皆さんこんにちは。Woo!編集長の高野(こうの)美菜子です。ぶれない、温かい、懐の大きな女性。普通であれば苦労と捉えてしまう経験も、笑い話に変えて力強く突き進む。「心を育成することを通じて日本を変える」という壮大なビジョンに向かって邁進する安達美由紀さんに今回はお話を伺いました。
Chapter1.今の私
1-1:現在の仕事
ー現在のお仕事内容は?
現在の事業は、人を活かす心の教育・育成研修、各種セミナー、個人コーチングやカウンセリング等です。様々な感情が起こるのも、ネガティブに考えるのも、やる気が出るのも、そこには「しくみ」があるんです。体系立てられた「心のしくみ」を理解、体感することで、自ら考えて動く自立した人やリーダーの育成を行うのが当社の特徴ですね。「心のしくみ」を知ることと知らないことでは、人が育つ結果に大きな差が生まれます。
ー「心の仕組み」に興味を持ったきっかけは?
私が心の仕組みや心理学に興味を持ち始めたのは、新卒で入社したハウスメーカー勤務時代に「売れる人と売れない人は、何が違うのだろう?」という素朴な疑問を持ったことがきっかけ。後輩と同行すると「なんでこのタイミングでカタログ説明するの?」「今お客様の眉間にしわが寄っているのに、何故気づかないの?」と感じることが多々ありました。帰りに「さっきは明らかに説明のタイミングが違ったよね?」「お客様のこと、ちゃんと見てた?」と後輩に指導するものの「なぜそうなのか」「どうすればいいのか」を具体的に説明できず、もどかしく感じていました。それは自分自身についても同じで「売れる時と売れない時は何が違うのか」はっきり分からずにいたんですね。
そこで心理学を学び始めると、そのあたりが具体的に明確に分かるようになりました。売れている人は共通して鋭い観察力を持っており、売れるプロセスをしっかりふんでいる。そして部下育成の場合は「何がうまくいっていないか」という部下の行動や考え方のずれを、上司が正しく修正してあげれば、確実に部下は育つ。こういったことが心理学を勉強する中で全て分かり「これはもっと多くの方に伝えていきたい!」と思うようになりました。
ー心財育成という社名に込めた意味は?
「心という財産を育成する、これがあれば人は育つ」という気持ちを込めて「心財育成」にしました。私の仕事は「場を持つ」ことが大変重要だと思い、来られる方が迷わないよう駅前の好立地な場所に今の事務所を借りたのが2010年3月。ただ、家賃は予算の3倍でしたが(笑)当時、3年間の事務所費の蓄えがあったので「3年で黒字にする」と決めてスタートしましたが、「これは絶対に大切なことだから必ずいける!」という確信がありました。結局1年半で黒字になったので、3年でベースを作り、5年で形を作り、10年かけて広げるイメージを描き、会社を2015年に法人化しました。
1-2:安達さんが考える女性活躍推進
ー現在は女性活躍研修もされているとか?
はい。女性活躍の研修や相談を受けることも増えてきましたが、全てに共通しているのは、「人格の尊厳がなされていない」ということです。ハラスメントが起こる、社員さんが会社を辞めることが続く、人が育たないといった原因は、その人の存在価値や存在意義がおろそかにされているから。「私はここにいる意味がない。ここにいたくない。」と感じてしまうことで、上司を訴えたくなったり、会社を辞めたくなったり、モチベーションが下がったりしてしまう。
女性活躍についても同じで、上司が「女性はこういうものだ」と一括りで部下を見てしまうことで、現場の女性が「上司は私のことをしっかり見てくれていない」という状況に陥っていることが多々あります。「子どもを持ちながら働く女性は、家庭優先で仕事は二の次になる」と思っている上司の方もおられますが、Aさんはそうでも、Bさんは子どもを産んでも一生懸命仕事を頑張りたい人かもしれない。「女性は」ではなく「私は」という個々をしっかり上司が見ていくこと。女性が活躍するためには、この考え方が根本的に必要ですよね。
ー女性部下を持つ上司側の意識変革が大切だと?
上司が変わる必要がありますが、私たち女性側も、男性を大事にしてあげなければと思います。当社のセミナー参加者の中には「夫が何にも家事をしてくれない」と悩んでいる方もおられますが、「妻が求めるレベルではないにせよ、夫とどのような家庭にしたいのかについてコミュニケーションをとること」は大切なことですね。男性は強いようで、もろくて折れやすい、繊細な部分を鎧で固めている部分もありますから、そこは認めて、女性も男性を大切にしていくことが重要ですよね。男性を大事にすることで、家庭を守らなければと男性も女性を大事にしてくれるようになります。お互いにメンテナンスすることは家庭においても企業においても大切なことですから。まあ、本来女性は強いですけどね(笑)
1-3:働く女性の仕事と育児の両立
ー結婚直後から義理の両親との同居されていると?
はい。はい。お陰様で、毎日みんなで何かあれば話し合いながら過ごしています。私は、女性が働きにくくなっている理由に「義理の両親や親と同居したくない」といった身近な人たちとの関係を断っていることがあげられると思っています。それぞれに家庭の事情があるので、無理に同居を勧めているわけではありませんが、いくら企業が制度を整えたとしても、国が福利厚生を手厚くしても、仕事と育児の両立に最も必要なのは、身近な家族や身近な人たちとの協力や応援だと思います。近しい人間関係を自ら断っておきながら、外に向かって「助けてくれる人がいません。誰か助けて!」というのは、少し違うんじゃないかなと思うのです。
また心理学で考えると「両親との同居は億劫だ」と思ってしまうのは、人間関係の思い込みがあるから。「あの人はきっとこう思っているはずだ」と勝手に考えてしまい、想像で悩み思い詰めてしまっていることもよくあります。人間関係にも心の仕組みがあり「実は人と付き合うことはものすごく興味深いんだ」ということを、女性のみなさんにも伝えていきたいと常々思っています。
ー同居エピソードを教えて?
義理の両親との同居の後、私が2人目を妊娠したあたりで、義母が家を出て遠方に働くことになり、義父が家にポツンと残される形になりました。「夫は好きになったけど、義父は他人。義父だけ残されるってどういうこと!?」と正直はじめは思ったかな(笑)当時の義父には、家事や育児の経験が無かったので、保育園のお迎えに行ってもらうことからはじめました。車で送り迎えに行く人が多かった中、父は自転車で迎えに行っていたので、それが子ども達にはカッコよかったらしく、たちまち子ども達の人気者になり…以来率先して送り迎えに行ってくれるようになりました。
またある日のこと。私が仕事から帰ってくると、父が野菜サラダを作っていたのですが、その際中にトイレに行き、手を洗わずにそのまま野菜をむしり始めたではありませんか!「お父さん!その手で、さっき何触りました?さすがに手は洗いましょうよー!私お腹強い方やからまぁいいけどー!」なんていう笑い話もありましたね。こんなエピソードでよければいくらでもありますよ。
ー義父と子育ての考え方で衝突はしなかった?
衝突まではいかなくても、おかしいと思ったことは常にまっすぐ伝えるようにしていました。長女が小学校1年生のときのこと。営業途中で少し家に立ち寄ったところ、彼女がテレビを見て横になっている姿が見えました。「あれ?」と思いよくみると、横で義父が彼女の宿題をせっせとしている姿に遭遇。「誰に宿題してもらってるの!?」と当然彼女を叱り、父にはこう伝えました。
「お父さんがこの子のためにと助けてあげたい気持ちは分かるけど、この子が大人になった時、自分で何もできない子になっていたらどう?可哀想だと代わりにやってあげることが、彼女のためになると思う?」と。すると父もちゃんと理解してくれましたね。
その後、娘が泣きながら宿題をやりなおしていたので訳を聞くと「おじいちゃんにやってもらった宿題、全部間違ってる…」と(笑)「ほらね、だから最初から自分でやってたほうが良かったでしょ?」って。仕事であれば「今回はお客様に理解してもらえませんでした」で済むこともあるかもしれませんが、家族はそうはいかない。身近で長くつきあう人たちだからこそ、とことん話をすることが大事だと思っています。
→トップセールス、妊娠、出産、同居、病気…全てを乗り越え歩み続けた日々… |