3 何かが崩れた瞬間。
そんなある日、知り合いの社長がこんなことをおっしゃった。
「この前、仕事でイタリアに行ったんですよ。イタリア人って結構適当な人が多くて、約束の時間には平気で遅れてくるし、すぐ休憩するし、バカンスも2ヶ月とか普通にとりますよね。それなのに、一人あたりのGDPは、休み返上で必死で働く日本とほぼ変わらないんですよ。やってらんないっすよねー。」
その話を聞いた時、私の中で何かが音を立てて崩れるのを感じた。(実際は音なんてたってないけどな、骨が崩れたわけでもあるまいし。でもそれくらいの衝撃だったということ)
ほんとだ、たしかに、やってらんねー。
なにやってるんだろう私。
今まではイタリア人をどこかで「あの適当民族たち」と小馬鹿にしていた。どうせ彼らが作る高級車は、見た目が派手なだけですぐ壊れるだろ?とか。
でも、周りがどう思おうが、なんと言おうが、そこそこのGDPを稼ぎ、本人たちは人生を楽しんでいるわけだ。
それってすごく素敵なことじゃないか。
じゃあいったい私は何のためにこんなに必死に頑張ってるんだろう。
自分のため?
家族のため?
仲間のため?
もちろんそれもある。
でも、でも、見ないようにしていたけれど、やっぱり、「周りからすごいと思われたいから」という部分は大きかった。
女社長ってすごいね。
育児も経営も両立するってすごいね。
と。
では、今私が一番したいことは何だろう。
周りからどう思われるかは関係なく、本当にやりたいことはなんだろう。
と考えた時、出てきたのは「娘との時間を持つこと」だった。
子どもたちと向き合いたいし、自分自身もゆっくりしたい。余裕を持った状態で子どもたちに接することが出来たら、きっと子どもたちにとってもいいんだろうな。
そしてだ。
私は、小さな会社の社長という立場なので、これが出来る状況にある。
私が「やる!」と言えば、すぐに出来る状況にある。
じゃあ、やろう。
認可外保育園に通っていた長女を、3歳を機に認可保育園保育園に転園させようと思っていたけど、ちょうど枠が全く無いといわれたから、インターナショナルスクールの幼稚園に預けることにしよう。
そのかわり、毎日14時に送り迎えに行かないといけないし、毎日朝はお弁当を作らないといけないけど、娘には園の雰囲気はあってそうだし、それでいいか。
次女は、1歳なるまでは、焦って保育園あずけないでいいかな。今しか一緒にいれないし。
とはいえ、このような状況でも稼ぐには、仕組みが要る。
自分が動かなくても、お金が入ってくる仕組みが。
じゃあ収益源を講演や研修だけに頼るのではなく、真剣にサービスを作ろう。
そしてフェイスブックにも「イタリア人のようにゆるくガッツリ稼ぐ働き方に変える」と宣言しよう。
4 実際はどうか?
気づけば、フェイスブックにそう宣言してもうすぐ1年がたつ。
そして今思うことは「なんでもっとはやくこうしなかったんだろう」ということ。
もちろん、もし私が独身だったり、独立したてだったら、とてもこんな決断はできないから、絶妙なタイミングだったとは思う。
でも、周囲の人は自分が思ってるより私のことを見てないし、気にしてない。みんなにも自分の人生や生活があるわけだから、実際はみんな自分のことで必死だ。
仮に「あいつはなぁ…」と思われたところで、それが自分の人生に微塵も影響しないこともわかった。
そしてもう一つ改めて大きく感じたこと。
それは、「私は仕事が大好きだ」ということ。
少し仕事と距離を置いたことで、仕事は自分の人生にとってかけがえの無い大切なものだということがよくわかった。
楽しいし、生きがいだし、仕事は、私の人生そのものなのだ。
ときには辛いこともあるけど、乗り越えた時の達成感や喜びは計り知れない。成長した分だけ自分を好きになれる。人生っていいなって思える。
これは仕事からしか味わえない醍醐味だと思う。
「だからどんな状況になっても、私は一生、死ぬまで、仕事を続けるだろう」と確信するようになった。
そして今は、状況の小回りがきくように、
会社は大きくしない、社員は増やさない。売上より利益重視で行く。
だけど、決して仕事や会社運営を適当にやっているわけじゃないし、来年からスタートさせるサービスを絶対成功させる決意は固い。
でも必死で働くのではなく、頭脳戦で、時には流れに身を任せながら、成功させる。
以前の私なら、今の私を見て、「はぁ?甘ったれてんじゃねぇ!」と言っただろうし、
まさか自分がこんな風になるとは思っていなかった。
ほんと、人は変わるんだな。
今は、女性活躍が時流で、女性社長や働く女性のロールモデルといえば、バリキャリで、家族とも円満で、子どももすくすく育って、超完璧な感じの人が多い。
でも、そういう人たちだけではなく、もっとゆるーい感じの人、でもゆるすぎずやってる人、色んな人がいていいはず。
そんな中で「私はそうはしないけど、あなたのそういう道もあるよね」と、互いに認め合えるような日本になれば、すごくいいなーと真剣に思う。
「よし、これからは、自分が主役の人生を送るぞー」と決意を新たにする今日このごろである。
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