3 入社からナチュラルリンクまで
ー丸本:では入社されてからはいかがでしたか?
ー前本さん:そもそも営業として入ったのですが、ちょうど私が入った時に営業部門の部門長秘書のような仕事をされていた方が退職されたんです。そこの枠が空いたので「秘書をやらないか?」とオファーがありそこに就くことになりました。 そこでは様々な能力が鍛えられ、特に仕事にすぐ対応する能力がついたなと実感しました。 とにかく一年目はがむしゃらで仕事をしていて、一瞬で終わったような気がします。
ー丸本:そちらを辞めてすぐにナチュラルリンクを立ち上げられたのですか?
ー前本さん:いえ。3年でいったん会社を辞めてから高野と仕事をするまでには少し間がありました。辞めた理由というのは、会社にはすごくいい人が多かったのですが、ずっとそこで働いている未来の自分が思い描けなくて。仕事が生活の大半を占める日々を送っていたので一度ゆっくり休もうと思ったんです。
でも実際辞めて1カ月ぐらいで時間を持て余してしまって、知り合いの接骨院でアルバイトを始めました。日々の来院数が100人を越える医院だったので、1人で受付を回すために、患者さんの顔はできるだけ1回で覚えようと努めていました。新規医院の立ち上げにも携われ、とても勉強になりました。
その後、高野から「起業しようと思っているから手伝ってほしい」と言われました。新卒で入った時に同期だった頃から高野とは仲良くしており、いつか起業したいという話も聞いていたので「いよいよこの時が来たか」という気持ちで、すぐに二人で動き始めました。
起業を1年後に設定し、そのために、高野は当時勤めていた会社で結果を出しながらビジネスプランを練る。私は今まで中小企業しか勤めたことがなかったので、大企業で働く経験をしておこうと思い、財閥系企業に派遣ではありますが転職をしました。
できることはとりあえず何でもチャレンジしてみる!食わず嫌いはもったいない!との思いは、この20代の様々な経験から学んだ大きな教訓の一つです。
4 仕事と子育て
ー丸本:そういえば結婚をされたのはいつぐらいなんですか?
ー前本さん:それが、結婚は起業したのと同じ年だったんです。 同時進行で、もちろん忙しかったのですが(笑)
ー丸本:専業主婦になろうとは思われなかったんですか?
ー前本さん:そうですね。私の親が共働きで働きながら子育てしているのを小さい頃からずっと見ていたので、自分の中でも専業主婦という選択肢はあまりなくて。自然と子どもが生まれても仕事は続けるものだと思っていました。
ー丸本:実際にお子さんが生まれてからはどうでしたか?
ー前本さん:本当に大変でした(笑)おそらく子育てが人生の中で一番打ちのめされた経験かもしれないです。
今までは何か問題があっても自分が頑張るなり周りに頼ればほとんどは解決できました。でも子育てというのは小さいけどもうひとりの人格と向き合う事の連続です。今までとは異なる種の苦労をしました。
だいたい想像した悪いことの方がよく起きるんですよね(笑) 特に少し成長して自我が芽生えだした時の接し方には頭を悩ませました。
とはいえ、面白いと思ったのは、自分の新しい面を発見できる点です。 感情の起伏はあまりない方だったのですが、子育てをしていく中でこんなにも自分は喜んだり怒ったり泣いたりできるんだと驚きました。
ー丸本:やはり子育てには他の事ではない苦労がたくさんあるんですね。 仕事と子育ての両立を選ばれたことに後悔はありますか?
ー前本さん:後悔は全くないです。むしろどこにも出かけず子育てだけをしていると、きっと気が滅入っていただろうと思います。 ただ何に関しても、思いつめるまでやってしまわないことがポイントですね。 適度に息抜きをして、周りを気にしすぎずに仕事も恋愛も楽しんでください。それが何事に関しても両立していくコツなのではないでしょうか。
ー丸本:学生に何かメッセージがあればお願いします。
ー前本さん:就活や転職、結婚、子育てとこれから大きな選択をする機会がたくさん訪れると思います。その中で迷うこともたくさんあると思いますが、一度経験をしてみることが大事です。
私自身、一度会社を辞めてみて改めて「仕事が好きだ」ということに気が付いて今頑張れています。そのように実体験の中で学んでいくことで、人から聞く話や本で読んで得たものよりも大きなものを得られますよ。
ー丸本:実際に様々なことを経験された前本さんの言葉だと説得力がありますね。 今日は貴重なお時間ありがとうございました。
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