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女性活躍企業の社長に編集長が突撃取材!〜シナジーマーケティング 谷井等さん〜

働く女性の皆さんこんにちは。大好評の、女性が活躍するベンチャー企業の社長インタビュー。今回のゲストは、「CRM(顧客関係管理)システム」提供のリーディングカンパニーとして業界を牽引し続けてきたシナジーマーケティング株式会社の谷井等社長。育児休業取得女性の8割以上が仕事復帰し、女性がイキイキ働く会社としても知られています。「会社には、社員の雇用責任ではなく、魅力創出責任があると思っています。社員が優秀でどんどん成長するから、僕も会社の魅力を創りだすのに必死です(笑)」と笑顔で語る創業者の谷井社長。プライベートから事業にかける思いまで、余すことなくお話頂きました。

1.人生の転機は大学生の頃に経験した阪神淡路大震災だった。

ー高野:本日はよろしくお願いします。谷井社長は今までに多くのインタビューを受けておられるので、「また1から話すのか…」という気持ちもおありかとは思うのですが…よろしくお願いいたします。

ー谷井:大丈夫ですよ(笑)よろしくお願いいたします。

ー高野:谷井社長は、大学時代に大切な友人を亡くされたことが人生の大きな転機になられたのですね。

ー谷井:はい。僕が大学3回生の1月に阪神淡路大震災が起こり、母校である神戸大学の周辺も大きな被害を受けました。その日は呆然としながら1日中テレビを見続け、次の日に神戸へ向かい、大切な友人の死を知りました。その時に思いました。

「人は、こんなに突然に、こんなに簡単に死んでしまうんだ」と。

その日を境に「自分が明日も生きている保証なんてどこにもない。やりたいと思ったことは、今やっておかなければいけない」と強く思うようになり、今でもその気持ちは変わりません。
その後、僕は友人とビジネスをスタートさせました。今考えれば稚拙なビジネスモデルではありましたが、「学生ベンチャー」ということでメディアにも取り上げられ、現在大きく成功されている起業家の方々とのご縁も頂きました。

その中である社長から「このビジネスを一生するつもりがないなら、やめた方が良い」と言われました。この言葉を素直に受け止めた僕は、そこから就職活動をして大学卒業後はNTTに入社しました。

ー高野:天下のNTTというと、ベンチャーとは全く対局にある会社のイメージです。

ー谷井:そうですね。NTTは日本のインフラを担う大会社。社員さんは優秀な方々ばかりで、大変良い会社でした。ただ、僕の中で「果たして僕はこのままここにいていいのか…?」という疑問が湧いてくるようになり、9ヶ月でNTTを辞めてしまいました。

ー高野:9ヶ月で…!!上司や先輩はさぞかし戸惑われたでしょうね…。

ー谷井:そうですね。人事の方や、上司、役員の方にも会社に残るように説得して頂きましたが…僕の意思は固かったんです。そして、今でいうニートになり、2ヶ月ほどは実家でぼーっとしていました(笑)

ー高野:おぉ…いきなり波乱万丈な人生の予感です…。その後、すぐに起業されたのですか?

ー谷井:いえ、退職後は、実家が洋服やをしていたので、そこを手伝うことにしました。経営する数店舗のうち大阪梅田のショップを任されました。当時の梅田のお店は、売上が伸び悩み、赤字続きだったので、その再生が僕の大きな役割でした。

ー高野:1つの店舗の立て直し、再生というのは、並大抵のことではないと思うのですが、いかがだったのでしょうか…。

ー谷井:いくら商品を仕入れても、店舗のオペレーションを回しても、お客様が来てくれなければお店は潰れてしまいます。当時は考えられる販促企画は全て実行にうつしましたが、なかなかうまくいきませんでした。

そして最後にたどり着いたのが「既存のお客様にメールを送ること」でした

ー高野:当時はみなやっとPHSを持ち始めた頃でしょうか。まだメール文化は浸透していなかったと思うのですが、それでも効果がおありだったのでしょうか。

ー谷井:はい。メールアドレスは、お客様の中でも2〜3割程度しか持っておられませんでしたが、このやり方でお店の売上は2割上がりました。例えば、あるお客様に「●日にお客様のスーツが仕上がりますのでお越しください」とメールを送ります。返事が来たらさらに「そのスーツに合うシャツを入荷しました」と送ります。すると来店時に話がはずみ、そこでプラスアルファ、商品を購入して下さるお客様が増えました。

ー高野:なるほど…!そのようなメールが来たら、「入荷したシャツってどんなものかな、行ってみて気に入ったらスーツと一緒に買おうかな」という気持ちになりますね。

ー谷井:そうなんです。この経験で僕は大事なことを学びました。「いくら人通りが多い場所に店を出したところで、買う意欲がある人にお店に来てもらわなければ意味が無い」ということです。
当時のお店は梅田の地下街にありましたが、日に10万人もの人通りがある立地でした。ただ、人通りが多いからといってお店の売上は上がらない。なぜかというと、その場所が「ビジネスマンや通行人にとってのただの通り道でしかない」からです。「買うつもりの人にいかに来ていただくか」これは、今でも商売の基本だと考えています。

ー高野:おぉ…なるほど!とても勉強になります。でもそうなると、洋服店で実績も出たし、このままお父さんのお店を継ごうとは思われなかったのですか?

ー谷井:実は一方で、ジレンマもありました。「どれだけ必死にやって、どれだけ結果を出しても、この業界でやっているうちはずっと父親の影がついてまわる」と。当時メーカーの方から「こんないい洋服店を継がせてもらって良かったですね」と言われたこともありました。「このままでは嫌だ」という思いを抱えつつ、結局2年半父親の洋服店で働いていました。

2.昼間は洋服屋を、夜中は自分たちの立ち上げた会社を運営させる日々。


(カメラを向けると、こんなサービスポーズをとってくださった、オチャメな谷井社長)

ー谷井:実は、洋服店の運営と時期を同じくして、別でビジネスも立ち上げていました。当時お店には、NTT時代の友人がよく遊びに来てくれていました。彼らはみな、ベンチャーマインドを持っていて、色々話しているうちに「無料のメーリングリストサービス」の事業プランが出来上がりました。

そのプランを97年4月に創刊されたアントレの創刊記念のビジネスプランコンテストに応募したところ、「敢闘賞」を頂きました。優勝じゃなかったのが悔しかったですが…(笑)

「これはいける!」と思ったものの、なにせ当時は資金がなかったので有限会社ですら高嶺の花。今は1円で株式会社を作れる時代ですが、当時は違いました。そこで僕を含めた主要メンバー3人で、何とかお金をかき集めて、創業メンバーのうちの1人の実家の3階のプレハブ小屋を借りて、合資会社をスタートさせました。

ー高野:ではしばらくは、昼間は洋服屋で働き、夜は立ち上げたメーリングリストサービスの会社を運営するという日々が続かれたのですね。

ー谷井:はい、寝る間を惜しんでみな、必死で働きました。当時のインターネット業界は、サービスのクオリティもあまりよくなく、僕自身ユーザー側として嫌な思いをしたこともありました。

「僕たちのサービスでは、決してお客様にそんな思いはさせたくない」と、夜中であろうと全てのメールに目を通し1通1通返事をしたり、「心のこもったサポートをすること」を常に心がけていました。

ー高野:店頭でお客様とリアルにお会いして接客することも、ネットを介してお客様とやり取りすることも、大切なことは一緒なのですね。

ー谷井:本当にそうなんです。また当時、メルマガ配信を請け負う会社はありましたが、企業は読者リストを見せてもらえませんでした。「その企業のコンテンツが知りたくて読者登録したくれた人に、企業が情報発信しているのに、読者リストは配信会社のもので、企業に渡らないのはどうしてだろう」そう思った僕たちは、顧客データを企業が取得できるメーリングリストシステムにする等、とにかく無我夢中でお客様の要望に答えていくうちに、気がつけば日本で最大のユーザー数をもつ無料メーリングリストサービス業者になっていました。

ー高野:おぉすごい。

ー谷井:ここまでくると、今後の自分の仕事の軸足を洋服屋におくのか、自分たちが立ち上げた会社に置くのか、決断をしなければならないと思うようになりました。

創業メンバーとも何度も相談し、考え、ある時父親に「僕はインターネットの仕事で行く!」と伝えましたが、父親はもうカンカン。「谷井の家を捨てるんか!」とまで言われて、家庭内勘当状態になったりもしましたが…最終的にOKしてもらうことができました。

その後、会社を株式会社化し、ユーザー数が100万人に届こうというときに、事業を楽天さんに売却しました。そして企画開発していたメルマガシステムだけを切り離して新しい会社で事業化することになりました。これが、シナジーマーケティングの前身である、インデックスデジタル設立のきっかけです。

ー高野:ご自身が立ち上げ、成長させた会社を他社に売却するというのは、当時苦渋の決断だったのではないでしょうか?

ー谷井:よくその質問を受けますが、実際はそんなことはありませんでした。日本でいう「社長」という言葉には、「オーナー」と「経営者」という2つの意味があると思うんです。「オーナー」という視点から見れば、自分の事業を手放すことは寂しく感じるでしょう。でも「経営者」というのは、そのサービスが最も成長し、世の中の役に立つものになるための最善策を考える人のこと。僕はずっと経営者でありたいと思い続けていたので、当時の選択について、感傷的になったりはしなかったですね。

ー高野:なるほど。

ー谷井:その後しばらくして「CRM」という言葉に出逢いました。「これ、僕が思っていることそのものや!もう既に言葉があったんかーくそ!」と思いましたね。このやり方を「谷井マーケティングと名付けようかな〜」なんて思ったりしていたのに、ちゃんと言葉や概念が90年代からアメリカには存在していたという…(笑)

そして2005年からCRM事業に本格的に乗り出すことになりました。

ー高野:当時の日本ではまだ「CRM」という言葉や概念に馴染みがなかったですよね。私が社会人になったのは2004年ですが、入社した会社でやっとCRMが導入されたという時期でした。

ー谷井:そうですね。今でこそ、CRMは「顧客管理システム」という意味合いが浸透していますが、当時は幅広く「顧客との関係をコントロールしましょう」という意味合いで使われていて、はっきりとは理解されていませんでした。

ー高野:そうなんですね。少し話は変わるのですが、谷井社長は、ものすごくビジネスアイデアが豊富ですが、その思考回路はどこで養われたのでしょうか?

ー谷井:そんなことはないですよ。「右足を出したら、次は左足を出さないとこける。」それと一緒で、シンプルです。決して奇想天外なことを考えているわけではなく、ごく自然な発想です。

例えば当社のCRMサービスていうと「企業が顧客データを持つようになると、データの一元管理が必要になる。昨日メールを送った田中さんと、今日コールセンターに電話してきた田中さんが一緒なのに、顧客データを別々に管理していても意味が無い。であれば、顧客IDを作り、データの一元管理ができるシステムを作ればきっとニーズがある」という発想です。

ー高野:なるほど…。御社は、プッシュ営業はされないとお聞きしましたが、CRMサービス開始当時からインバウンド営業だったんでしょうか?

ー谷井:はい。それも自分たちの実体験から生まれたものでした。当時は「シナジーマーケティングです。」と営業が電話をかけても、「どこの会社ですか?知りません。」と言われて電話を切られて終わり。

運良くその次の会話にたどり着いたとしても「当社はクラウドサービスをしていて…クラウドはどういうものかというと…」と説明しはじめると「ガチャン」と電話を切られてしまう。
こんなことを続けていても、到底無理だと思いました。そこで「お客様から問い合わせが入ってくるような仕組みを作る」つまりは、インバウンド営業を確立しよう!ということになりました。

ー高野:具体的にはどのようなことをされたのでしょうか?

ー谷井:SEO対策、展示会への出展、セミナーもやりました。例えばセミナーを例にあげると、セミナー企画を商工会議所に持ち込んで、商工会議所主催で開催して頂くんです。そして「僕が講師として呼ばれて話をする」という風にしていまいした。僕が「商工会議所から呼ばれた講師」となると参加者の方には「この会社は信頼できる会社なんだ」「この人はすごい人なんだ」と思ってもらえて、サービスの紹介もしやすくなります。
自分が相手の立場なら、「シナジーマーケティング主催のCRMのセミナーなんて絶対営業される」と思って警戒してしまいますもんね。

お客様は自分で選びたい。だから僕たちは情報提供するだけでいい。

そういうことを常々考えて、どうすれば向こうから欲しいと言って頂けるかを考えて動いていました。

ー高野:これこそ、マーケティングですね。

ー谷井:マーケティングの根本は「相手の立場に立って考えること」です。その立場になれば自然と見えてくるんですよ。

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3.女性も活躍するシナジーマーケティングの舞台裏とは。


(2人のお子さんを育てながら働く管理職の佐々木さんとの2ショット)

ー高野:ここからは、2人のお子さんの母親であり管理職の佐々木春奈さんにもインタビューに加わって頂きます。よろしくお願いいたします。

ー佐々木:よろしくお願いいたします。

ー高野:佐々木さんはいつ頃シナジーマーケティングに入社されたのですか?

ー佐々木:2004年の12月に面接に行き、その後です。面接に行ったらいきなり社長面接で、また当時の役員が穴あきジーパンとTシャツで登場して、とても驚きました。12月の真冬にですよ(笑)「これぞITベンチャー!」と思いましたね。私は宝塚歌劇団が好きなんですが、社長面接で谷井さんと意気投合するあまり、思わず宝塚の歌を歌ってしまいました。

ー谷井:当時は「変人採用」というものをしていました。スタートアップのベンチャー企業は、安定もない、短い勤務時間もない、手厚い福利厚生もない。そんな中、どうすればこの会社で働きたいと思ってもらえるかと考えた時「人の魅力で勝負する」しかないと思いました。当時の僕らは変わり者の集まりだったので、それを面白いと感じてくれる人に来てもらえたらいいなぁ〜と。あ、佐々木さんも変人採用?

ー佐々木:え、いや、もう私の時は「変人採用」は終わっていたので、私は変人採用ではないです(笑)

ー高野:佐々木さんはもとからIT業界に興味がおありだったんですか?

ー佐々木:ITに大きな興味があったわけではありませんでしたが、次の時代はITによって作られていくことを薄々感じていたので、「流れのはやいところ、時代の先端をいく会社に身をおきたい」と思っていました。そしてネットで「IT 関西」と検索したところ、当時のインデックスデジタルが出てきたので応募したのがきっかけです。

ここで働きたいと思ったのは、谷井さんとの面接の1時間がとても楽しかったからです。直感で一緒に働きたいと思いました。当時は「ITはうさんくさい、ちゃらい」と思われている時代でした。また、顧客接点も「ハガキや手紙を書くことが正しいこと」のような風潮もありました。

でも実際に谷井さんに会ってお話していると、とても真面目で地に足がついた社長だということがわかり…あ、でも飲み会では「裏の谷井さん」が顔を出すのですが、それもまた面白いですよ(笑)

ー高野:社長のことを「さん」で呼べるのも、素敵な社風ですよね。谷井社長と佐々木さんのやり取りを見ていると、シナジーマーケティングさんが風通しの良い社風であることが伝わってきます。また御社は、2007年に上場されましたが、谷井社長は創業の頃から上場を考えられていたのですか?

ー谷井:実は創業時は上場する気はありませんでした。ただ、2004〜5年あたりから「個人情報保護法」が出てきて、顧客データを扱うためには会社に社会的信用が必要とされるようになってきました。信用のない会社に、大事な顧客データは預けないですもんね。
社会的信用を得る手段として、上場を目指すことになり、2007年に上場したという経緯です。

ー佐々木:上場前後のタイミングで私は管理部に籍を置いていたので、上場することについては事前に聞いていました。上場に向けて社内の様々なことを整えたので「ベンチャーからちゃんとした会社になった」という感覚はありましたが、上場するからといって、社内が揺らいだりはしませんでした。

ー高野:ベンチャー企業の上場と言えば、パーティーを開いたり、お祭りムードなイメージを想像していましたが、全く違うのですね。

ー佐々木:私も上場にはそんなイメージがありましたが、当社では浮足立ったことは全くありませんでしたね。「一歩一歩丁寧に歩みを進めていった。そしたら今日は上場の日だった」という感じでした。

ー谷井:僕も、社員向けに「上場するぞー!エイエイオー!」なんて言ったことはありません。逆に上場が近づいてきた時期は「上場は通過点でしかない。上場前後変わらず、1件1件の仕事にしっかり向き合っていこう」というメッセージばかりを伝えていました。

ー佐々木:いい意味で、谷井さんは社長っぽくないですよね。地に足がついて、浮ついた感じがしない。ここが、谷井さんの大きな魅力だと思います。

ー高野:素敵ですね。また御社では女性社員さんの割合も増えてこられているのですね。

ー佐々木:割合としては…半分もいませんが、1/3か2/5くらいにはなってきましたね。

ー高野:よく、ベンチャー企業で女性が増えてくると「子どもを産んでも仕事をしている前例がなく女性がやめていく」という話を聞きますが、御社ではそういったことはなかったですか?

ー谷井:あまりないと思います。自分たちの会社をよく理解してくれている社員が離れるなんて、もったいなさ過ぎる。だから僕たちも「絶対戻ってきて欲しい」と常々思っています。

ー佐々木:最初から「結婚や出産だから辞めないといけない」という雰囲気はなく、戻ることは当然という感じでした。最近は常に誰かが育休に入っていたり、復帰したり…2人目を出産する女性も増えてきましたね。

ー谷井:当社の女性はみんなパワフルです。また出産して戻ってくるペースがものすごくはやい。最近は1年足らずで戻ってくる人が多いので、会社としては嬉しいのですが「体は大丈夫?」ってこっちが心配になるくらいです(笑)

ー佐々木:フルタイムで戻ってくる人もいます。当社がフレックス制を導入していることも大きいです。7時に出社して、16時に帰宅する社員もいますよ。勤務時間が9時〜18時という風に固定されていると、保育園事情があるのでフルタイムは難しいですよね。

朝はお父さんが送りに行って、夜はお母さんが迎えに行くという形で夫婦で保育園の送り迎えを分担している社員もいます。
時短なのかフルタイムなのか、自分でどういう働き方をするかが選べる。それも当社の魅力の1つです。

4.話は子育て論に及んで…


(インタビュー当日は、ちょうど若手社員さんのフォローアップ研修の日。興味津々にその様子を覗き見される谷井社長)

ー高野:素晴らしいですね。その働き方の柔軟性はベンチャー企業ならではですね。またプライベートでは、谷井社長も3人のお子さんのお父さんでいらっしゃるのですね。

ー谷井:そうです。僕は25歳で結婚しました。NTTをやめて1年で結婚、今考えれば無謀ですよね。そういえばこの前経営者仲間と話していて「僕たちはいたって普通の人間だと思っていたけど、世の中的には超マイノリティなんだ」とようやく気付きました。あ、でもそういう意味では、当時の僕と結婚した妻が、一番無謀でベンチャー気質あふれる人種かも(笑)

ー高野:確かに奥さんがすごいですね…!肝っ玉が座っていなければそんなことできません。谷井家では、どのようにお子さんを育てておられるんですか?

ー谷井:習い事、受験、将来やりたいことについて「自分たちがやりたいこと」を自由にやればいいと思っています。本人の自主性や自発性を大事にしたいので、親が「やれ」とは言いません。ただ、普段から色々な世界を見せたり、体験させたりしています。新世界に行ってベタな大阪に触れたり、バックパックで息子と海外を2人旅したり…。

幅広く世の中を見て、様々な視点を持っておくことが、子どもが重要な意思決定をするときにとても重要だと考えているからです。

ー高野:素敵です…でも子育てというのは試行錯誤ですよね…佐々木さんは、2人のお子さんのお母さんですが、日々いかがでしょうか?

ー佐々木:本当に試行錯誤の連続です。まだ子どもが小さい時は「生きてくれているだけでいい」と思っていましたが、だんだん欲が出てくるんですよね。「他の子より早く字が書けた方がいいんじゃないか」「親がもっと手伝ってあげたほうがいいんじゃないか」と。

そして、「違う違う。悔しい思いをすることも大事だし、自分で解決して子どもは成長していくんだ」と思いなおし、自分の接し方の軌道修正をする。その自分のコントロールの方が大変だと最近感じています。

ー谷井:今度社内でも、子育て談義してみたいね。みんながどんな思いを持って子育てしているのか、聞いてみたいなぁ。

ー高野:皆さんの子育て論、気になりますね。私も、無意識のうちに、子どもを型にはめようとしている自分がいて、葛藤する日々です。子育てには正解がないですもんね。では最後に谷井社長、これからの展望をお聞きかせ頂けますでしょうか?

ー谷井:はい!…と言っても、これからのデジタルマーケティング…はなんて言っても面白く無いですよね(笑)

僕は会社を経営するにあたり「雇用責任は無い」と思っています。言い換えれば、「雇用責任ではなく、魅力創出責任がある」と考えています。

社員が優秀でどんどん成長していくから、僕はそんな社員が魅力的だと思える会社を作り続ける。そうすれば、彼らが他社から声をかけられても当社で働くことを選んでくれるだろうし、もし職を変える必要があった時にも、どこに行っても通用する人になっていられる。社員が成長することと、経営陣が魅力を作り続けることは、ある意味競争だと思っています。

ー高野:なるほど〜!!

ー谷井:会社は「ひとりひとりの成長の場」です。そうなれば、どこの会社でも活躍できる人材になれるし、一生職に困ることはなく幸せに生きていける。それを作り出せる会社でありたいし、これからもそうあり続けたいと思っています。偉そうに言ってどれだけ実現してるか分からないけど…。

ー佐々木:大丈夫ですよ!現場のみなもそう感じながら働いています!

ー谷井:ありがとう、良かった(笑)ただ、会社は人が増えれば権限委譲も増えますが、絶対にトップが手離しては行けない仕事があると思っています。それは、「ビジョンを提示すること」と「文化を創ること」

目的地への行き方は、頭の良い人が考えてくれればいい。ただし、どこに行くかはトップしか決められません。また、その会社の企業文化を作っていくことも、トップの大切な仕事です。ここさえしっかり押さえておければ、動き出した船は間違わずに進んでいくと思っています。

ー高野:谷井社長の人生は、まさに「マーケティング」ですね。いかにお客様から「欲しい」と言われるサービスを創るか、いかに社員さんが「ここで働きたい」と思える会社にするか。全て相手の立場にたって考えられた視点から出てきているので、とても自然でうまくいかれるのだと思いました。本当に本日はありがとうございました!

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「マーケティングというのは、相手の立場に立って考えることを言うんです」という谷井社長の言葉がとても印象に残りました。謙虚で、温かく、親しみやすい雰囲気でありながら、緻密な戦略性をあわせもち、常にビジネスの世界で勝ち続けている谷井社長。シナジーマーケティングが、男女問わず活躍できる会社である理由は、この谷井社長の「マーケティング精神にあり」と心の底から納得したインタビューでした。本当にありがとうございました!

シナジーマーケティング株式会社について

創業:1997年9月

事業内容:CRM関連製品ならびにサービスの企画・ソフト開発・提供、CRM戦略構築支援ならびに各種CRM業務の代行、広告、宣伝に関する企画、制作および広告代理店業

大阪本社:〒530-0003 大阪府大阪市北区堂島1-6-20 堂島アバンザ21F

代表者:谷井 等(たにい ひとし)

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