Chapter3.これからの日本
3-1:大企業の時代は終わった
ー杉浦さんは、近々大学生向けに講演されるとか?
杉浦:有難うございます。「大企業の時代は終わった」という趣旨の企画なのですが「大企業に行ってもいいけれど、一生働く気持ちではなく、辞めても大丈夫だと、それくらいの気持ちでいい」ということを伝えるて欲しいということで、私にお声がけ頂きました。
文:私は新卒で大手企業に入社しましたが、数年で出来る限り吸収して、次のステージにステップアップすることはあっても、大手企業に入ったから一生安泰ということではないと感じました。ですから、今度杉浦さんは就活生に向けて講演をされるとお聞きして、私の甥っ子にもぜひ聞かせたいと思っていました。
木村:そういえば、以前読んだ「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」という本がとても面白かったです。今の若者は、医療の進歩で100歳くらいまで生きられるようになるので、定年も伸びて70、80歳まで当たり前のように働かなければならなくなる。「大学を卒業して、企業から内定をもらったから一安心」ではなく、自分にどんどん投資をしていかないとダメだといったことが書かれていました。「安定した会社で一生定年まで働く」「女性は結婚して専業主婦になる」という概念もなくなっていくそうです。
文:どういう働き方であれ、男女問わず全員が働く世の中になっていくのですね。
ー実際ライフシフトに書かれた状況を身の回りでも感じたりする?
木村:そうですね。先日東京でCA時代の同期会を行いましたが、当時はみんな同じような生活をしていたのに、時が経つと大きく変わっていました。子どもがいてバリバリ通訳で働いている人もいれば、CAとして前職で働き続けている人もいて…。出発地点は同じでも、人生は変わるんだということを目の当たりにしました。同期の中には、「専業主婦だけど、本当は働きたい」という人もいましたね。
文:「専業主婦になって幸せだ」という方はいいですが、「結婚前のように働きたい」ともんもんとしているキャリア組の方がいるのはもったいないですよね。やはり常に自分を磨き、スキルを高め続け、チャンスをつかむ準備をしておくことが大切だと思います。時代は大きく変わっているのですね。
3-2:時代を超えても変わらないもの
ー杉浦さん、大学生向けに講演されるとか?
杉浦:時代は変わったという視点もありますが、一方で変わらないものもあります。先日近江商人について勉強してきましたが、そこで学んだことは全て今に通じることばかりでした。一番衝撃だったのは、「近江商人はもとは全員農民だった」ことです。400年前の江戸時代初期は、士農工商制度が厳しく、農民が商人にはなれませんでした。にも関わらず、ルール改定やイノベーションを興し続けて、近江商人が誕生したんですね。また「いかに情報を掴むかだ」「物流が要だ」といったことも、全て今に通じます。全盛期はFCが1000店舗もあり、組合を作るなどして福利厚生を充実させたり、明治時代には日本初の退職金や遺族年金制度まで作っていたとは驚きました。
木村:なんだか今のベンチャー企業のようですね。
杉浦:そう、ベンチャーなんです。欧米ばかりから学ぼうとしなくても、近江商人の中に全てがあります。大事なことは、昔からちっとも変わっていません。二宮金次郎さんが全国の農地改革ができたのも、近江商人の人達がお金を寄付していたからです。近江商人は「僕らが立役者だ!」とは言っていませんが、近江商人の資料館には二宮金次郎の領収証がたくさんありました。
ーそろそろお時間が…今日は有難うございました。
木村:今日は「杉浦さん、文さんでも落ち込む波があるんだ、様々な経験を積んでいらっしゃるからこそ、温かく、大きな方なのだ」と改めて感じることができました。
文:こちらこそ有難うございました。無いものばかり探さず、今あるものに感謝する気持ちがあれば、意欲的に仕事や人生に向き合っていけるのですね。
杉浦:今後のだてはげは、赤ちゃん連れがあってもいいんじゃないですか?自由に柔軟にやっていけば、Woo!の可能性も大きく広がると思います。だてはげも、頑張ります!
【インタビュワー所感】
3人のお話をお聞きして、「人間万事塞翁が馬」という言葉を思い出しました。人生は良い時もあれば、うまくいかないときもある。短期的な視点で今を見て一喜一憂するのではなく、長い人生の中の経験としてど〜んと構えていられる大人な女性になりたい。そして常に感謝の気持ちを忘れないことで、自分のモチベーションをしっかりマネジメントできる女性になりたいと強く思いました。木村さん、文さん、杉浦さん、本日は有難うございました!
作成日:2017年4月2日
インタビュー/ライティング:高野美菜子
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