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男性陣を否定しているうちは、女性活躍は進まない~ナチュラルリンク高野の独り言~

先日、「女性社員向けに女性活躍推進の講演をしてほしい」というご依頼を受け、その企業へ打ち合わせに伺った。

見出し1 女性活躍あるある。

その際、担当の方がこんな風におっしゃっていた。

「以前お呼びした女性講師は、とても面白かったんですが、オブザーブの男性のことをケチョンケチョンにおっしゃったんですよね。女性は普段思っていても口に出せないことを講師が代弁してくれたのでスッキリしたんですが、男性陣はどうやらそれがトラウマになってしまったらしく…。
でもこれでは男性陣を巻き込んで女性活躍をすすめづらくなるので、今回はもっとフラットにお話をして頂きたいんです」

と。

これは、女性活躍あるあるだと思う。

女性活躍は働き方改革とセットなので「男性陣の働き方や残業の多さ」「夫が家事や育児を妻に任せきりにする」という部分に焦点があたり、それらを指摘するケースが多い。

確かにその通りではある。

「どんな時間の使い方してんねん」とか、
「いや、だからさ、もっと効率よくやれよ」とか、
「残業せな仕事終わらんとか、仕事出来ひん言い訳やろ」とか、
「こっちは育児しながら、限られた時間でいかにやるか脳みそ絞りに絞って知恵出してんねん」とか、
「うだうだ言わずに一回定時に帰ってみろよ」とか、
「こっちにとって時間は命やねんぞ」とか、
「子どものおむつ1回替えたくらいで自慢すんなよ、こっちは今までに1万回は替えてるぞ」とか(生後半年は1日10枚、それ以降は1日5枚計算で、長女と次女の分計算してみた結果)

…私もめっちゃ思うことがある。(つい、言葉が汚くなってしまった)

…でも、でもだ。

男性陣の働き方や姿勢をいくら攻撃したところで、何も生まれない。

生まれないというか、何も前には進まない。
女性対男性の図式になり、反発が生まれ、ますます溝が深まるだけだ。

2 モーレツ社員だった時のこと。

以前の私は、それこそ残業しまくりだった。いわゆるモーレツ社員だったと思う。
だから、今そういう働き方をしている男性陣(女性もか)の気持ちがすごくよく分かる。

仕事で成果を出すために真剣になればなるほど、やることは増える。
成果を出したら出したで、「じゃあこれもやってみろ」「あれもやってみろ」「後輩を育てろ」とチャンスという名の仕事を任され、ますます忙しくなる。

そうなると、明日出来ることでも可能な限り今日中にやってしまおうと思うので、とにかく必死で働く日々が続く。

でもその当時、全然頭を使わずただ単に働いていただけだったかと言うとそうではなく、今と程度の差こそあれ知恵は絞っているつもりだったし、自分の中では一生懸命やっていた。(それで体調を崩したこともあったが)
その状態が良いとは決して言えないけれど、もしその時に私が女性活躍推進研修で男性側として参加することになり、頭ごなしに「あなたたち何やってるの!」とケチョンケチョンに言われたとしたら…

「会社のためにこんなに一生懸命やってる人に対して、なんだその言い方は」と反発したくもなる。

図星だし頭で分かっていても素直に受け入れられないから、きっとその後の行動は変わらないだろう。

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3 モーレツ社員さんのおかげで今の日本がある。

 

近年、日本経済は、低迷しているとか、沈みかけているとかよく言われるけれど、戦後ボロボロの状態から、よくここまで来たもんだな~と思う。

今の日本があるのは間違いなく、高度経済成長期に、モーレツ社員の男性陣が死に物狂いで働きまくってくれたおかげだ。(その男性陣や家庭を支えた奥さんたちの力でもある。)

そしてそんな中で、女性が働く茨の道を切り開くために、男性と同じように働き、戦ってくれた先輩女性たちのおかげでもある。
結果として「ああはなりたくない」と女性の後輩から思われてしまい、ロールモデルになり得ないと指摘されることがあるが、当時はそうせざるを得なかった部分が少なからずあったんだと思う。

そう、みんな、一生懸命だったんだと思う。

そこに対してはむしろ、「有難うの気持ち」というか「ねぎらいの言葉」が要るのではないか。

ただそれはそれとして、時代は変わり、変化の速度もネットの普及により急激に速くなった。そんな今の時代に生きる私たちは、過去の成功体験にしがみつくのではなく、勇気を持って変わらないければならない。

さらに日本は「超人手不足」の「超高齢化社会」に突入するときたもんだから。

今は、仕事以外に重要な役割を持つ人が増えた。
総務省統計局のデータによると、働く女性の割合はここ30年ずっと増加傾向にある。

それに伴い、共働き世帯数も全体の半数を超えた。
保育園の送り迎えでは、朝はパパの姿をよく見かけるし(あ、うちもそうだ)、女性だけに限らず「共働きで子どもの面倒も見ないといけないから残業や転勤は難しいし本当はしたくない」という男性は増えていると聞く。

また、2007年に団塊の世代が一斉退職し、あと5年たつとその世代が75歳~80歳の要介護世代に突入する。
となると、今働き盛りの40代、50代の役職者の人たちも、親の面倒をみるために介護休業をとったり、時短勤務をしなければならなくなる。

年齢性別問わずみんなが、明日は我が身なのだから、「仕事に自分の時間の全てを捧げ、フルで働ける人にのみ対応した企業システム」はもう破綻している。

その上、少子化により若者の働き手が減っているので、日本の中で働く人は減る一方だ。

4 みんなが、変わろう。

だからといって、「働く人が2割減るから、会社の売上目標も2割減らしていいよー」なんていう会社はきっとなくて、どこも昨対を超える業績目標を掲げて進んでいくだろう。

だったら「そこで働く人みんなが、変わらないといけないよね」って、「マネジメントや、働き方や、考え方を、みんなが変えないといけないよね」という話だ。

残業ありきな管理職男性は、定時で仕事を終える働き方に変え、
共働きパパも、会社が変わらないと嘆くのではなく勇気を出して自ら働き方を変え、
女性も自分で一生稼ぐ覚悟を持ち、
ワーママは母はこうあるべきの呪縛から勇気を出して抜け出し、自分なりの両立の形を創り出す。

そういうみんなの一歩の積み重ねが、きっと目の前の環境を、家族を、部署を、会社を、社会を変えていく。
誰かを否定したり、責任を押し付けあうのではなく、全員が、無意識に持っている価値観や固定概念を捨てて、一人ひとりが変わらないといけないのだと思う。

とはいえ、人は急には変われないから、今は過渡期で、混沌とする時期なのかもしれないな。
いつの間にか気付けばみんながスマホを持っているように、あと10年もしたら状況は少しは変わっているんだろうか。

でも考えてみると、江戸時代には自分の職業は自由に選べなかったし、新たしいことをしようとすると命を狙われたり殺されていたことを思うと、今の日本は随分と住みやすくなった。(欧米からしたら遅れてるとはいえ)

自分の一歩が、社会を変える。

途方もないかもしれないけれど、誰かのせいにするのではなく、私も出来ることを一歩ずつやっていこうと思う。