働く女性の皆さんこんにちは。「食習慣から体質を3年以内に元の健康状態に戻す」日本伝統医学の極意を、
病状や体調に合わせて指導する医師公認の食養指導士&鍼灸師(国家資格)の郷美由貴です。
今月は臨床現場で往々にしてお見掛けする、「治したいのに治らない」患者様の共通点から、よくある健康管理の落とし穴についてお伝えします。
1 日本人の病氣や不調を治すのに、もともと「栄養学」は必要ない。
実のところ、健康になるために栄養素が必要だと信じて様々な食材やサプリメントを取り入れた結果、健康を害し、病を悪化させる患者様が近年増加しています。
当院に来院される患者様でも、アトピー性皮膚炎、末期がん、うつ病、摂食障害などをこじらせてしまった方ほど、大抵真面目で努力家で、ネットやテレビからの情報収集にも余念がありません。
ビタミン、カロチン、ビフィズス菌、カルシウム、ポリフェノール、アミノ酸、トリプトファン、リジン、DHA、EPA・・・等々。
「頑張って色々取り入れているのに結果がでない」と落胆されて来院されます。
ここで私は日本人に合わせて発展した伝統医学を学んだ医療人のため、いつも疑問を感じます。
『日本人の健康、栄養、予防医学についてメディアで語る西洋医学や栄養学の専門家は、なぜカタカナ表記の英語を使うのか』
栄養学が無かった時代の日本には、アレルギーも癌も、精神疾患も不妊症も、糖尿病も「稀」な疾患でした。
日本人の健康維持に本当に「栄養素」が必要なのだとすれば、日本人は明治時代より以前に絶滅の危機に瀕していなければなりません。
本来風土気候に合わせて、身体が求めている食習慣をやっていれば、身体は元氣を維持できるように出来ています。
メディアに溢れる健康情報を鵜呑みにして、3ヶ月以上継続しても冷え性や肌荒れ一つすんなりと治せないのであれば、その方法は間違いなくあなたの身体に合っていない(身体が求めていない方法である)証拠です。
健康を維持するために、「食」との関連性を考えるのは大いに大切なことです。
ただしここですぐさま、多くの日本人が愛してやまない『栄養学』を引き合いに出すことが根本的な誤りだと、慢性疾患をこじらせる患者様を拝見していていつも思います。
「栄養学」は誰のための学問か。
もともとドイツ人が健康に生きるために研鑽されたのが『栄養学』です。
それを日本人の身体に当てはめようとすると、すべからく栄養の「摂りすぎ」が起こります。
ドイツは日本で言えば北海道並みに寒く乾燥した地域なので、より多くの食糧を摂らないと、生きていけません。
寒い地域では農作物も少ししか取れませんので、肉や魚を食べます。
その時に殺菌や血液の酸性化を中和する目的で、ハーブやベリー類などの果物、ワインやビールといったアルコールを取るのです。
ビタミンを何グラム、カロチンを何グラム、タンパク質(英語ではプロテイン)はどのくらい必要だという理論が、そのような国向けの学問であることを私達日本人は理解する必要があります。
日本はドイツに比べたら、湿度も気温も高く、降雨量も多いので、水耕栽培に適し、米をはじめとする農作物を育てるのに向いています。
また四方を海に囲まれていますので、海藻や近海の魚も豊富に取れます。
四季折々の旬の食材を頂いて、天寿を全うできるように遺伝子レベルで進化してきた民族が日本人です。
日本にはもともとハーブやベリー類が少なかったのも、畜産や狩猟を営んで肉を食べなくても、穀物や野菜、海藻を中心に豊富に取れる食材があったからです。
風土気候によって民族の体質は異なります。
結論から言うと、ドイツ由来の栄養学で日本人の健康を測るというのは矛盾しているのです。
2 栄養素よりも健康維持に必要なのは「自然に則した生き方」。
乳酸菌を摂っているのに便秘やアレルギーが治らない。
ビタミンCを摂っているのに肌荒れが改善しない。
糖質を控えているのに癌細胞や腫瘍が小さくならない。
そのようなことはありませんか?
症状が身体に起こっている意味も考えずに、身に合わない対処法ばかりを講じていても、充分な結果が得られることはありません。
栄養学を講じるのであれば、本来真っ先に民族の差を考慮しなければならないのは明白です。
人類は皆同じで、同じ栄養学が合うと主張するのであれば、なぜ民族によって骨格や腸の長さ、肌の色、消化酵素の違いなどが起こるのでしょうか。
それぞれ異なる環境に適応するために、鼻が高くなったり、腸が短くなったり、肌の色が違ったりしているのです。
寒い気候に生きる人は鼻を高くして空気を温め、肺や気管支が冷えないようにしています。
肉食をする民族の腸が短いのは、長時間も腸の中に動物性食品があると腐敗が起こるからです。(五臓六腑のなかで大腸は腑に分類されますが、「腑」に「肉」が入ると「腐る」になります。「月(にくづき)」は人を表す漢字です)
肌の色は日光にさらされる時間が長いと、皮膚を守るためにメラニンが活性化し黒くなります。南国の民族が比較的浅黒く、北方の民族に肌の白い方が多いのはこのためです。
住んでいる土地によって、取れる作物も環境も異なるわけですから、他国の栄養学が日本に合うと考えること自体、論理的に矛盾しています。
中学生や高校生でも、ドイツ人と日本人が全く同じであると考えはしないと思います。
そもそも栄養素が魔法のように不調や病気を治しているわけではありません。
そんなもの知らなかった時代のほうが、日本人ははるかに健康寿命を全うしてきました。
本来野生の動物は、健康になるために努力はしないもの。
自然に手に入るものを、ありのまま頂いているから、身体が元氣を維持できるのです。
自然に沿わないことをしているから病氣になるだけです。
冬場に夏のものを食べる。
日本人なのに西洋人の食習慣を真似る。
このような積み重ねが、冷え性やアレルギーひとつ計画的に治せない脆弱な身体を作っているのです。
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