関西で働く女性の皆さんこんにちは。Woo!でお馴染み、「だてにはげてない」杉浦佳浩さんのご縁をご自身のステップアップに繋げておられる働く女性を紹介する『だてはげ活用術』第4弾です。今回のゲストは株式会社ウェルフェアソリューションズを設立された代表の井野 良子(いの りょうこ)さん。さて、今回は一体どんなトークが繰り広げられたのでしょうか!?
1.井野良子さんってどんな方?
(注釈:手前に写っているのは、カメラマンの手ではなく、杉浦さんです)
今回のゲスト、井野さんのプロフィールはこちらです。
神戸大学卒業後、外資系金融機関に就職。その後、外資系保険会社に転職し、コンサルタントとして活躍。2013年1月、28歳の時、英会話教室を運営する会社として、株式会社ウェルフェアソリューションズを設立。現在は、関西在住外国人向けフリーペーパー「Life in Kansai」発行、心斎橋界隈の外国人観光客向けのクーポン紙作成、飲食店の外国人向けメニュー作りや、大手企業の社員向けの英語研修等、ますます活躍の幅を広げている。
2.英語を好きになったのは、姉の影響だった。
(注釈:井野さんとクレアさんに急遽、杉浦さんのための英語講座を開催して頂きました。「自然に禿げる→bald」「自分で剃った→skinhead」だそう。ふむふむ!だてにはげてないを英語にすると「Not just a bald guy!」…「おぉ!超かっこいい!ブルース・ウィルスのようだ!」とみなで大盛り上がりでした。)
ー高野:実は井野さんとは5年ほど前に、ある会社主催のゴルフ大会でお会いしているんですよね。その時はまだ独立されていなかったのに、今日久々にお会いしたら独立されてこんなにご活躍されているとは…!本日はよろしくお願いいたします。
ー井野:私も楽しみにしていました。本日は、当社の英語講師のクレアも勉強のためにインタビューに参加させて頂いております。よろしくお願いいたします。
ー高野:早速ですが、井野さんはもとから、英語がお好きだったのですか?
ー井野:中学の頃、英語暗唱大会で優勝した姉が、優勝特典で海外に行かせてもらったのを目の当たりにしたこともあり、私も英語に興味を持つようになりました。英語暗唱大会とは、「星の王子様」や「フランダースの犬」といった物語の文章を舞台で暗唱し、その順位を競う大会です。…で、肝心の私はというと…大会での結果は4位。賞品はMDプレーヤーでした。子ども心に「優勝は海外で、4位はMDって…えらい違いや。」と思いましたね(笑)
ー杉浦:すごいですよね。僕は英語が全くだめなので、話せる井野さんを尊敬します。といってもこれからは英語必須の時代ですもんね。
ー井野:ありがとうございます。大学時代は、メルボルンと、バンクーバーに短期留学に行きました。また当時は、「外国の方を世界中から集めてイベントを開催する」といった活動もしていました。
ただ、普段英語を使わないとすぐ忘れてしまうので、イベントの直前になると英会話学校に通いつめて必死で英語を勉強していました。
ー高野:すごい!では、大学生の頃から英語はペラペラだったと?
ー井野:いえ、それがそうでもなく…。「日常会話はある程度できても、仕事で使うとなるときついかな」というレベルでした。実際に話せるようになったのは、この会社を立ち上げてからです。なんといっても、必死さが違いますから(笑)
ー高野:さきほどクレアさんとの会話を聞かせて頂きましたが、とても流暢でかっこよかったです。もちろんご本人の努力の賜物ですが「帰国子女でなくても、ここまで話せる」というのは、純粋な日本人からすれば大きな希望になりますね。少し話は変わりますが、杉浦さんと井野さんの出逢いはいつ頃だったのですか?
ー井野:今から5〜6年前です。お世話になっている経営者の方から「保険会社で働くすごい人がいるから、お会いして勉強してみたら?」とご紹介頂いたのが、杉浦さんでした。
ー杉浦:僕の前職入社20周年記念のパーティーを経営者の皆さんが開いて下さるということで、その打ち合わせの席でしたよね。
ー井野:はい。その時はご挨拶程度であまりお話できなくて、そこから約1年はフェイスブックで繋がっているだけでした。その後、杉浦さんと一度お会いする機会を頂き「実は会社をやめて独立しようかどうか迷っている」という相談をしました。
ー杉浦:当時は迷っておられましたもんね。でも、「やるなら早い方がいいんじゃないですか?自分でやってみたらどうです?」というお話をしました。当時はまだ会社員だった僕が偉そうに言うのも何でしたけど…(笑)
ー高野:背中を押されたのが杉浦さんだったんですね。井野さんはその頃、既に「英語に関わる事業をしよう」と決めておられたのですか?
ー井野:ぼんやりとですが、「英語に携わることがしたい」とは思っていました。実は前職で働いていた時、プライベートで英語を教えていたんです。知り合いが朝活英会話をしていたのですが「日本人の先生に英語を習いたいという生徒がいるんやけど、教えてもらえない?」と言われたのがきっかけでした。
ー高野:「英語を勉強したいけど、日本人から学びたい」とは…(笑)日本人は英語が苦手な民族だというイメージがありますが、他言語への苦手意識というのは、日本人特有の気質なのでしょうか?
ー井野:いえ、そんなことはありません。当社の講師陣の中にも、日本に長く住んでいて話せるのに、あまり日本語を話さない人もいます。「間違うのは恥ずかしいし、完璧な状態で話したい」と思うあまりなかなか話せないというのは、どこの国の人でも同じです。
逆に今隣にいるクレアは、まだ日本に来て1年程度なのにどんどん日本語で話かけてくるので、本当にすごいと思いますね。
ー高野:なるほど…では、英語を学びにくる生徒さんや、研修実施先の社員さんには、まず「英語を話すなんて恥ずかしい!無理だ!」という心の壁を超えてもらうことが大切なんですね。
ー井野:はい、そうなんです。「英語は難しくないよ。まず話してみよう!」と背中を押すのも私たちの重要な役目です。
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3.「Life in Kansai」とインバウンド事業との出逢い。
(注釈:上記は、「Life in Kansai」の最新号の表紙(5/18現在)。とてもオシャレで素敵ですね!)
ー杉浦:今後は、英会話教室を増やしていかれるのですか?
ー井野:実は今、英会話教室に関する広告や営業は一切していません。むしろ力をいれているのは、「Life in Kansai(ライフ イン カンサイ)」やインバウンド系の仕事なんです。
ー高野:「Life in Kansai」とは何でしょうか?
ー井野:当社が毎月発行している外国人向けのフリーペーパーです。会社立上げ当初、英会話スクールの外国人講師の獲得に大変苦戦しました。実は同時期に知り合いも同じ状況で悩んでいまして…英会話スクールを運営するにも、外国人講師を採用できないという課題を抱える会社は多かったんです。
そこで私は、大阪城公園を散歩している外国の方に片っ端から声をかけたり、外国人が集まるバーに張り紙をしたりして、必死で求人募集をしてみましたが、結果はゼロ…。そんな時、ある外国人向けのフリーペーパーで人材募集できることを知り、2000円ほどで求人広告を掲載したら、なんとすぐに40人を超える応募がきました。
ー高野:えー!40人も!!!
ー井野:私たちが伝える術を持っていないだけで、英会話スクール講師の求人を探している外国の方はとても多いのだと驚きました。一方で外国語ができる講師を採用したい会社も多いということは、両者のマッチングは絶対にニーズがあると感じました。
そしてやるなら、「英語が話せる外国人全員と知り合いたい!」と思い、紙媒体で「Life in Kansai」を2014年の8月から発行することにしました。その際、杉浦さんにも多大なサポート頂きました。本当にありがとうございます。
ー杉浦:いえいえ、僕は何もしていません。全ては井野さんの行動力です。今では、紀伊国屋やタワーレコード、ジュンク堂や大学にも、この「Life in Kansai」を置いてもらっているんですよね。しかも全て自分の足でまわって、OKを取り付けて来られた。これはすごいことです。
ー井野:おかげさまで、現在450箇所に置いて頂けるまでになり、発行部数も10,000部を超えました。毎月15日に発行しているのですが、ちょうど明日、次回の校正があがってくることになっているんですよ!
ー高野:おぉ…!ほんとにすごいですね。井野さんはもとから行動力があるタイプの方ですか?
ー井野:いえ、結構石橋たたいて割るタイプです(笑)でも「Life in Kansai」の場合は、紙媒体なので、多額の初期投資もかからないからできそうだと思いました。
ー杉浦:当時から印刷コストは相当下がっていましたよね。実は日本の印刷コストって世界的に見ても大変低いんですよ。それなのにクオリティは高い。すごいことですよね。でも、一度創刊するならまだしも、それをずっと続けることは並大抵ではありません。続けておられる井野さんは本当にすごい。
ー井野:ありがとうございます。一番最初に、広告を掲載して下さるお客様を紹介してくださったのが杉浦さんで、そのうちに「観光客向けのサービスを手伝ってもらいたい」と言われるようになりました。そこで、心斎橋界隈のクーポン紙を作り始めたのですが、実はこれが今とっても好評なんです。
ー杉浦:井野さんはインバウンド事業の先駆けですね。「爆買い」や「インバウンド」と言われる前から、目をつけておられましたよね。
ー井野:観光客向けのものはニーズが高いです。もとは英会話スクールでスタートしましたが、お客様のニーズを聞いているうちに、だんだん事業が広がっていきました。今では、飲食店の外国人観光客向けメニュー作り、電鉄会社の社員さんへの英語教育、駅の張り紙チェック、ショッピングモールの店員さんへの英語研修等もしています。
ー杉浦:これからはそれらの研修もパッケージ化できるといいですね。メニュー化してみると、もっと事業として広がりが出てきそうな気がします。
ー井野:そうなんです!また相談させてください。また去年は焼肉店のメニューを作る仕事がとても多くて。カルビやホルモンといった部位を、全部訳すのですが、結構な勉強やリサーチが必要で、やりがいある仕事でした。
部位によっては朝鮮語が語源だったり、日本語が語源だったり様々で、おかげで「牛の生体」にかなり詳しくなりましたね(笑)
…ちなみに、「ミノ」って「ファーストストマック」っていうんですよ。
ー杉浦:えー…。「1つ目の胃」ってことですか?リアル過ぎてなんか食べる気が失せそうな…。
ー井野:実際外国人観光客の8割はミノを食べないらしいです。でも「直訳するとこうだけど、ここまでは書かないほうがいい」とか「逆に表現はこう変えたほうがいい」等、ただメニューを訳すのではなく、どうすればメニューに興味を持って注文頂けるかといったノウハウも溜まってきました。提供できるコンサルの質は確実にあがってきたと自分たちも感じています。
ー高野:わーすごい!!すごいことをさらっとおっしゃる井野さんが素敵です。メニュー1つとっても本当に深いですね。素朴な疑問ですが、御社のような会社は、3年前はあまりなかったのですか?
ー井野:いわゆる翻訳会社ありましたが、高額でした。高すぎて、飲食店の方はとても頼めない状況でしたね。
ー杉浦:「何文字以上でいくら」といった感じで価格設定されていて、結構高いですよね。だから井野さんの会社にすごく引き合いが多いのだと思います。また、「インバウンド」と言われ出してからやり始めたのではなく、3年前からやっているというのが強いですよね。
ー井野:今はインバウンドの流れが来てるので、更に新しいサービスを近々リリースする予定です。後発で市場参入する会社も増えてきましたが、3年前からやっている強みを活かし、今の市場で求められていることに丁寧に応えていくつもりです。
4.他社が真似できない強みは、徹底した「きめ細やかさ」
(注釈:クレアさんとの打ち合わせ風景)
ー高野:参入企業も増えているということなのですが、こういった英語のビジネスで大変なところはどういう部分でしょうか?
ー井野:訳し方や解釈、ニュアンスといったソフトの部分ですね。例えば海外の空港に置いてある無料のガイドブックって、開いてみると「日本語で書いてあるけど何か外国っぽいな」と思いませんか?
ー高野:なるほど。確かにこれって、一言ではうまくいえませんよね。また少しでもニュアンスに違和感を感じると、その媒体の信頼性も下がってしまいますね。
ー井野:そうなんです。そういったソフトの部分を、クレアや当社の講師陣と、とことん膝をつき合わせて、「これは変だ」とか「もっとこういう表現だ」という風に、細かな話し合いをして進めています。どこまで考えぬくか、きめ細やかにできるかが本当に大切なんです。
おかげさまで、当社のクーポン紙は外国人観光客にとても人気で反響が良く、お客様からも好評を頂いています。
ー高野:なるほど。そのきめ細やかさが、御社の大きな強みなんですね。では、井野さんの強みって、杉浦さんから見てどういうところでしょうか?
ー杉浦:行動力は言うまでもありません。あと、僕がこんなこと言うと偉そうですが…僕は紹介するだけで、そこで見えたニーズやヒントをもとに、ご自分の考えを付加して、角度いいものに変えていかれるところがすごいと思います。
小さなきっかけをしっかりお仕事に変えていかれる力が非常に強いですね。
ー高野:柔軟で、かつ行動力があり、必ずやり遂げられる。すごいです。
ー杉浦:そういえば前は寝てなかったですけど、最近寝てます?
ー井野:あ、寝てます(笑)さすがに「Life in Kansai」創刊の時は本当に寝る暇が無く必死でしたが…。
ー高野:わかります…!私もこのサイトWoo!を立上げる時、寝る間を惜しんで仕事しすぎて、結局ぶっ倒れました(笑)でも「ここは何が何でもやらなあかん!」という時ってありますよね。
ー井野:ぶっ倒れたんですね(笑)本当にそうですよね。今でも、常に悩みはありますが、インバウンドの方は明確にやり方が見えてきました。どうすれば効果が出やすいか、確信が持てるようになってきたので、これからの展開がますます面白くなりそうです。
ー杉浦:途中で辞めずにやり続けておられるから、ストライクゾーンが見えてくるんでしょうね。
ー井野:今では私も心斎橋にかなり詳しくなり「こんな面白いところがある!」とオススメしたいお店がたくさんあるんです。例えば、外国人女性観光客向けに男前がマッサージするマッサージ店なんていうのもあります(笑)一等地ではない立地で、プロモーションをし、多くのお客様に来店頂くために、お店の皆さんは本当に果敢な挑戦をされています。
ー高野:井野さんのお仕事は、ここまで来ると「地域活性事業」ですね。
ー杉浦:食べ物専門も良さそうですね。ガイドブックには載っていない地元の人のみぞ知る美味しいお店は、海外の方も行きたいはず。
そうそう、この前長崎県の対馬(つしま)という小さな島に行って来たのですが、毎年韓国から20万人が訪れているんですよ。お目当てはなんと「食べ物」。わざわざ美味しい食べ物を食べるために観光客が来日するんです。胃袋掴むって大事ですね。
ー井野:そうなんですよね!胃袋をわし掴みしたいですね。ただ、いくら美味しいものでも、あまり外国人観光客に対して「ウェルカムではない」お店であれば、来店しても楽しくないし美味しくありません。ですから、当社も「会話・接客」という部分でもしっかりコンサルティングさせていただきたいですね。
ー高野:なるほどー!お腹がすいてきました(笑)では最後に、今後の展望を教えて頂けますか?
ー井野:インバウンド事業の波がこのまま続けば良いですが保証は無いので、今のうちに勉強させて頂いて、ノウハウを蓄積していきたいと思っています。
また「Life in Kansai」は、永久的な外国人のパイプとして育てていきたいですね。私の魂は「Life in Kansai」にあります。せっかくこの関西に、色々な世界から外国の方が来ているのだから、そんな人たちの輪を、繋がりを作っていきたい。
「Life in Kansai」を、日本にいる外国の方が朝起きたら必ず見るような、そんな皆さんに愛され、根付くポータルにしたいと考えています。まだまだこれからですね、頑張ります!
ー杉浦:「だてはげ」も微力ながら引き続き頑張らせて頂きます!
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根性がある。行動力がある。ガッツがある。それでいて人当たりは柔らかく、笑顔が素敵で、井野さんの前ではいつの間にか皆が心を許してしまう。こんなにバランス感覚のある女性はなかなかおられないと思います。色々なご苦労があっても、それを表に見せず、常に前進し、活躍の幅を広げていかれる井野さん、同姓から見ても本当に本当に素敵です!これからの井野さんから、ますます目が離せません!
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