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ワーママ社長に編集長が突撃取材!〜心財育成 安達美由紀さん〜

働く女性の皆さん、女子大生の皆さんこんにちは。本日ご紹介する、素敵な女性は、Woo!シェアリストとして人気記事を執筆頂いている安達 美由紀さん。
「心という財産の育成をを通して人を活かす」という想いを掲げ、心財育成株式会社という教育研修会社の代表をつとめておられます。
初めてお話する人の心をも一瞬で解きほぐし、まるで10年来の友人のような空気を作って下さる安達さんに今日はお話を伺いました。

1.安達 美由紀さんってどんな方?

ハウスメーカーにて相続対策とを軸とした資産活用営業、
金融機関にて不動産コンサルティング営業を経て2010年独立。

20年以上に渡る営業の中でコミュニケーション心理学といわれるNLPに出会い、
「心には仕組みがある」ことに気付く。

更に「お金と心の関係性」にも仕組みがあることに気付き、
以後「心という財産の育成こそが望む人生を実現する」を信条に活動している。

プライベートでは、24歳と19歳になる娘の母でもある。

2.大学卒業後はハウスメーカーへ。


(白と緑で統一された素敵なオフィス兼セミナールーム)

ー高野:安達さんは、お子さんの頃から「将来は働こう!」と思っておられたのですか?

ー安達:はい、働こうと思っていました。実家が女性服の洋装店を営んでいて、両親が働く姿を側で見て育ったので、私にとって働くことは当たり前でした。母が職人として洋服を縫って、父が営業をしていたのですが、父は大変営業が得意で、大きな会社の社長や会長夫人の洋服のお仕事もバンバンとってきていましたね。

そのような環境で育ち、母は仕事一筋だったので、私は幼稚園に入る頃から自然と自分で朝ごはんにはサンドイッチを作るようになり、自分で登園の準備をして母を呼びに行って、幼稚園の待ち合わせ場所に行くようになりました。

両親の商売はおかげ様で繁盛していたようで、私が小学生になると、家とお店が分かれることになり、私は3歳下の弟の面倒や家事一切を自分でやるようになったんです。

朝ご飯を作って、学校から帰ると近くの市場に買い物に行って、晩御飯を作って洗濯物をとりこんで、アイロンをあてて掃除して…ご飯の作り方は、父が教えてくれましたね。

ただ小学生なので満足に漢字が読めませんから、料理本は都度辞書をひきながら読み進めて、小学校3年生の頃には、ある程度ちゃんとした料理を作れるようになっていました。

ー高野:えーすごい!たくましいです…!素朴な疑問なのですが、小学校にあがられた時「何で友達は学校帰りに遊んでいるのに、私は弟の面倒や家事をしないといけないんだろう」と思われたことは無かったですか?

ー安達:それは…思っていなかったですね。父親が「うちはうちや」という考え方だったので、「よその家と比べて、何でこんなことせないかんのや」とは思いませんでした。

ー高野:お子さんの頃から、自立されていたのですね。では、新卒で入社されたハウスメーカーでは営業をされていたということですが、なぜその業種、職種を選ばれたのでしょうか?

ー安達:子どもの頃から働くことは当たり前だと思っていたので、その先に「どんな道で働きたいか」を考えていました。そして私が大学生の頃、実家がオーダーの洋服だけではなく、既成品を売り始めるようになり、その為に父親がゴルフ場や病院を営業して開拓するようになりました。
そこで父から「車の運転練習がてら営業についてこい」と言われて、父の営業に同行させてもらうようになったのですが、その様子を見て「営業職って面白い!」と決めました。
父の営業は本当にすごかったんですよ!

そして就職活動の時期。

「営業するならお客様と長く付き合えるものがいい」と思っていた私は、「長く付き合えるもの=扱う金額が大きいものだな。証券…車…あ、家は一番金額が大きいやん!一生住むし、奥さんともずっと繋がるし、ええやん!」ということで、ハウスメーカーを探し始めました。

その頃はちょうど、男女雇用機会均等法が施行されて2年目の年だったので「今の時代は、女の人も雇用均等なんやー!」と単純に思っていましたが、実際は全然違いましたね。
まだまだ、法律が出来ただけで、面接でも「女の人は営業として使えないんだよね」と露骨に言われたこともありました。

当時、女性営業を受け入れる体制を作っていたハウスメーカーは、大手企業の中でもほとんどありませんでした。そこで、大阪の地元にある、大手ハウスメーカーの協業代理店の面接に行ったところ「女性を入れるのも面白いかもなぁ」とおっしゃって頂き、採用されました。

「やった!これで、個人住宅を売る仕事ができる!」と喜びましたが、入社してみてびっくり。「個人住宅を売るのに女性営業はいらんねん。夜訪が多いから、何かあっても責任とれへんし」と言われ、地主さんに資産活用や税金対策の営業をする部署にまわされました。

ー高野:えー話が違う!当時は、女性が男性と同じように働くことは当たり前ではなかったのですね…。

ー安達:そうなんですよ。でもね、実はこの資産活用の部署がとても面白かったので、結果的にここに配属されてよかったと思いました。個人住宅は半年もあれば建てることができますが、アパートとなると、田んぼを埋める申請から始まったり、建てると決まってから1年後くらいにやっと着工できるくらいなんです。また、個人住宅を建てる時には無い様々な規定や税金・法務関係の手続きは、大変勉強になりました。

さらに当時の上司がトップセールスの方だったこともラッキーでしたね。上司に同行して、上司が商談で伝えていることを書き留め、自分一人で営業に出始めてからは、上司が言ってたことをそのままお客様に伝えるようにしました。そこで「詳しい話を聞きたい」と言われれば、上司に同行してもらって話してもらえばいいんですから。

後に心理学を学んで分かったことなのですが、これが「モデリング」でした。

何をするにも、うまくいっている人をそのまま真似るとうまくいきます。でもそこで「個性を出したい、自分らしさを出したい…」と脚色すると、途端にうまくいかなくなります。自分のやり方を混ぜるのは、モデリングして、コツを掴んでからでいいんですよね。

ー高野:なるほど!確かに私も前職で、トップセールスの女性の先輩を徹底的に真似るようになってから、数字がついてくるようになりました。

ー安達:そうそう!そういうことなんです。ただある時上司から「お客様に提出する資料の数字を入力してくれ」と言われて、入居率や収支といった数字を言われるがままに打ち込んで、提出しました。すると上司からこう言われました。

「この数字の根拠は何なんや?」って。

「いや、分かりません。(だって上司が言うとおりにうっただけやし…)」と言うと、「じゃあもしお客様に聞かれた時に、どうすんねん!」と言われました。

確かにその通りだと思いましたね。私は当時、根拠や数字についてはあまり考えなかったのですが、そういった視点で考察したり資料を作成する経験は大変勉強になりました。

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3.トップセールスへの道、両親との同居、妊娠。


ー高野:安達さんは、素直にアドバイスを受けて実行されるので、当時の上司の方からすれば、とても育てがいがある部下だったでしょうね。

ー安達:そうですか(笑)?ありがとうございます。

トップセールスの上司の指導のかいもあり、2年経った頃から実績が出始めて、おかげ様で18年勤めた中で、13年間は全国10本の指に入るトップセールスを維持できました。

ー高野:おぉ…すごい!13年も!安達さんは、この間にお子さんをお2人出産されているんですよね。

ー安達:はい。25歳の時に結婚しましたが、しばらくすると、夫の両親が営んでいた喫茶店がうまくいかなくなり、お店をたたんで両親は働きに出ることになりました。借金返済もあり、両親は住むところも難しくなったので、そこから義理の両親と同居することにしました。

それが、私が27歳の、妊娠中の出来事でした。

さすがに出産してすぐには働けないので、半年間は仕事の勘が鈍らないように会社から会議資料だけ送ってもらって、子どもが6か月になった時に保育園に預けて復帰しました。

なぜ6か月で保育園に預けたかというと、8か月になれば母親の跡追いすると聞いていたからです。まだ半年であれば、子どもも分からないまま保育園に行くので、そのほうが子どもにとっても良いかなと思っていました。

実際は、朝預けても子どもが全然大丈夫過ぎて、逆に私の方が泣きそうになりましたが…(笑)

ー高野:そうだったのですね…まさに激動の20代。きっとご主人も、奥さんである安達さんにはとても感謝されているでしょうね。

ー安達:ありがとうございます。妊娠中に義理の両親との同居を決めたのですが、嫌だとも何とも思いませんでしたね。「まぁ、それしかないな~」という感じで受け止めていました。

出産についても色々ありまして、1人目の出産は帝王切開だったのですが、その手術で、ある病に感染してしまいました。今でこそ問題視されていますが、当時は先生方もご存じないことでした。

1年間抗がん剤治療をして、29歳で入院した時「あなたはあと20年の命です。まだ若いから進行もはやいと思います。」と言われて…。

その時に考えたんですよね。

「私がちゃんと生きられたとしても、子どもが22歳になるまでしか見守ってあげられない。その時に彼女が一人っ子だと寂しいだろうから、二人目を産みたいな」って。

肝臓に負担がかかって母体が危ないので、すぐに出産に踏み切ることは難しかったのですが、実験段階の薬が運良く適応されて、二人目を授かることができました。

ー高野:…そうなのですね。今こうしてお話して頂いていますが、自分の命の期限を宣告されるって本当に辛いことだと思います…。

ー安達:そうですね。とはいえ20年て反応し難い年数ですよね(笑)ちょうどその頃、義理の母が遠方に働きに出ることになり、義理の父が家にポツンと残されることになりました。「自分が好きになった夫と住むのは分かるけど、義理の父親が残されるって何ー!?」と思いましたね(笑)。

当時の父は、家事や育児は何もできない人ではありましたが、洗濯物をやってもらったり、自転車で保育所にお迎えに行ってもらうことからはじめました。保育園は車で送り迎えに来る人が多かったので、自転車でやってくる父はみんなの人気者になっていたようで…(笑)気を良くして送り迎えにも行ってくれていました。

ある日私が仕事から帰ってきたら、父が野菜をちぎってサラダを作っていたんです。そして普通にトイレに行って、そのままの手でまた野菜をむしり始めたんですよ!

「お父さん!その手で、さっき何触りました?さすがに手は洗いましょうよー!まぁ私お腹強い方やからいいけど!」なんて言いながら…これ以外にも笑い話はたくさんあります(笑)

ー高野:すごいです。何でも笑い話にされる安達さんがすごい…。

ー安達:ただ人間関係においては、「常に真正面から伝えないといけない」と思っています。私は子どものことも、いち個人として尊重することが重要だと思っているので、普段人に話す時は「彼女が…」と話すのですが、その彼女が小学校1年生のときのことです。

営業の途中でちらっと家に立ち寄ったんですね。すると、彼女がテレビを見て横になっている姿が見えました。「あれ?」と思ってよくよく見ると、横でおじいちゃんが、彼女の宿題をしていたんです。

「誰に宿題してもらってんねん!」と、当然私は彼女を叱ったわけですが、父はそれを聞いて「そんなこと言うなよ、可哀想やないか。」と言いました。

「でもな、お父さん。その気持ちは分かるけど、この子が20歳になるころ、お父さん生きてる?その時に、この子が何も自分でできない子になっていたらお父さんは責任とれる?とられへんよね。」と話をしたら、父も理解してくれました。

父と話し終わって彼女のところに行くと、泣きながら宿題をしているんです。「なんで泣いてるの?」と聞くと「おじいちゃんにやってもらった宿題、全部間違ってんねん…。」って(笑)

「ほらな、宿題は自分でやった方がいいやろう?」と答えておきました(笑)

仕事でも、近隣の反対があり自治体に説明したり、立ち退き交渉したりという場面はたくさんあります。でも仕事なので、万が一納得頂けなくてうまくいかなかった場合も最悪、「今回はまとまりませんでした」で済むかもしれません。

でも家族はそうはいかない。だからとことん話をすることが大事だと思っています。

ー高野:一番身近な家族だからこそ向き合うことは勇気が入りますが、そこがうまくいかなければ、全てがうまくいかないですよね。

ー安達:そうですよね。女性が働こうと思ったら、家庭の中での役割分担が大変重要になります。この役割分担は、夫婦共働きであろうと、両親と同居であろうと、やろうと思えばできるものです。

私ね、女性が働きにくくなっている理由に「義理の両親や、親と同居するのが嫌だ」というように身近な人との関係を断つことがあげられると思っています。

両親が同居を望んでいなかったり、それぞれの家庭の事情もあるので同居を勧めているわけではありません。

でも、いくら企業が制度を整えても、いくら国が福利厚生を手厚くしても、結局一番身近な人間関係を断ってしまっては、仕事と育児の両立は到底できません。

自ら近しい人間関係を断っておきながら、外に向かって「全然関係ない他人で、助けてくれる人、いませんか!?」というのは、ちょっと違いますよね。

ー高野:確かに…。周囲に助けてもらったり、サポートしてもらうには、日頃から人間関係をしっかり築いておくことが大切だと思います。近くなればなるほど難しかったり、面倒くさい部分もあるかもしれませんが、そのやり取りなくして、助け合える関係なんてできないですもんね。

ー安達:そうですよね。「両親との同居は億劫だ」と思ってしまうのは、人間関係の思い込みがあるからです。勝手に「あの人はきっとこう思ってるんやわ。」と考えてしまって、自ら自分をしんどい状況に追いやっている。

でも人間関係にも心の仕組みがあって、人と付き合うことはものすごく面白いんだということを、みなさんに伝えていきたいと常々思っています。

ー高野:確かに、人間関係でうまくいかない時は決まって、「上司はあんな風に思っているはず」「夫はこう思っているはず」と勝手に決めつけてしまって、動けなくなったり、人間関係を自ら複雑にしてしまっていることが多いように思います。何を隠そう、私も前職で「最近上司が褒めてくれない。自分はもう期待されてない」なんてしょっちゅう思っていました。お恥ずかしい…(笑)

ー安達:企業で、ハラスメントが起こったり、社員さんが会社を辞めていったり、人が育たない原因は、その人の存在価値や存在意義が、おろそかにされているからです。「私たちはここにいる意味がない」と感じてしまうことで、上司を訴えたくなったり、会社を辞めたくなったり、モチベーションが下がることに繋がります。

全てに共通しているのは、「人格の尊厳がなされていない」ということです。

例えば女性活躍についても、上司が「女性はこうだから」と一括りで部下をみることで、女性が「私のことをちゃんと見てもらっていない」という状況になっていることはよくあります。

例えばですが「子どもを持っている女性は一生懸命働かない」とかね。でも、その女性はもしかしたら、子どもを産んでも一生懸命仕事を頑張りたい人かもしれません。「女性は」ではなく「私は」という個々を、ちゃんと上司が見ていくことが大変重要です。

女性が活躍するためには、これなくしては絶対うまくいかないと思いますね。

ー高野:本当にそうですね。よく上司の方から「女性は責任を追いたがらない」「女性はチャレンジしない」という相談を受けますが、女性でも個々に考えていることや目指すことは違います。女性も変わらないといけないですが、上司の方も変わって頂く必要がありますよね。

4.心理学との出逢いと「心」の育成にかける想い


(安達さんのセミナーで大活躍する小物だそう。可愛いです)

ー安達:女性が活躍するためには、男性が頑張らなければいけない部分もありますよね。

そのためには実は、私たち女性が男性を大事にしてあげないといけません。

当社のセミナー参加者の方の中にも「旦那が何にもしてくれない」と悩んでいる女性もおられます。でもね、結局、男性は女性から産まれてくるわけですし、そもそも男性は強いようで、実はもろくて、折れやすい、繊細な生き物です。だから、男性こそちゃんとメンテナンスしてあげないといけないんですね。

ー高野:なるほど…最近は逆に、「男性が女性を大事にしよう」という風潮が強いですね。

ー安達:そもそも、女性は強いですから(笑)男性を大事にすれば、逆に男性も女性を大事にしてくれます。ただこのメンテナンスは、男女間だけではなく、子育てにも言えることです。

私は、子どもには毎日「今日はなんかあった?」と聞くようにしています。

もう24歳、19歳のいい歳した娘たちですけど(笑)彼女たちは「今日は何もなかったわ」という日もあれば「う〜ん…ちょっとなぁ…」と言葉を濁す日もあります。

「今日どうやった?」というシンプルな一言ですが、それによって分かることはたくさんありますし、長い時間接することが良いのではなく、短くても良いのでいかに親が子どもを気にかけているかが大事ですよね。

ー高野:そうやってお母さんに見てもらってるという安心感はお子さんには絶対伝わりますね。安達さんは、もともと人の心理や人間関係に興味がおありだったのですか?

ー安達:私が現在の仕事をし始めたのは、ハウスメーカー勤務時代に「売れる人と売れない人って、何が違うんだろう?」という素朴な疑問を持ったことがきっかけです。

後輩と同行したときに「え、なんで今のタイミングでカタログ広げてしゃべってるの!?」「今お客様、眉間にしわよってるやん、何で気づかへんの!?」と思うことが多々ありました。そして帰りの営業車で「さっきのあの時さ、明らかにタイミング違うかったやん」「お客様との距離感、分かってた?」と話していましたが、自分でも曖昧な指導だなと常々思っていました(笑)

「なぜそうなのか」「どうすればいいのか」を具体的に指導できなかったんですね。それは自分自身に対しても一緒で、自分にも売れる時と売れない時があるのに、その違いを説明できませんでした。

それが、心理学を学び出してから、売れていない時期に何が起こっていたのか、売れている時に何が起こっていたのかが、具体的にはっきり分かるようになりました。売れている人は共通して、観察力が半端なく、売れるプロセスをふんでいます。

そういう人が子育てをすると、観察力に長けているので、やはりうまくいくわけです。

ー高野:おぉ!仕事も子育ても、同じ人間がすることですもんね。

ー安達:特に仕事の場合は、「何がうまくいっていないか」という部下の行動や考え方のずれを修正してあげることが必要ですし、それこそが部下育成なのですが、具体的に指示がされてないことが多いです。
そういった一連のことが心理学を勉強することで全て分かり、「これはもっと多くの方に伝えていきたい!」と思うようになりました。

ー高野:では、心理学で独立するために、ハウスメーカーを退職されたのですか?

ー安達:いえ、そうではありませんでした。18年間勤めていたハウスメーカーのことは、本当に大好きで、今でも紹介したりするくらい良いおつきあいをしているのですが、ある時、お客様に対して嘘をついているような感覚になってしまったんです。

ある時期から「税金、相続対策」とお客様にアパートを建てて頂いても、空室が目立つようになり、提案どおりにいかないことが起こり始めました。その時思ったんです。

これは結果として、お客様に嘘をついてしまっているのではないかと…。

そこで「空室対策を担当をさせて欲しい」と会社に直談判しました。自分なり、地域住民や消費者の視点を織り交ぜて提案書をあげたのですが、見事に却下されてしまいました。

「君は会社の稼ぎ頭。率先して売上を上げてほしいので、空室対策の管理責任者なんてさせられない。」と言われたんですね。

会社の言うこともわかりましたが、私は今の気持ちのままでお客様に売ることはできないと思い、退職しました。

その頃考えていたのが金融機関への転職でした。そこなら今までのお客様の問題を解決出来るのではないかと思いました。そしてちょうど金融機関からお声がけ頂き、そちらに転職することになりましたが、その頃に「これだ!」という心理学と出逢い、その後独立を決めました。そして金融機関を退職した翌月に、リーマンショックが起こりました。なんだか…必然だったのかなと思いますね。

ー高野:すごいですね。そうなるように出来ていたのでしょうね。「心財育成」というと、聞き慣れない方も多いと思うのですが、なぜ教育の中でもスキル面ではなく「心」に焦点をあてて独立されたのですか?

ー安達:私が現在のように「心」を軸にして教育事業をやろうと思ったのは、もとは「ものを持たずに仕事をしたい」と思っていたからなんです。大学卒業後営業をしたいと思ったのも、ものを売りたいのではなく、自分を商品にしたい気持ちが強かったんですよね。

ハウスメーカーの新人時代に、上司に同行してもらって、ピンポーンとお客様の家のインターホンを鳴らして「安達でーす!」と言ったことがありました。その時「あほ!●●会社の安達って言わんかい!」って怒られて、「やっぱりそうですよね」と思ったくらい(笑)

ハウスメーカーの営業も楽しかったのですが、私がこの営業をしている限りは、土地を持っている方しかお客様にできないと思うようになりました。金融機関に転職した際も、お客様は限定されてしまいます。

もっと万人に対して営業できるものは無いかなと思った時、「心だ!」と思ったんです。「心はみんなが持っているし、これなら何も持たなくともスタートできる!」とピンと来ました。

ー高野:なるほど!今までのご経験と勉強されたことが全てつながって、独立されたんですね。

ー安達:はい。独立を決めて、すぐに今の事務所を借りました。私の仕事は「場を持つ」ことが大変重要だと思ったんです。その中でも、来ていただくのに迷わない駅前に事務所を借りることにしたので、気づけば家賃は当初予算の3倍になりました(笑)

独立当初、3年間の事務所費の蓄えはあったので「3年で黒字にする!逆に3年で黒字にならないんだったら、この仕事は世の中に必要ないものだ」と決めてやり始めましたが、一方で「これは絶対に大切なことだから絶対にいける!」と思ってはいました。

結局、1年半で収支とんとんになったので、3年でベースを作り、5年で形を作り、10年かけて広げていこうと考えました。

そして2015年に法人化し、「心という財産を育成する、これがあれば人は育つ」という気持ちを込めて「心財育成」という会社名にしました。

ー高野:すごい覚悟ですね。でも、本当に心の持ち方を伝えるって大事ですよね。結局、どれだけ知識があっても、それを活かすのはその人の心の持ちようだと思います。

ー安達:はい、そうなんです。スキルや意識に上がっている部分を教える方はたくさんおられます。でも、無意識を意識化する、無意識のところを具体的に形にして渡す講師の方はあまりおられません。その部分を研修等で請け負うのは、様々な感情が参加者から出てくるので大変だと思われるのですが、私はあえてそこがやりたいと思いました。

現在、周囲の方々からは「安達さんはもっと発信しないといけないよ」と言われます。ここが今の私の課題ですね。目に見えないこと、わかりづらいことをしているからこそ、いかに発信していくかがカギだと思っています。

ですから、Woo!も発信する媒体として活用させて頂いています(笑)

また、今までは個人の方々に対してセミナーをしていましたが、皆さん大きく変化していかれれているので、次はこれを企業に対して行えるようにしたいと、今そのための働きかけを行っています。

企業で働く社員でありつつも、みなさん、子どもを持つ親であったり、家では何らかの役割があったりします。もしその社員さんが、ハラスメントなどから自分の身を守るためにタイムカードを押してそして帰るようだったら、そしてそれが誰かのお父さん、お母さんだと考えたら…これは辛いです。これは変えていかないと行けないですよね。

個人の集まりが企業ですから。

経営者の方にやる気があっても、中間層の方が同じ気持ちではない企業もたくさんあります。また、新入社員研修でやる気になった新人が、現場に配属されると先輩が疲弊していて、結局やる気が削がれてしまうお話もよくお聞きします。

ですから私は、今一番疲れている人たちから、元気にしたい。そして、その人達の心を豊かにしたい。仕組みを知らないだけで、知ってしまえば嘘みたいに人は変わるものです。

根底にあるのは「愛」ですから、「本当の自分を知るのが怖い」なんて思う必要はありません。どんなことも愛から来ているから大丈夫。そうやってみなが気づいていけば、日本はもっと豊かな国になると思います。だから私はまだまだこれからもがんばりますよ!

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安達さんは、力強く、何がきても動じない、懐の大きな女性。様々なご苦労があったはずなのに、それらを全て笑い話やネタにされる関西人気質なところも、安達さんの大きな魅力だと思いました。「心」を育成することを通じて日本を変える。この壮大なビジョンに向かって邁進される安達さんから、これからもますます目が離せません!安達さん、ありがとうございました!

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