃっていたのに、それが今や「2020年までに女性社員比率を30%にする!必ず女性がイキイキと長く働ける会社にする!」と全社員さんの前で発表されています。なぜこんなにも、考え方が180度変わられたのでしょうか?

ー垣内:理由は、大きくは2つあります。1つは、僕に子どもが産まれたことです。社長になって2年目で結婚し、昨年長男が生まれたのですが、…子どもって「神」ですよ(笑)可愛いくて、愛おしくてたまりません。僕は会食も多いので、帰宅するときも、朝出勤するときも、寝ていることが多いですが、それでも、可愛くて仕方がない。

また以前は、新幹線や飛行機で子どもが泣いていたら、正直「うるさい」と思っていましたが、今は、その鳴き声すら可愛いですね(笑)「子どもは泣くのが仕事やから、お母さんも肩身の狭い思いしなくて大丈夫やで」と言ってあげたいくらいです。

また以前は、繁忙期やお店が大変な時に店長が「子どもの運動会があるから休みたい」「卒業式だから休みたい」と言った時「おまえ、何言ってんねん!こんな時に休むなんてありえへん!」と返していました。

でも今は真逆です。「運動会!?おぉ!休みとって絶対行って来い!」と言います。親であれば、子どもの運動会は絶対に行きたいですし、入園式も絶対行きたいと思います。少なくとも僕は絶対行きますよ(笑)

子どもの成長はあっという間。様々な行事も、一生に一度です。子どもが産まれて初めて「みんな、今までこういう気持ちやったんや、わかってなくてごめんな」と思いました。おかげで今では「もっと家族や子どもを大事にしてやれ!家族も大事にできない人間が部下を大事にできるはずがない」と怒ることが増えました(笑)そしてなんと、会社としてもここ1年で、店舗の残業時間が大幅に削減できました。

実は3月末は長男の1歳の誕生日なのですが、ホテルを予約して、家族でゆっくりお祝いしようと思っているんです。息子の誕生日もですが、日頃育児を頑張っている妻にも、ゆっくり休んでもらいたいですよね。

ー高野:わ~素敵です!今の言葉で女性ファンが一気に増えたと思います(笑)!

ー垣内:ありがとうございます(笑)2点目は「女性の持つ力はすごい」と肌で感じるようになったことです。現在当社の大東店と江の木町店は、「ホールで働いている7割が女性スタッフ」です。さらにこれらの店舗は、業績がとても良いんです。その理由は、明らかに女性が頑張ってくれているからです。お客さまの立場からすれば、お店に入った時に女性が笑顔で挨拶してくれたら、それだけで気持ちが嬉しくなります。「笑顔にまさる化粧なし」といいますが、まさにその通り。毎日頑張る女性スタッフに会いたくて、わざわざ足を運んでくださるお客さまもたくさんおられます。

女性は華もあるので、お店の雰囲気もぐっと明るくなりますよね。

特に大東店に関しては、立地は全く良くありません。駅からも遠いし、車でないと行けない。出店の際「ベラジオさん、なんであんなところに出すの?絶対流行らないよ。」と周りから言われました。でも蓋をあけたら大繁盛で、今では「その秘訣はなんですか?」と他社がベンチマークに来られることもあります。

ただ、これでよしとするのではなく、ここから更に女性が活躍できるようにするには、トップである僕が、覚悟を決めてそれを伝え続けていくことが一番大事だと思っています。

制度はもちろん大切です。ただ、制度で全て解決できるなら、今頃もっと多くの会社で女性が活躍しているはず。ということは、男性社会の風土や雰囲気、とくに役職者の意識が変わらなければ、女性が本当の意味で活躍する会社にはならないと思っています。

だからまずは僕が変わること、そして店長たちが変わること。

離職率0%の会社は存在しませんし、ご縁あって入社して頂いても辞める人がいるのは当たり前です。でも「自分の未来を見いだせないことで社員さんが辞めていく」なんて悲しすぎます。これからは女性役員も誕生して欲しいですし、育児しながら働く女性も応援していきたい。そんな女性の先輩が増えることで、現場の女性社員さんが未来を描くことができ、よりイキイキと楽しく働くいてもらえるようにしたいですね。

4.ベラジオの強みは圧倒的に”人”。そして今後の展望は?

ー高野:インタビューも終わりに近づいてきました。では、最後に、垣内社長の今後の展望をお聞かせいただけますか?

ー垣内:個人的には、「僕は雲の上の社長になりたくない」と常々思っています。身近な社長、社員さんが話しかけやすい社長でありたい。ですからこれからも、現場や店舗に足を運びますし、みなとたくさん話をしていきたいです。

会社としては、これからも拡大路線を突き進みます。ただし、膨張企業と成長企業は違う。人の成長と会社の成長の両輪をまわすことが大切です。

業界的には不景気で、店舗数はどんどん減っており、全国の店舗数はついに1万店舗を切りました。そんな中、当社は逆に店舗数を増やし、成長しています。その理由は、”人”しかありません。

・創業以来教育に力をいれてきたこと
・上司や部下、人と人の関わりを大切にしてきたこと
・頑張ったら評価され、認められる文化を作ってきたこと

こういった”人”を大切にする社風があるから、みなが「お客様の喜びを作ろう!」と燃えてくれています。

そして今後の成長の大きなカギを握るのが、「女性の力」なんです。会社の活気、成長、業績を左右するのは、間違いなく女性です。「女性を増やし、女性が活躍する会社に2020年までにする!」と宣言しています。また、僕もまだまだ子どもが小さいですしね。父親としてはあと20年は必死で働かないといけませんので(笑)僕も会社も、ますます頑張りますよ!!

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会社の魅力は人の魅力。それはどんな手厚い制度よりも、どんな立派な仕組みよりも強いと再認識したインタビューでした。そして、垣内社長の覚悟。自分の考え方を180度変えるというのは、過去の成功や自分を全て否定するということ。頭でわかっていても並大抵のことではないと思います。その覚悟のもと、「女性が今よりも更にイキイキ働けるベラジオになるイメージ」がハッキリと湧きました。垣内社長、ありがとうございました!

ベラジオコーポレーション株式会社について

設立:1976年5月
事業内容:パチンコホールチェーンの運営
大阪本社:〒552-0001 大阪市港区波除3-9-8
代表者:垣内 規利(かきうち のりとし)
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