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子育てで女性のキャリアは断絶される?〜働き方を創り出すまでの軌跡〜

働く女性の皆さんこんにちは。「転石 ビジネスサークル」代表の小野 曜(よう)です。

前回、「会社勤めをやめた私の退職口実は「子育て優先」、本当の理由は実は…?」と題し、子育て優先を口実に会社を辞めることにしたという話を書きました。
今回はその続編。退職を決意した私は、退職後の生活設計に着手、「子育ての空き時間」で「自分にとって必要なだけのお金」を稼げる「仕事」を探し始める中で「新しい働き方」を創造したいと考えるに至ります。

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1 退職後の生活設計

会社を辞めて独立・自営の道を歩むことを決意して最初にしたのは私が退職した後の生活設計。当時、私の職場まで30分という東京都心でマンションを借りて暮らしていました。退職すればここに住む必要はないので、どこに住むかと考えて出した結論が大阪の郊外への引っ越し。大阪は私の出身地で私にとって独立・自営がしやすいと思われたことと、子育てに適した環境で住居費、教育コストが低く、夫だけの収入でも暮らしていけると計算したためです。
ということで、お正月早々、「再来年の3月末までに関西に職を見つけるか、一人で東京に残るか、決めてね」と迫られた夫には、私の想定をはるかに超える同情が集まります(当時も今も。そして多分、将来も!)。

2 退職して、何をする?

家計、貯金をチェックして私が無収入になっても暮らしていける目途はつけたものの、私は専業主婦になる気はありませんでした。夫一人が家計を背負うリスクは回避したいというのが私たち夫婦の考えであり、また、子育てに専念して暇を持て余した私が余計な手出し口出しをして子供の自立を阻むのは目に見えていると思ったためです(笑)。ということで、退職後、「子育ての空き時間」を使って「パートに行くくらい」のお金を稼ぐにはどうすればよいか、探り始めます。
ちなみに私は弁理士という資格と実務経験を持っており、「柔軟に働いて必要なお金を稼ぐ」ためには弁理士業務に従事するのが最善です。ところがここで頭をもたげたのが四半世紀以上も前からの「大分にある放置里山を再生したい」という宿願と、「40代のうちに自分の職能をリセットしたい」という、退職時の秘めたる思い。
私が退職を決意した2014年当時、世間にはすでに20代後半~30代前半で社会課題を解決すべく起業した若手社会起業家が何人も登場していました。「里山再生」を宿願とする私には、社会、特に地域課題の解決に挑む若手起業家が眩しく、彼らのお手伝いをするような形で大分の里山再生を手掛けることができないか、と考えました。

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3:「働く時間が限られる」という不自由~「好きなだけ働く時間」がなければやりたい仕事はできない!?

そこで彼らとの接点を求めて、地域再生に取り組む人の話が聞けるイベントに行ったり、地域課題の解決を図る人と出会えそうなプログラムに参加したりしました。そこで痛感したのは、社会課題の解決にチャレンジして成果を出している若手起業家は、情熱があり、能力もあり、そして何よりも課題解決のために一日何時間でも、一年何日でもモーレツに働いている、という現実でした。
会社を辞める理由の一つは自分をリセットするためではあっても、そもそも「子供と向き合う時間を確保したい」から会社を辞めることを決意した私にとって、起業に必須らしい「時間無制限な働き方」は逆立ちしても無理です。身軽で好きなだけ働ける若手起業家を垣間見て私は、

「起業して成功させるためには、時間無制限で働けなければならないのか?」、「『好きなだけ働く』ことができなければ、やりたい仕事をあきらめなければならないのか?」

という疑問に捉われるようになります。

4:「完全な自由」はない!~組織離脱するサラリーマンとの出会い~

ところで社会課題の解決に挑む人々との接点を求めて社外を探索し始めた私が出会ったのは、モーレツに働く若手起業家だけではありませんでした。退社を決意して社外の集まりやいわゆる3rdプレイスに出入りするようになった私はそこで、独立・自営に走る40~50代のミドルとの多くの出会いを得ました。組織離脱するそうしたミドルは、おそらく組織の中では平均より少し勉強好きで社外で勉強などしているうちに組織や社会の危機を敏感に察知し「現状維持は無理」と決意したように見えました。彼らはほとんどがいわゆる大企業や官庁勤め、有能かつ人間性豊かで、20世紀であれば彼らは順調に出世して定年前に退職することなどなかったであろうと感じました。
彼らは「モーレツに働いて事業を成長させる」ことを志向する若さはない(失礼!)一方、「無理なく無駄なく働いて、必要な稼ぎを確保する」ことができる知識、経験を持っています。

それを知る彼らは、自らが「やりたい仕事」をするために、「やりたい仕事」が重なる仲間とスキル・経験・人脈・時間を「シェア」する協働関係を構築することで、やりたい仕事をやって収入を得る道を切り開いていました。

そんな彼らの姿は私に「働く時間が制限されてもやりたい仕事をする道を切り開くことはできる」ことを教えてくれました。また同時に、彼らは子育てを背負っておらずとも家計を背負っていること、私は子育てを背負っていても家計は背負っていないことを気付かせてくれました。

思えば、好きなだけ働けて家計負担も軽い若手起業家とて、経験不足や人脈不足といった「不足」を抱えるからこそ、経験や知識といった自らに不足する資源を補うために、時間や体力といった自分が持つ資源をフル活用しているのです。

時間、体力、お金、経験、能力etc…「やりたい仕事」をやりたいだけやるために必要なすべての資源が自由に使える人などいない。であれば、「やりたい仕事」が同じ人同士が集まることで、お互いの時間、能力、人脈、経験その他を「シェア」してやりたい仕事に挑めばいい。

こうして私は組織離脱するミドルたちに学び、「サラリーマン以上起業家未満」の「組織から吹きこぼれそうな(あるいは吹きこぼれた)サラリーマン」たちが「やりたい仕事」で繋がるタスクフォースメンバーとなり、「会社に頼らずやりたい仕事をやって稼ぐ」という働き方を志向するようになります。

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