3.仕事が面白くなってきた時の、まさかの妊娠。
ー冨増:「大学の事務職か。きっと土日も休みだろうし、残業もそんなにないだろうし、事務職経験はないけど受けてみよう」と思ったところ、運良く採用して頂きました。
ただ最初はとまどいました。職場は卒業生を中心として女性が多く、和を尊ぶ雰囲気で。仕事も最初はコピーをとったり印鑑を押したりする単調な仕事を日々していて今まで男女なく対等に意見を言い、数字を背負って働いてきた自分からすると、すごくカルチャーショックでしたね。
ですがしばらくして、人事異動などで部署のメンバーが変わり、自分が部署の一連業務を中心となって任されることになりました。わからないことだらけだったので、いろんな部署の卒業生の先輩にひたすら聞いて相談しまくりました。先輩たちも快く教えて頂いて。その時に、
自分が待っていても誰も教えてくれないけど、自分から発信すれば周囲の方はこんなに協力してくださるんだ!
と気づくことができました。教育業界未経験でまだ若かった私にとっては、入社当初の単調な事務仕事よりはるかに大変で、3月〜4月の繁忙期には毎晩10時頃まで働いていることも多かったのですが、すごく充実していて楽しかったですね。やっぱり私は、「思いっきり仕事をしたり、新しい仕事をしたり、任せてもらえることが好きなんだ」と改めて思いました。
ー高野:…ん?でもその状況で、家事はどうされていたのですか?
ー冨増:当時の家事は全部主人がしてくれていまして…朝はお弁当を持たせてもらって、主人の方が家に帰るのが早かったので、晩御飯も主人担当で。主人の料理の腕前は急上昇するんですけど、私の腕はいっこうにあがらないという…(笑)
そして3年ほどたった29歳の時です。自分が妊娠してることがわかりました。
ちょうど、経営企画室に入った時期で、理事長や学長と学校方針を決めたりするところまで参画できる立場になっていた時でした。だから正直「嬉しい!」という気持ちよりも「どうしよう…残業も多いし、仕事もせっかく面白くなってきたのに…」という気持ちの方が大きかったです。
基本ポジティブな私なんですが、感情の起伏が激しく不安定で、妊娠期間中は泣くこともよくありまして。でもおかげ様でつわりもなく、産休ギリギリまで大きなお腹を抱えながら働いて無事に出産を迎えることができました。
4.今までやってきたこと全てに意味がある!
ー冨増:育休中に家で子どもとだけ向き合ってる期間は正直辛かったです。子どもの世話をして、家事をして、夜中も寝れなくて常に眠たくて、子どもはなんで泣いてるかも分からないし家で一人っきりだし…。子どもはすごく可愛いんですが、一日終わった時に働いていない自分の存在価値がわからなくなってしまいました。
基本的に主人はすごく理解がある人なんですが、「あなたも育休をとってほしい」と伝えたある日、こんな言葉が返ってきました。
その言葉を聞いて、とても腹が立ちました。
「私はその気まずい思いをして育休取ってるの!なんで私だけ、なんで私だけこんな思いをしないかんのよ・・・」
まぁ今思えば、そこまで怒ることでもないとは思うんですけどね。
そして子どもが10カ月の時、職場復帰しました。ただ、周りが残業する中で自分が早く帰ることの申し訳なさや、思う存分残業ができない自分との葛藤などから、子育てと仕事の両立が出来る自信がなくなり、自分自身にスキルを身につけて、「たとえ退職してもフリーでも食べていけるようになろう」とコーチングスクールに通うようになりました。そしてコーチングスクールが終わる頃。コーチングを通して自分を振り返ったときに、私は実は恵まれていることに気づいたんです。
無事子どもを出産し、職場に復帰ができて、主人も義実家も協力的で、周りにも必要とされている。今まで嫌だと思ってたことが、逆にすごく感謝するべきことで、これはきっと、あなたは仕事をし続けなさいということだと思いました。
そしてあれから1年。なんと今、広報部も兼務することになったんです。そうなんです、就活の時に「広報がしたい」と思っていたら、ちゃんとそうなっています!10年かかりましたが…(笑)
去年までの私は、今までの自分のキャリアを振り返って、「販売やって営業やって、事務企画やって、ちょこちょこつまみ食いして、全部中途半端だ」と思っていたんですが、全てに意味があったんです。現在、広報として高校への営業訪問もしているのですが、「とりあえず行ってきて!」と言われても、普通に「はいー!」といって訪問していけるのは、営業を経験していたからこそです。
今あらためて振り返って思う「働く上で大切なこと」それは、
どんな仕事でも、これは向いてないって思ってもやってみる。
やってみると次が開ける。
置かれた場所で咲きなさいという本がありますが、まさにそうだということ。
ムダなことは何一つない、それはきっとこれからも。様々な職種や子育てを経験した自分だからこそ出来ることがある。
まずは今の与えられた環境、周囲の人に感謝をして、目の前の仕事にこれからも一生懸命に向き合っていきたいですね。
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