3 育児と仕事の両立を完璧にしようとする必要はない。
ー高野:私ごとなのですが、最近仕事に対するモチベーションが底をつきてしまいました。「今年は育児を優先する」と決めたのでいいのかもしれませんが、サイト運営に力を入れても思うようにアクセスが伸びなかったり、仕事で得たい成果と現状のギャップの大きさに愕然とすることも多いです。
仕事で満足な達成感を味わえない分、育児や家事もタスク化し、無理しすぎて発熱してダウン…精神的にも不安定で、私は何をやってるんだろうと思うと、なんだかもうどうでもよくなってしまいました。
ー文:今、2人目のお子さんを出産してまだ2,3ヶ月ですよね。一番大変な時期だから、うまくいかなくて当たり前だし、完璧にしようと思いすぎなくていいと思いますよ。・・・っていうか、その時期に全部完璧にしている人なんて見たことない。
ー木村:そうですね。今高野さんは授乳中だから、人生の中で母性が一番溢れ出てる時期。かといって「育児優先だから仕事を頑張ってはいけない」という罪悪感を持つ必要はなく、もっと自由でいいと思います。
両方ができる環境にいるのだから、それはすごく素敵なことだと思います。
ー高野:確かに…どちらもできる環境ですもんね。そんな中でfacebookを見て、周りの投稿を見て焦ったりしてしまう自分がいます。頭では分かっているのに吹っ切れないというか…。
ー木村:私は普段facebookはしませんが、非日常のことを投稿している方が多いですよね。一番光り輝くところが切り取られたのがfacebookなので、日常なわけではないと思います。また、投稿を見て心を乱されてしまうなら、しばらくSNSから離れてみるのもありかもしれませんね。
ー文:そうですよね。私は時々講演の登壇者として呼んで頂くことがあるのですが、自分以外の登壇者の方のそうそうたる経歴や会社の規模などを見て劣等感を感じてしまうことがあります。
「何でこんなすごい人たちの中に、私が呼ばれたのだろう?」と思うことも。
でもあえてこう思い直します。「主催者が私を呼んでくれたのにはきっと意味がある。私にしかできないこと、私の強みがある。みなさん素敵な方には違いないけれど、自分と比べる必要はない」と。
すると少し楽な気持ちになり、自信を持って話をすることができます。
時々ですが両親を講演に呼ぶこともあります。「頑張ってるんやな~」と喜んでくれたり、子どもにも「お母さんって結構頑張ってるねんで!」と日々伝えたりしています(笑)
お母さんが笑顔の家は、きっと笑顔にあふれていると思いますね。
ー木村:文さんのお子さん、親の頑張りを、もっと大きくなった時にきっと実感されるでしょうね。
ー文:そうであれば嬉しいです。また、今の日本は本当に恵まれていると思いますね。私はライフワークでカンボジアに行く機会も多いのですが、日本は食べ物に苦労することもなく、環境も整っていて、幸せな国です。世界中の数ある国の中で、日本に生まれることができただけでも奇跡です。
あ、そうそう日本のベビー用品は質が高くて、海外からわざわざ買いに来るって知ってた?
ー高野:えーそうなんですか!知らなかったです!
ー木村:売っている洋服も、一度洗濯しても全く型くずれしませんが、それって世界基準から考えるとすごいことですよね。
ー杉浦:そうですよ!ユニクロバンザイですよ!
ー高野:確かに…西松屋でこの前299円でベビー服買いましたが、すっごい頑丈です(笑)なんか悩んでいた自分が恥ずかしくなってきました…。
私たちも色々乗り越えてきたから、今高野さんに対してそう言ってあげられるんです。
ー高野:素敵!私もはやくそう言えるようになりたい…。年を重ねるって素敵、そして生きてるって本当に素敵です!
ー木村:むっちゃ同感!「杉浦さん、文さんでも落ち込む波があるんだ、様々な経験を積んでいらっしゃるからこその暖かさ、大きさなのだ」と改めて感じました。
ー杉浦:今後のだてはげは、赤ちゃん連れがあってもいいんじゃないですか?
高野:もっと自由で柔軟でいいんですね。Woo!でも働く女性の皆さんに普段「固定概念に縛られる必要は無い」なんて言ってますが、自分がいちばん縛られていました。本当に有難うございます。
4 近江商人から学べること
ー木村:そういえば、今度杉浦さんは就活生に向けて講演をされるんですよね。甥っ子にもぜひ聞かせたいと思っていました。
ー杉浦:有難うございます。「大企業の時代は終わった」という趣旨の企画らしいのですが「大企業に行ってもいいけど、辞めても大丈夫やで。そういうくらいの気持ちでいいよ」ということを伝える大人がいないという話になりまして、私にお声がけ頂きました。
ー文:私は新卒で大手企業に入社しましたが、数年で出来る限り吸収して、次のステージにステップアップすることはあっても、大手企業に入ったから一生安泰ということではまったくないと感じました。
ー木村:そういえば、以前読んだ「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」という本がすごく面白かったです。
今の若者は、医療の進歩で100歳くらいまで生きられるようになるので、定年も伸びて70、80歳まで当たり前のように働かなければならなくなる。「大学を卒業して、企業から内定をもらったから一安心」ではなく、自分にどんどん投資をしていかないとダメだといったことが書かれていました。
「安定した会社で一生定年まで働く」「女性は結婚して専業主婦になる」という概念もなくなっていくそうです。
文:どういう働き方であれ、男女問わず全員が働く世の中になっていくのですね。
ー木村:そうですね。先日東京でCA時代の同期会を行いましたが、当時はみんな同じような生活をしていたのに、時が経つと大きく変わっていました。子どもがいてバリバリ通訳で働いている人もいれば、CAとして前職で働き続けている人もいて…。出発地点は同じでも、人生は変わるんだということを目の当たりにしました。
同期の中には、「専業主婦だけど、本当は働きたい」という人もいましたね。
ともんもんとしているキャリア組の方がいるのはもったいないですよね。
ー高野:そうですね。やはり、常に自分を磨き、スキルを高め続けることが大切だと思いました。本当に時代は大きく変わっているのですね。
ー杉浦:時代は変わったという視点もありますが、変わっていないことも多いようです。先日近江商人について勉強してきましたが、そこで学んだことは全て今に通じることばかりでした。
一番衝撃だったのは、「近江商人はもとは全員農民だった」ことです。400年前の江戸時代初期は、士農工商制度が厳しく、農民が商人になれるはずなどありませんでした。そこから、ルール改定やイノベーションを興し続けて、近江商人が誕生したのです。また「いかに情報を掴むかだ」「物流が要だ」といったことも、全部今に通じます。
明治時代には日本初の退職金や遺族年金制度まで作っていたんです。
ー高野:おぉ!なんだかベンチャー企業みたいですね!
ー杉浦:そうそう。ベンチャーなんです。欧米の今からばかり学ぼうとしなくても、近江商人の中に全てがある。二宮金次郎さんが、全国の農地改革ができたのも、近江商人の人達がお金を寄付していたからなんですよ。近江商人は「僕らが立役者だ!」とは言っていませんが、近江商人の資料館には二宮金次郎の領収証がたくさんありました。
ー高野:大事なことは、昔からちっとも変わっていないのですね。そして、無いものばかり探さず、今あるものに感謝する気持ちがあれば、意欲的に仕事や人生に向き合っていけることを実感しました。大変お忙しく、各方面で引っ張りだこなお三方を独り占めしてお話を聞かせて頂き、今日は有難うございました。講演料をお支払しないといけないくらいですね…。
ー木村・杉浦:こちらこそ本日は有難うございました。
ー文:有難うございました。じゃあ後日、今日の分の請求書送っておきます!(笑)
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3人のお話をお聞きして、「人間万事塞翁が馬」という言葉を思い出しました。人生は良い時もあれば、うまくいかないときもある。短期的な視点で今を見て一喜一憂するのではなく、長い人生の中の経験としてど〜んと構えていられる大人な女性になりたい。そして常に感謝の気持ちを忘れないことで、自分のモチベーションをしっかりマネジメントできる女性になりたいと強く思いました。木村さん、文さん、杉浦さん、本日は有難うございました!
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