Woo!(ウー)

本読んで徒然 vol.1~『パラレルキャリアを始めよう!』

働く女性の皆さんこんにちは。「転石 ビジネスサークル」代表の小野 曜(よう)です。

「本は読みたい」「読まないと・・・」と思いながらも、仕事に家事に子育てで本を読む時間なんてない!
Woo!の読者にはそんな方も多いと思います。そこで今回から、私が読んだ本について、どんなことが書いてあるのか、本に書いてあるポイントを整理してみようと思います。

第1回は石山恒貴法政大学教授著『パラレルキャリアを始めよう!』。

『パラレルキャリアを始めよう!』ってどんな本?

まずは『パラレルキャリアを始めよう!』という本は、どんななのか本かをざっくりと。

この本はまさにタイトル通り、「パラレルキャリア(以下「パラキャリ」)」に興味を持つ人が「パラキャリ」の道を踏み出すためのガイド本といえます。パラキャリとはどういうものか、「パラキャリ」を「する」ことで何が得られるかが、具体例に沿って書かれています。

以下、文中の記載を引用しながら内容をご紹介します。

「パラレルキャリア」とは何か

まず「パラレルキャリア」とは何か。

著者は

「パラレルキャリアとは、会社勤めなどの本業をしっかりと持ちながら、本業以外に社会活動を行う新しい生き方であり、仕組みである。」

と書いています。

「社会活動」というのは社会で必要とされる活動、身内ではない誰かの役に立つ活動ということでしょうが、ここでは、「自分以外の誰かに求められて何らかの役割を担い、その役割を担うことで社会と関わる活動」というような意味だと捉えて良さそうです。

ですから例えば、子育てや身内の介護をすることは本来の「社会活動」とは言えませんが、本業(会社勤め)をしながら子育てや介護をし、子育てや介護をすることを通じて地域や学校、行政などと関わっていれば、パラレルキャリアをやっている、といって良さそうです。

著者は「パラレルキャリア」への理解を深めるために、「パラレルキャリア」の対義語として「シングルキャリア」という言葉を挙げ、次のように書いています。

「シングルキャリアとは、『自分が本業と考える組織、あるいは役割に全面的に依存してしまい、その価値観を疑問の余地なく受け入れ、その状態から変化する可能性すら想定していない場合』と定義しておきたい」

簡単に言えば、「本業」以外には誰かに必要とされ果たす役割がない、本業がなくなれば「やるべき」こと、居場所がないというのがシングルキャリア、と考えてよいでしょう。

会社と家を往復するだけで付き合う人も社内の人や仕事関係の人だけ、という会社員は会社勤め(本業)を辞めればやるべきことがなくなる典型的なシングルキャリアといえるでしょう。家庭にこもって家事と子育てに従事して、お付き合いする範囲も家族が生活する範囲にいるママ友やご近所さん、という専業主婦もまた、「家事・子育て」という本業に没頭するシングルキャリアといえそうです。

簡単に言えば「雇用され家庭のために外で稼ぐ人(男性)」「稼ぐ人を支えて家庭を守る人(女性)」という、戦後の日本社会で推奨され標準とされてきた生き方はシングルキャリアというわけです。

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なぜいま「パラレルキャリアを始めよう!」なのか?

「シングルキャリア」は、日本で長年に渡って「モデル」として推奨され、これまでも、そしてたぶん今も多くの人に支持され、信奉されてきた生き方です。著者はその「シングルキャリア」ではなく、「パラレルキャリア」を勧めます。それはなぜか。

それは、「シングルキャリア」であることのリスクが増大しているからです。

シングルキャリアで生きてきた会社人間が定年退職後に「ぬれ落ち葉」になる、子供が巣立った後の主婦が「空の巣症候群」にかかる、というように、シングルキャリアで生きることのデメリットはずっと以前から知られていたことでした。

しかし少子長寿化し「働かなければならない時間」が長くなる中、就労期間途中で失職するリスクは高まっています。ゆえに、本業を失えば役割も居場所も失う「単線型」のシングルキャリアのリスクはもはやシニアだけのものではなくなり、幅広い世代に複線型のパラレルキャリアが推奨されているのです。

パラレルキャリアが拓く世界

本業を離れて活動するパラレルキャリア活動には、年齢や専門性、価値観などが異なるメンバーが含まれます。

このため例えばパラレルキャリア活動として地域のお祭りを企画し、実行することで、多様なメンバーと意思疎通するためのコミュニケーション力が磨かれます。また、権威や権限で動かすことができないメンバーを率いるため、「権威・権限に頼らないリーダーシップ」が必要となります。さらに、多様な価値観が存在するパラキャリ・コミュニティを維持、運営するためには、小さな意見や考え方の違いを許容し、全員が共有できるシンプルで明確な目標なり行動規範なりが必要となります。

このためパラキャリ活動により些細な違い、枝葉にこだわらない包容力も磨かれることにもなります。

著者はこうしたパラキャリ活動の効果を、パラキャリ実践者の事例から説明しています。著者はまた、週5時間から10時間、隙間時間のどこでもできる、求められるのは専門性ではなく活動に向き合う姿勢だと述べ、パラキャリ活動は敷居の高いものではなく、誰にでもできると説いています。

私自身、新卒で入社した会社に勤めていた頃はまさにシングルキャリアそのものだったのが、「せっかく東京にいるのだから」というくらいの気持ちで、社会人向け人材育成プログラムに参加して以降、パラキャリは生きる上で必要なビタミンのようになっています。本業を離れた場所で出会える人の魅力、本業以外で自らのスキルや経験を活かし新たなスキルや経験を得られる場所がある楽しさ、安心感ー。

大阪に転居してまもなく2年半。関西では東京に比べ、パラキャリ活動をスタートし、その楽しさを味わえる場所や機会が少ないように感じています。

そこで6月29日(金)18:30~OBPアカデミアで「パラキャリ未来会議 in 大阪~働き方の見本市」と題するイベントを開催します。ここで紹介した『パラレルキャリアを始めよう!』の著者の石山先生もご登壇されます!ぜひご参加くださいませ!

6月29日「パラキャリ未来会議 in 大阪~働き方の見本市」
https://obp-ac.osaka/event/2716.htmlまたはhttps://peatix.com/event/388156/view
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イベントのためのクラウドファンディング(5/31まで)
https://readyfor.jp/projects/freelancekansai