この度、KADOKAWAさんから献本頂き、小説家である窪美澄さんの最新単行本「いるいないみらい」を読んでみました。窪美澄さんは、前作「トリニティ」が直木賞候補にはいるなど、今最も注目されている女性作家さんです。
いるいないみらい
「いるいないみらい」は、「子どもがいるいない」をテーマに、自分たちは子どもを持つべきか、作るべきか…さまざま葛藤する人たちを圧倒的リアリティで描いた、短編小説。様々な夫婦、男女の姿を描いた、心に刺さる5つの物語で構成されています。
■窪美澄さんのプロフィールはこちら
窪 美澄(くぼ みすみ)
1965年、東京都生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年「ミクマリ」で第8回女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞しデビュー。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で第24回山本周五郎賞を受賞、本屋大賞第2位に選ばれた。
12年、『晴天の迷いクジラ』で第3回山田風太郎賞を受賞。その他の著書に『クラウドクラスターを愛する方法』『アニバーサリー』『雨のなまえ』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『さよなら、ニルヴァーナ』『アカガミ』『すみなれたからだで』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『トリニティ』などがある。
ほのかな希望に包まれた5つの物語
5つの物語の主人公は、「妊活している夫婦」や「子どもが嫌いだという独身女性」や「大切なわが子を亡くした男性」など、設定がそれぞれに異なっているので、色々な視点から「子どもを持つ」ということについて考えさせれます。
読み進めていくうちに、主人公に感情移入してしまい、胸が痛く、心が苦しくなってしまうことも正直ありました。でもどの物語も最後は、ほのかな希望に包まれた形で終わっている。これは著者の窪さんが意識してされたことだそうですが、だからこそ、重いテーマであっても、読んだ後、大きなものに包まれて、温かい気持ちになることが出来ました。
圧倒的リアリティ
本の中の物語はどれも「実体験した人が描いているのだろうか…」と思えるほどに、設定や描写がとてもリアルでした。だからこそ、共感でき、どんどん惹き込まれていくのでしょうね。
また、「正直子どもがきらいだ」「産休に入った社員の分、自分たちに仕事のしわ寄せが来る」といった、子どもを持たない人たちの本音も垣間見られるのも面白い。
「子どもを持つと決める」「子どもを産んで育てる」ことは、決して綺麗ごとではありませんし、周りに迷惑をかけることだって出てくる。表立って口には出来ないけれど、でも、多かれ少なかれみんなが抱く感情がうまく描かれていて、様々な立場からこのテーマについて考えさせらました。
子どもがいる未来も、いなみ未来も
今世間では、「女性活躍」「両立支援」といったことが叫ばれているので、女性はみんな「仕事と育児を両立しないといけない」という見えない圧力のようなものを感じるときがあります。
でも、「子どもがいる未来も、いない未来も、どちらも素晴らしいのだ」と、本を読み終えた後素直に思いました。
本人や、夫婦が話し合って導き出した結論であれば、その決断はどれも素晴らしいと思います。Woo!でも「世の中の常識よりも、私がどうありたいかを大切にしよう」というメッセージを常々伝えていますが、「こうでなくてはならない」ではなく、自分がどうしたいか、自分たちにとっての幸せを、勇気を持って選択して歩いていけるようになりたいと改めて思いました。
私は本を読むのが苦手ですが、1時間ほどで一気に読んでしまいました。子どもがいる方も、これから考えている方も、子どもはいらないかなぁと思っている方も、全ての女性にとって、考えさせられる1冊だと思います。ぜひ、みなさんも読んでみてはいかがでしょうか?
*本表紙画像出典:Amazon
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→「いるいないみらい」窪美澄
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