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Woo!編集長髙野の出産復帰対談〜だてはげ活用術特別企画vol.9〜

(左から文美月さん、高野、木村元子さん、杉浦佳浩さん)

働く女性の皆さんこんにちは。Woo!でお馴染み、「だてにはげてない」杉浦佳浩さんとのご縁をご自身のステップアップに繋げておられる働く女性を紹介する『だてはげ活用術』第9弾。
今回は、Woo!編集長高野(こうの)の第二子出産復帰特別企画として、オフィス ブリエ代表木村元子さん、リトルムーンインターナショナル株式会社創業者の文美月さん、代表世話人株式会社の杉浦佳浩さん、そして高野の4人で対談を行いました。

さて、一体どんなトークが繰り広げられたのでしょうか!?

1 モチベーション維持の秘訣は「感謝の気持ち」


対談女性のご紹介

木村 元子(きむら もとこ)さん
オフィスプリエ代表 / 人材育成コンサルタント・ビジネスコーチ
文 美月(ぶん みつき)さん
リトルムーンインターナショナル株式会社創業者

ー高野:本日のこの豪華な対談企画、産後からずっと楽しみにしておりました!そういえば文さん、首のヘルニアになられたとのことですが…。

ー文:そうなんです(泣)パソコンの前で長時間仕事をしたり、プライベートで長年続けているバスケットでは激しい衝突シーンも多く、体に相当な負担がかかっていたのかもしれません。もう少し自分の体をいたわります。

ー木村:独立すると、会社が毎年定期健診をしてくれるわけではないので、自分で意識して健診に行くなど自己管理が大切ですよね。
杉浦さんはいつお会いしても健康でお元気そうですが、やはり普段から何かされているのですか?

ー杉浦:僕はヘルニアでもなく、持病もなくいたって健康です。現在、月に1度お灸をしに行っていますが、そちらの先生から「あなたは健康だからもう来なくてもいい」と言われる始末です…。

ー高野:私も産後すでに2回発熱してダウンしてしまったので、健康管理の大切さを痛感しているところです。

さて、本日は「モチベーション」について皆さんにお話をお聞きしたいと考えています。

日頃働く女性の皆さんから「どうすればモチベーションを維持できるのか」「やる気がなくなってしまった時どうすれば元に戻せるか」

といったお悩みをよくお聞きします。

皆さんは、いつお会いしてもお元気でパワフルでいらっしゃいますが、そもそもモチベーションが下がることなどあるのでしょうか…?

ー木村:そりゃありますよ〜もちろんあります!

ー高野:おぉ…意外ですが少し安心しました(笑)そのようなときは、どんな風に対処されているのですか?

ー木村:私はもともと「自分がどうすれば豊かになれるのか」が知りたくて、コーチングを習い始めました。今はその知識があるので、モチベーションの波がきても、感情をマネジメントできるようになりました。

ー杉浦:落ち込む前が分かるようになりますよね。

ー木村:そうなんです。「落ちてきてるなー」と感じた時、その状態を作ってるのはほかでもない自分自身。上司でもなく、お客様でもなく、同僚でもなく、家族でもなく、「私」なんです。
うまくいかないとき、人は大抵無いものやうまくいかないことばかりに焦点をあてています。でも、視点を変えれば、出来ているところや満たされているものはたくさんある。

結局、モチベーション維持の根幹は「感謝する気持ち」だと思います。

「だてはげ活用術」の以前の対談で、杉浦さんが定期的にお墓参りに行かれているという話になりましたよね。対談の後、「お墓参りに行き、感謝の気持ちを常に持っている人は成功しているし、豊かな人生を歩んでおられる」と改めて思いました。

杉浦さんは、今でもお墓参りを続けておられるのですか?

ー杉浦:はい。といっても大したことではなく…毎月お墓に行って、その月の報告をしているだけなのですが、その度に「まだまだ足りてないな。また頑張らないかん。」という気持ちになり元気になります。

あと最近は、自分のご先祖以外の周りのお墓にも水をかけるようになりました。かれこれ40年お墓参りをしていると、周りのお墓がご近所さんのような気持ちになってきて…

何だか毎回無視するのは申し訳ないので、全く関係ないお墓に「いつもお世話になります」という気持ちで水をかけています。

両親からは「毎月墓参りに行くなら、生きてる親にも毎月会いに来い!」なんて言われますけどね(笑)

 

2 落ち込む経験もまた、必要な経験である

ー高野:文さんも、起業されて事業も軌道にのりこれからという時に、大変辛い2年間を過ごされたと以前お聞きしました。

ー文:はい。精神的なショックから、会社に行けなくなったことがあります。起業してネットショップをやりはじめて、売上とともにお店や私の露出が増えていった時期でした。

経営手腕が未熟なまま急成長し、うまく立ち回れなかったこともありました。批判は前向きに受け入れ「改善してもっと良くなろう!」と思っていましたし、実際にそうしてきました。
でもネット上で誹謗中傷を受け始めて・・・。

今ではこうして明るく話せますが、私が在日コリアンということもあってか、あることないことが相当上乗せされて書かれていましたね(笑)そのうちだんだん見知らぬ人までが自分の悪口を言っているように感じて人が怖くなり、苦しすぎて、ある日を境にプツっと心が折れて出社できなくなりました。

当時は「英語を身につけて海外に住もうか・・・」と思ったことがあるくらいです。実際英会話を習いに行って猛勉強したんですよ(笑)
精神的に回復してそれまで通り人に会えるようになるまでは、2年近くかかりました。

ー木村:2年は相当長いですよね。

ー高野:そうだったのですね…そこからどのようにして「やっぱり頑張ろう!」と思われるようになったのですか?

ー文:子供のために「このままではダメだ」と思ったからです。

もしそのとき私がリトルムーンを辞めてしまったら、将来子どもが大きくなった時に、ネットに書かれた誹謗中傷を目にするかもしれない。

子供がショックを受けている姿を想像するだけで、涙が出ました。

私も一緒に経営してきた夫も、後ろめたいことをせず一生懸命頑張ってきたのだから、「子供のためにももう一度胸を張って、原点に立ち返ろう、評判を「上書き」できるように頑張ろう!」と奮起したんです。

ー高野:おぉ…お子さんの存在も大きかったのですね。大変つらいご経験だったと思いますが、その経験があってよかったと、今は思われますか?

ー文:もちろん!この経験があって良かったと胸をはって言えます。今思えば、当時の私のバイオリズムは落ちるところまで落ちていたと思います。その後は「今後もしここまで落ちることがあっても、私は耐えられる」と思うことができ、強くなれた気がします。

自分の振れ幅が分かれば、自分への自信になりますよね。以来、私のバイオリズムは緩やかにずっと右肩上がりです。いつかまた落ちると思いますが(笑)、経験値の引き出しがあるから大丈夫です。

また、たくさんのことに気づくことができました。それまでの自分はどこか傲慢だったと思います。「私は絶対に傲慢になんてならないぞ!」と思っていたのに(笑)

でも辛いときにこそ本当に大切なものに気づくことができるのだと思います。この時は本当に倒産寸前でしたし、

それを超えてようやく経営者の仲間入りが出来た気がします。

ー高野:聞いているだけで泣きそうだ…では杉浦さんは、どーんと落ちて、もうやる気が一滴も無い!という経験は…なさそうですよね?

ー杉浦:ありますよ!若い頃、30代はかなり落ちていました。20代の時、当時の会社で営業として成績を残していたのですが、ずっと個人プレーでした。周囲との関係性をあまり重要視することなく1人で走ってきましたが、ある時、自分の周りに仲間がいないことに気づき愕然としました。
そこからは落ち込み、家でじっといることも多かったですが、その時にたくさん本を読みました。その中の1冊が僕を変えてくれました。

ー高野:どのようなことが書かれていたのですか?

ー杉浦:カーディーラーで働くトップセールスの方が書かれた本で、「自分の気持ちを上げるために、朝会社に行くまでに感動をすることを5個見つけるようにしている」と書かれていました。そうすれば、感動のアンテナが「ポン!」と立って1日が変わると。
「本当にそうなんだろうか」と思い早速実践してみたら、1ヶ月で自分の中に大きな変化がありました。

ー木村:例えばどんなことに感動を見つけていくのですか?

ー杉浦:例えば…道端の鳩を見て「可愛いな〜、こんなところで鳩と出逢えて有難いな〜」とかですね…。

鳩に「有難う」と言っていると、鳩も何かを感じるのか、目があったり餌もないのにやたらと近寄ってきたりするようになるんですよ。

ー高野:朝からスーツで鳩に「有難う」なんて、かなり変な人ですよね(笑)

ー杉浦:はい、かなり(笑)でもそうやって、道端の花が綺麗だとか、どんな小さなことでもいいので感動を見つけるようにしていると、朝会社に出社した時に全然気持ちが違っているんです。普段は何も思わないような同僚の言動にも「有難い」と心の底から思えて、それを実際口に出して伝えることで、部署の雰囲気も変わっていったり…。

ー文:「有難う」を口にすると、周りにも良い影響が伝染しますよね。私も感動を5個みつける、やってみよう!

ー杉浦:100回超えたら涙が出るらしいですよ。

ー高野:えぇー!私もやってみよう!

ー木村:「幸せは、なるものではなく、感じるもの」という言葉が確かあったと思います。「幸せになりたい、なりたい」と思うのではなくて、今既にある幸せに気づくことが大事ですよね。

ー杉浦:そういえば、剣道の試合だけ「仕合」という漢字を使います。剣道は相手と「シアワセる」ということから、それが幸せの語源になったそうなのですが、1人では幸せになれないですもんね。

 

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3 育児と仕事の両立を完璧にしようとする必要はない。

ー高野:私ごとなのですが、最近仕事に対するモチベーションが底をつきてしまいました。「今年は育児を優先する」と決めたのでいいのかもしれませんが、サイト運営に力を入れても思うようにアクセスが伸びなかったり、仕事で得たい成果と現状のギャップの大きさに愕然とすることも多いです。

仕事で満足な達成感を味わえない分、育児や家事もタスク化し、無理しすぎて発熱してダウン…精神的にも不安定で、私は何をやってるんだろうと思うと、なんだかもうどうでもよくなってしまいました。

ー文:今、2人目のお子さんを出産してまだ2,3ヶ月ですよね。一番大変な時期だから、うまくいかなくて当たり前だし、完璧にしようと思いすぎなくていいと思いますよ。・・・っていうか、その時期に全部完璧にしている人なんて見たことない。

ー木村:そうですね。今高野さんは授乳中だから、人生の中で母性が一番溢れ出てる時期。かといって「育児優先だから仕事を頑張ってはいけない」という罪悪感を持つ必要はなく、もっと自由でいいと思います。

育児をしていて、仕事がしたいと思ったらすればいい。仕事をしながら、やっぱり育児がしたいと思えばすればいい。

両方ができる環境にいるのだから、それはすごく素敵なことだと思います。

ー高野:確かに…どちらもできる環境ですもんね。そんな中でfacebookを見て、周りの投稿を見て焦ったりしてしまう自分がいます。頭では分かっているのに吹っ切れないというか…。

ー木村:私は普段facebookはしませんが、非日常のことを投稿している方が多いですよね。一番光り輝くところが切り取られたのがfacebookなので、日常なわけではないと思います。また、投稿を見て心を乱されてしまうなら、しばらくSNSから離れてみるのもありかもしれませんね。

ー文:そうですよね。私は時々講演の登壇者として呼んで頂くことがあるのですが、自分以外の登壇者の方のそうそうたる経歴や会社の規模などを見て劣等感を感じてしまうことがあります。

「何でこんなすごい人たちの中に、私が呼ばれたのだろう?」と思うことも。

でもあえてこう思い直します。「主催者が私を呼んでくれたのにはきっと意味がある。私にしかできないこと、私の強みがある。みなさん素敵な方には違いないけれど、自分と比べる必要はない」と。

すると少し楽な気持ちになり、自信を持って話をすることができます。

時々ですが両親を講演に呼ぶこともあります。「頑張ってるんやな~」と喜んでくれたり、子どもにも「お母さんって結構頑張ってるねんで!」と日々伝えたりしています(笑)

お母さんが笑顔の家は、きっと笑顔にあふれていると思いますね。
ー木村:文さんのお子さん、親の頑張りを、もっと大きくなった時にきっと実感されるでしょうね。

ー文:そうであれば嬉しいです。また、今の日本は本当に恵まれていると思いますね。私はライフワークでカンボジアに行く機会も多いのですが、日本は食べ物に苦労することもなく、環境も整っていて、幸せな国です。世界中の数ある国の中で、日本に生まれることができただけでも奇跡です。

あ、そうそう日本のベビー用品は質が高くて、海外からわざわざ買いに来るって知ってた?

ー高野:えーそうなんですか!知らなかったです!

ー木村:売っている洋服も、一度洗濯しても全く型くずれしませんが、それって世界基準から考えるとすごいことですよね。

ー杉浦:そうですよ!ユニクロバンザイですよ!

ー高野:確かに…西松屋でこの前299円でベビー服買いましたが、すっごい頑丈です(笑)なんか悩んでいた自分が恥ずかしくなってきました…。

文:悩んだっていいんですよ。それが自分の足跡になり、周りの働く女性の痛みが分かる人になることができる。

私たちも色々乗り越えてきたから、今高野さんに対してそう言ってあげられるんです。

ー高野:素敵!私もはやくそう言えるようになりたい…。年を重ねるって素敵、そして生きてるって本当に素敵です!

ー木村:むっちゃ同感!「杉浦さん、文さんでも落ち込む波があるんだ、様々な経験を積んでいらっしゃるからこその暖かさ、大きさなのだ」と改めて感じました。

ー杉浦:今後のだてはげは、赤ちゃん連れがあってもいいんじゃないですか?

高野:もっと自由で柔軟でいいんですね。Woo!でも働く女性の皆さんに普段「固定概念に縛られる必要は無い」なんて言ってますが、自分がいちばん縛られていました。本当に有難うございます。

 

4 近江商人から学べること

ー木村:そういえば、今度杉浦さんは就活生に向けて講演をされるんですよね。甥っ子にもぜひ聞かせたいと思っていました。

ー杉浦:有難うございます。「大企業の時代は終わった」という趣旨の企画らしいのですが「大企業に行ってもいいけど、辞めても大丈夫やで。そういうくらいの気持ちでいいよ」ということを伝える大人がいないという話になりまして、私にお声がけ頂きました。

ー文:私は新卒で大手企業に入社しましたが、数年で出来る限り吸収して、次のステージにステップアップすることはあっても、大手企業に入ったから一生安泰ということではまったくないと感じました。

ー木村:そういえば、以前読んだ「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」という本がすごく面白かったです。

今の若者は、医療の進歩で100歳くらいまで生きられるようになるので、定年も伸びて70、80歳まで当たり前のように働かなければならなくなる。「大学を卒業して、企業から内定をもらったから一安心」ではなく、自分にどんどん投資をしていかないとダメだといったことが書かれていました。

「安定した会社で一生定年まで働く」「女性は結婚して専業主婦になる」という概念もなくなっていくそうです。

文:どういう働き方であれ、男女問わず全員が働く世の中になっていくのですね。

ー木村:そうですね。先日東京でCA時代の同期会を行いましたが、当時はみんな同じような生活をしていたのに、時が経つと大きく変わっていました。子どもがいてバリバリ通訳で働いている人もいれば、CAとして前職で働き続けている人もいて…。出発地点は同じでも、人生は変わるんだということを目の当たりにしました。

同期の中には、「専業主婦だけど、本当は働きたい」という人もいましたね。

文:「専業主婦になり幸せだ」という方はいいですが、「結婚前のようにやっぱり働きたい」

ともんもんとしているキャリア組の方がいるのはもったいないですよね。

ー高野:そうですね。やはり、常に自分を磨き、スキルを高め続けることが大切だと思いました。本当に時代は大きく変わっているのですね。

ー杉浦:時代は変わったという視点もありますが、変わっていないことも多いようです。先日近江商人について勉強してきましたが、そこで学んだことは全て今に通じることばかりでした。

一番衝撃だったのは、「近江商人はもとは全員農民だった」ことです。400年前の江戸時代初期は、士農工商制度が厳しく、農民が商人になれるはずなどありませんでした。そこから、ルール改定やイノベーションを興し続けて、近江商人が誕生したのです。また「いかに情報を掴むかだ」「物流が要だ」といったことも、全部今に通じます。

全盛期はFCが1000店舗もあり、組合を作るなどして福利厚生を充実させたり、

明治時代には日本初の退職金や遺族年金制度まで作っていたんです。

ー高野:おぉ!なんだかベンチャー企業みたいですね!

ー杉浦:そうそう。ベンチャーなんです。欧米の今からばかり学ぼうとしなくても、近江商人の中に全てがある。二宮金次郎さんが、全国の農地改革ができたのも、近江商人の人達がお金を寄付していたからなんですよ。近江商人は「僕らが立役者だ!」とは言っていませんが、近江商人の資料館には二宮金次郎の領収証がたくさんありました。

ー高野:大事なことは、昔からちっとも変わっていないのですね。そして、無いものばかり探さず、今あるものに感謝する気持ちがあれば、意欲的に仕事や人生に向き合っていけることを実感しました。大変お忙しく、各方面で引っ張りだこなお三方を独り占めしてお話を聞かせて頂き、今日は有難うございました。講演料をお支払しないといけないくらいですね…。

ー木村・杉浦:こちらこそ本日は有難うございました。

ー文:有難うございました。じゃあ後日、今日の分の請求書送っておきます!(笑)

3人のお話をお聞きして、「人間万事塞翁が馬」という言葉を思い出しました。人生は良い時もあれば、うまくいかないときもある。短期的な視点で今を見て一喜一憂するのではなく、長い人生の中の経験としてど〜んと構えていられる大人な女性になりたい。そして常に感謝の気持ちを忘れないことで、自分のモチベーションをしっかりマネジメントできる女性になりたいと強く思いました。木村さん、文さん、杉浦さん、本日は有難うございました!