働く女性の皆さんこんにちは。小川由佳です。
拙著「女性管理職の教科書」でも書きましたが、男性と比較して、女性は「自分に自信がもてない」とおっしゃる方が多いように感じます。
1 優秀な方だなと思っても…
日頃、コーチや講師の仕事をしていると、とても優秀で「ああ、だから、会社はこの人を管理職に任命したんだな」と感じる女性によく出会います。
でも、ご本人は「私なんて無理」「管理職には向かない」とおっしゃるのです。
違う見方をすると、
女性の場合、90%くらいできそうだと思えないと「できます」「やります」と言えない。
かたや、男性の場合、60%くらいできそうだと思えたら「できます」「やります」と言っちゃう。
そんな印象があります。
2 最近読んだ本より
最近読んだ「なぜ女は男のように自信をもてないのか」という本によると、男性に比べて、女性には自信をもちにくい傾向にあることがデータや調査結果をもって示されています。
この自信のなさは、たとえ傍目には華々しく活躍している女性であっても同じなのだそう。例えば、前米国国務長官のヒラリー・クリントン、IMF専務理事のクリスティーヌ・ラガルド。このような世界的に見ても蒼々たる肩書きを持つ女性であっても、自分の自信のなさと戦うことがあるのだと聞くと。意外でちょっとびっくりしてしまいます。と同時に、「自信」という点では、彼女たちも、私(たち)と同じなんだなあと思うと、ちょっとほっとするような気持ちもあります。
ちなみに、怖いのは、この自信のなさが「行動しない」という結果を引き起こすこと。
「なぜ女は男のように自信をもてないのか」に、心理学者ザッカリー・エステスのこんな調査結果が載っていました。
男子学生と女子学生の両方に、この一連の空間認識パズルを解かせてみたところ、女子学生のほうが男子学生よりもスコアが悪かった。だが、エステスが実際彼らの答えを見てみると、女子学生のスコアが良くなかった理由が、彼女たちができるだけ多くの質問に答えようと試みていないからだとわかった。彼女たちは、自分の能力に自信がなかったため、ただそれから逃げ出したのだ。そのあとエステスは彼女たちに、せめてすべてのパズルを解く努力をしなさいと告げた。そうしたら何が起こったと思う?女子学生たちのスコアは大幅に伸び、男子学生とほぼ同じになったのだ。
(中略)
エステスの研究は、興味深いポイントを描き出している。つまり、自信不足は、必然的に無活動を招くということ。確信がもてず、躊躇するとき、女性は答えられるはずの質問を飛ばしてまで、自分の行動を押し止めるということだ。これは問題だ。だが、行動をすれば、たとえそれが強制された行動だとしても、私たちは男性と同じくらいの結果を残せるのだ。エステスの実験に参加した女性たちは、自分が失敗するかもしれないことに挑戦したくなかったから、質問を飛ばした。実際は、彼女たちは何も心配することはなかったのだ。彼女たちは男性と同じくらい上手にあのコンピューター画像を操作していた。だが失敗への恐れが彼女たちを無活動にし、それゆえに失敗は保証されてしまっていた。
出所:「なぜ女は男のように自信をもてないのか」キャティー・ケイ&クレア・シップマン著(CCCメディアハウス)
自信不足は、無活動=行動しない という結果を招くということ。
これは、私が出会った、せっかく能力があり周りが認めているにもかかわらず、「私には無理」「向いていない」と思い込んで、管理職になることを躊躇する女性の傾向にも、まさにあてはまることです。
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3 接客業の友人の話からも
また、先日、接客業に長く携わっていた友人に聞いた話も、まさにこれに準じる話でした:
彼女曰く、販売スタッフは、優秀な人ほど、店に数年ほど勤めた後、辞める傾向にあるのだそうです。なぜかというと、仕事に飽きてしまうから。
飽きてしまった人は、別のお店に転職することで、つまり、売る商材を変えることで、「飽き」を解消して新たな刺激を得ようとするのだそうです。
お店側としては、優秀な彼女たちに「店長をやってもらいたい」と打診するのですが、彼女たちは、「いえいえ、店長なんて私には無理です」と断ってしまう。
優秀で、お店側から見るときっと店長としてやっていけるだろうと思う人であっても、そんな自分の能力や強みに気づいていない。で、本人は「私は向いていない」「絶対無理」と思い込んでいる。
・・・そんな話を友人は聞かせてくれました。
4 少し視点を変えてみる
もし女性が、やる実力やポテンシャルがあるにもかかわらず、自分を過小評価するあまりに、トライしない傾向にあるのだとしたら、すっごくもったいないと思わずにはいられません。
実際のところ、今の自分に判断できることは、これまでに経験したことの総動員でしかない。経験したことがないことは、どうにも判断しようがないはずです。経験したことのない管理職の仕事や店長の仕事もしかり。にもかかわらず、「自信がない」っていう理由で諦めてしまうのは、とてももったいない・・・と、私は思うのですが、いかがでしょうか。
例えば、
「そもそも女性というのは、自分を過小評価しがちなもの。また、私たちは90%くらいできると思えないと『できる』と言っちゃいけないと思い込んでいるけれど、もしかしたら男性はもっと気楽に『できる』と言っちゃっているのかもしれない。そこまでハードルは高くないのかもしれない」
そんな視点をもつことで、もし挑戦するハードルが少しでも下がるのであればいいなと思う今日この頃です