女性活躍企業の社長に編集長が突撃取材!〜エクス 抱厚志さん〜


3.女性活躍を考えるようになったきかっけは、東日本大震災だった。

2016.2.24 12時写真③

(本が大好きな抱社長。会社にはみなが自由に閲覧できる大量の本が置いてあります)

ー抱:2008年、みなさんの記憶にも新しいと思うのですが、リーマンショックが起こりました。色々とシミュレーションしていたとはいえ、アメリカの経済がここまで日本に大打撃を与えるとは思っていませんでした。その頃から、経済のグローバル・ボーダレス化をより意識するようになりました。海外の経済は他人ごとではないと痛感しました。

リーマンショックも、なんとか黒字で乗り切りましたが、ようやく上向いてきた頃、2011年に東日本大震災がおこりました。この時ばかりは大変でしたね。製造業は、下請け、孫請け…と裾野が広い。ですから親会社が止まれば工場は軒並み止まってしまいます。被災されたお客様もあり、当然システムどころではありません。システムのお金も払えないお客様には「お金はいいですから復興を優先しましょう!」と赤字覚悟で対応しました。

当時とても大変な状況であったにも関わらず、当社がリストラをすることもなく(創業以来一度もリストラしたことはありません)乗り切れたのは、今までの蓄えがあったことと、社員一丸となって頑張ったからです。

ー高野:震災の時は、被災された地域の方はもちろん、本当にどの企業様も大変で、一丸となって乗り切っておられましたよね。これをきっかけに、本社機能を分散させたり、組織体制を見なおされた企業様も増えたように思います。

ー抱:そうですね。「会社の強さは人の強さなんだ」と痛感したと同時に、初めて真剣に「女性活躍」について考えました。高野さんが「女性活躍に取組むことは、これからの企業には必須」とずっとおっしゃっていましたが、そのことが腑に落ちました。男女問わず優秀な人が長く働ける環境を作っていかなければ、様々な局面を乗りきれる強い企業になれないと気づきました。

当時新卒で入社した女性社員が4,5年経ち、徐々に戦力として活躍してくれるようになっていました。そんな優秀な女性社員に長く活躍してもらうには、出産しても働き続けられる環境を作っていかなければならない。「出産するから退職する」では企業にとっては大きな損失ですし、今後少子高齢化が進んでいく中で、男性ばかり採用できるわけではありません。

また、長く勤めてもらうだけではなく、責任ある仕事を任せて、どんどん戦力として活躍してもらわないといけない。幸いにも、IT業界は頭脳的肉体労働で、男社会だったところから、インターネットの普及により知識労働の時代になってきました。仕事に性別は関係ないんです。

また、更に言えば、女性の視点や感性が今後はものすごく重要になるとも感じていました。以前は、「より良い製品を作ることにのみ注力する」時代でしたが、今後は加えて、その製品のシステムの色合いやアプリケーションに、デザインやセンスが求められるようになってきました。

製品としてのブランド力を高めていくためにも、感性が重要なんですよね。そういう意味では、やはり女性の方が柔軟だし「こうした方がいい!」という感覚は非常に的を得ていることが多い。

そういうことを考えて当社も3年前に、「5年以内に、全管理職の15%を女性にする」という目標を掲げました。女性も全員が「管理職になりたい」と思っているわけありませんし、子どもが小さいうちは育児に重きをおきたい」「役職につくよりも、今の自分のスキルを深めることに力を注ぎたい」など、個人の意思を尊重しますが、「上を目指したい!」と思う人が手を上げにくい状況はいけません。やりたい意思のある人が、ちゃんとチャレンジできるるようにしたい。

そのためには、社長である僕が率先することが最も重要だと考えました。

例えば、最初に育休を取得した社員には、僕が直接育休中にメールをしていましたし、復帰後も10回以上直接僕がヒアリングをしました。

ヒアリングしまくってうっとおしかったかもしれませんが、おかまいなしで聞きまくりました(笑)

「育休中に僕からメールきて、うっとしくなかった?」
「実際どんなフォローがあったらもっと良かった?」
「復帰して有給って使える?半休は十分?それとも時間単位でとれる有給がいい?」

と、人事部に丸投げするのではなく、現場を社長がまず知る。そして人事部と一緒に、人事制度も含めて変えていく。その姿勢が現場に「社長は本気だ」というメッセージとして伝わると考えました。

ー高野:まさにおっしゃるとおりで、社長の本気が伝わることが最も重要ですよね。女性社員さんにとっては希望になりますし、管理職の方にとっても「これはやるしかないんだ」という覚悟にもなりますよね。

ー抱:はい。そして2年かかって、この度女性リーダーが3名誕生しました!その中の一人は、育休から復帰したママ社員です。ただ、今後のフォローも大切なので、机の配置も僕の目の前に座ってもらうようレイアウトを変更しました。そうすれば、いつでも気軽に何でも相談でき、僕も状況が分かるので良いと思っています。

4.仕事に男女はない。そして今後の展望について。

2016.2.24 12時写真④

ー抱:女性活躍に取組むようになって、僕自身も変わりました。それは仕事に「男性も女性もない」ということが腑に落ちたということ。

以前は「女性の営業に数千万円の案件なんて責任重いから無理かな」とか、「女性が、フロントに出ると、取引先との飲みやセクハラの問題も出てくるから難しい」
という思いがどこかにありました。ただいざやってみると、ほとんどそんなことは起こらなかった。案ずるより産むが易しでした。

ー高野:本当にそうだと思います。また現場の女性で、そんな気を使わずにフラットに接して仕事を与えてくれていいのにと思っている人は多いですよね。もちろん第一号になることに不安はありますが、やってしまえば出来るものだと思います。

ー抱:そうですね。「え、こんな大きな額の案件でも、普通にやってのけてるやん!」と新鮮な驚きがありましたし、経験をたくさん積んでいくと、僕にも周りにも「女性だからどうこう」という遠慮はなくなっていきました。

「女性は感情的だ」とよく言いますが、それもデフォルメされたものだともわかりました。そういった世の中の常識に惑わされてはいけません。男性女性問わず、冷静に話したりしっかり価値判断もって仕事する人はいますし、そこに性別は関係ありません。

育休復帰した社員がいる部署でも、最初はみな戸惑っていました。「子どもの発熱で早退したり休むこともあるから、責任ある仕事は任せられない」「時短になった分どうやって仕事を回そうか」と。ただ時が経つに連れて、みなうまく調整してやるようになりましたし「子どもがいても責任ある仕事も任せられる」と感覚で掴み始めています。

すると以前は「うちの部署には体育会系の男性が欲しい」と言っていた管理職が「女性もどんどんウェルカムです!」と言い出すようになりまいsた(笑)風土も徐々に変わってきていることを肌で感じています。周りも日々驚きながら、楽しんでる感じがしますね。「仕事に男女関係ない。でも女性の視点は大いに活かして欲しい。」です。

ー高野:風土を変えることは一朝一夕にはできなくて、日々取り組んでいく中でいつの間にか自然と変わっていくものですよね。だからこそ、そこまで風土が変わられた企業は本当に強いと思います。

ー抱:当社はIT企業なので、ラッキーです。在宅ワークや遠隔での仕事も可能です。また、体力を要求される仕事でもないので、男女問わず活躍できます。

ー高野:なるほど…ありがとうございます!話は変わりますが、抱社長はお子さんがおふたりとも女の子なんですよね。お子さんの教育は、どんな風にしてこられたのですか?

ー抱:女の子と言っても、長女は大学を卒業して働いていて、次女も大学生になりました。本当に子どもの成長はあっという間です。長女は先日「自分が入社した会社の株価があがってるから嬉しい!」と言っていましたね。「へ〜そんなこと思うんだな〜」と聞いていて面白かったです。

子育てについては、僕は「女性だから男性だから」ではなく、いち「個人」として接してきたつもりです。もっと言えば、親と子とというより、お互いをいち「個人」として尊重しあえるように意識してきました。自分がやりたいことがあれば、自分の責任のもとでやってみたらいいし、自分の進む道も、親が与えるのではなく、自分で見つけていけばいい。そんな風に思って育てていたら、気づけば2人とも親がびっくりするほどアクティブでパワフルな女性に育ちました(笑)

ー高野:素敵!です私も2歳の娘がいますが、自分で自分の道を切り開ける人になってほしいと思っています。これからは、男性女性関係なく、そうやって自立できる人でなければ生き残っていけない時代ですもんね。最後に、今後の抱社長の抱負を教えて頂いてもよろしいですか?

ー抱:はい。冒頭からずっとお話しているように、「日本のものづくりをITで支える」という思いはこれからも変わりません。製造業は以前より『3K(汚い、きつい、給料安い)の世界』と言われてきたんです。でもね、「ものづくり」こそが戦後の日本を支え、この国を成長させてきた。OECDの製造業の占める割合が20%を超えるのは、実は日本とドイツだけです。
資源もないし、金融大国でもない。つまり、ものづくりによって支えられている国が日本です。

だからこそ「日本のものづくりをITで支えていきたい。」そして変えていきたい。

それには、男性も女性もありませんし、やる気のある社員さんには、当社で長く活躍してもらいたいです。当社は、一回辞めて他の会社に勤めてまた戻ってくる社員も多いんですよ。そういうのはとても嬉しいですね。

「企業は人なり」人生を通じて社員を応援し、社員も誇りを持って働ける。そんな会社をこれからも作っていきたいです。

 

「企業は人なり」という言葉はあまりにも有名。そしてこの言葉をまさに体現されているのがエクスという会社でした。様々な修羅場をくぐり抜けておられるのに、物腰は驚くほど柔らかく謙虚。「女性がついていきたいリーダーシップがここにある!」と実感した抱社長のインタビューでした。ありがとうございました!

株式会社エクスについて

設立:1994年9月1日

事業内容:生産管理パッケージ(Factory-ONE 電脳工場シリーズ)の開発・販売等

大阪本社:〒531-0072 大阪市北区豊崎3-19-3 ピアスタワー20F

代表者:抱 厚志(かかえ あつし)

*エクスは現在共に働く仲間を絶賛募集中!採用ページはこちら


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Woo!編集部。運営会社である株式会社ナチュラルリンクは、”働く女性をHAPPYに 女性のチカラで企業を元気に”という思いのもと、Woo!の運営や、企業の女性活躍推進サポート事業を行っている会社です。

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