3 栄養学の落とし穴
テレビでも雑誌でもインターネットでも、健康や美容の情報の代名詞と言えば「栄養学に則った食材を選ぶ」ということが主流です。
ビタミンやミネラルなどの科学的な説明が学術的にもっともらしいように捉えられています。
ただしそもそも「栄養学」がどこで生まれた学問かご存じでしょうか。
現代日本で使われている栄養学の原典はドイツで生まれ、研鑽されました。
そして日本には明治時代に蘭学(西洋医学)とともに輸入され、日本中に広がりました。
当時は貧困や飢饉などの影響もあり、栄養失調や結核など『滋養不足』で起こる病気が多かったこともあり、栄養学は非常にもてはやされたと言います。
ただし戦前までの日本は、米を主体とした小食の食文化圏でありながら、
西欧諸国が驚くほど強靭な身体と強い精神力を持った民族として世界中から称賛されていました。
(裏を返せばアジアの小国に過ぎなかった日本が第二次世界大戦でアメリカを相手に3年8ヶ月戦い抜いたことは、
世界にとって大きな脅威だったと言われています。)
その後戦後程なく始まった「フライパン運動」や「米を食べると馬鹿になるからパンを食べよう」などといった
当時の栄養士が主導した栄養学の布教活動により、米食がパンやパスタに置き換わり、煮物や和え物が炒め物や揚げ物の献立が登場します。
その時代からアレルギーや大腸癌、糖尿病、うつ病などの生活習慣病の罹患数が飛躍的に上がりました。
東洋医学的にこのドイツ式栄養学を分析すると、根底にあるのは「栄養の摂りすぎ」です。
ドイツは日本で言えば北海道並みに寒く乾燥した地域です。
米や野菜が豊富に育つような環境ではないため、肉や魚、小麦が主食となり、
寒さをしのぐため高カロリーのもの(チョコレートやソーセージなど)を摂り、
脂肪を蓄えないと生きていけない土地です。
その地域の人々が健康に生きていくための食べ方を科学的に研鑽したのが「栄養学」です。
日本に食べ物が少なかった時代には、ある程度滋養を付けることは必要だったかもしれません。
しかし日本はドイツ程寒い国ではありませんので、カロリーも脂肪もたんぱく質も、ビタミンも、それほど必要ないのです。
ドイツ人の体質に合わせた学問が、そのまま日本人にも当てはまることはありません。
日本とドイツでは住んでいる気候も気温も湿度も、摂れる野菜の種類も違います。
同じ人間であっても、骨格の大きさや内臓の強さ、消化酵素の種類、身体が必要としている食材は違うのです。
4 日本人の体質に合わない栄養学
結論を言いますと、日本人が栄養学や栄養素に照らし合わせて食事を摂ると、
「摂らなくて良いものの摂りすぎ」「摂らないといけないものの不足」が起こります。
日本人の体質に必要なものは栄養学では全く論じられていませんから、
ここで心身の調子を崩すキッカケが出来上がることになります。
身体は食生活の過不足が祟ると、肌荒れやアレルギー、食欲過多、むくみ、
月経痛、便秘、冷え性などの不調を「警告」として表します。
無理なダイエットをした結果、他に調子を崩すことがあるのはこのためです。
日本人の身体が喜ばない方法でダイエットや健康管理を成功させようとしても、
それは無理からぬことなのです。
栄養学を過信することがいかに日本人の美容と健康に不向きであるかお分かり頂けましたでしょうか。
次回、
「健康ブームに乗っからない生き方~東洋医学で分析する、
日本人がスパイスで代謝を上げてダイエットしようとすると間違いなく失敗する3つの理由<後編>~」
に続きます。
郷美由貴さんの会社情報
【養生医療サロンあくあ美療鍼灸院】
院長:郷美由貴
はり師きゅう師(国家資格)
自然医食フォーラム認定食養指導士
天津中医薬大学検体解剖研修修了
正食協会マクロビオティック料理教室上級修了
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